第3433話 436日目 部屋に戻って雑談だ。(エリカ付きのエルダームーンスライムをどうするか。)
王都守備隊 第八兵舎内 武雄とエリカにあてがわれた部屋。
室内には武雄とエリカ、ジーナと初雪、リーザとミアが居た。
「これがドライアドの苗木。」
エリカが鉢を見ながら言う。
「私とエリカ様は、アルマ殿下とレイラ殿下の出産時にお会いしていましたが、ご主人様、ドライアドと会われていたのですね。」
ジーナが聞いてくる。
「前に王城に来た際にね。
で、初雪、緑スライムを6体、王城の中庭に送り込んでください。
パイディアーとアモールという精霊が3体ずつ持っていきますので。」
「わかりました。
中庭というのは木々があるところですね。
送り込みます。」
初雪は頷くと緑スライムを6体分裂させ、窓の外に放つ。
「はい、仕事終了。
これで約束は守りましたね。
パラス、パイディアーに連絡を入れてください。」
「はーい。」
武雄の言葉にチビパラスが返事をする。
「・・・初雪殿が来ているのならすぐに出来ましたね。」
エリカが言う。
「ええ、さてと。
ペイトー、パイディアーは第3皇子一家の引っ越しにドライアドの宿木を持って行くのですね?」
「はい、アルマの要望ですし、出産時に手伝ったのでレイラも賛成しています。
向こうの屋敷に移す気でいます。」
チビペイトーが現れて言う。
「で、アモールが欲しがったのは、王城にもドライアドの若木を残すことでしょう?
王城が精霊を逃すとは思いません。」
「はい、それが第3皇子一家が木を持って行く条件です。」
チビペイトーが言う。
「ご主人様、緑スライム3体で足りますか?」
「木の植え替えなら1体居れば十分ですよ。
それに今はまだ居ませんが、ゆくゆくはエルダームーンスライムを1名、エリカに付けますし。
第3皇子一家の領地は、それとなく豊作になるでしょう。」
「私に!?」
エリカが驚く。
「え?えぇ、私に初雪、アリスに天霧、ヴィクターに狭霧が付いています。
精霊通信は便利ですが、街中の短距離通信ですよね?
紫雲達長距離電報組は数が少ないので、通常時は伝書鳥と認知されている王都のスミス坊っちゃんと陛下向け。
日常の大まかな事はスライム同士の連絡でしておくのが良いと思います。
エルヴィス伯爵邸から王城間はスライムなら2日ですが、第3皇子一家邸間も距離的に同じくらいなので、2日でやり取りしたいですね。
あ、もちろんスライムの事は第3皇子一家には秘密でね。
スライムの有用性がわかると家同士の軋轢にしかならないでしょうから。
まぁ、精霊達にはバレるでしょうから、ペイトーがパイディアーに説明しておいてください。」
武雄が言う。
「おぉぉ・・・」
エリカが慄く。
「何とか説得します。」
チビペイトーが頷く。
「ご主人様、配下のエルダームーンスライムは何匹居るのですか?」
ジーナが聞いて来る。
「あれ?言っていなかったかな?
初雪、何名居ましたか?」
「人型はユウギリを頭にシグレ、私、アマギリ、サギリの5名。
鳥型はサイウン、シウン、ズイウンの3体。
4足歩行型はハマカゼ、イソカゼ、ウラカゼの3体です。
伯爵邸の北の森には、36体のエルダースライムが居ます。
その内、6体がエルダームーンスライムへの進化待ちです。」
「あれ?エルダースライムが1体増えましたか?」
武雄が初雪に言う。
「はい。
この間、増えました。」
初雪が頷く。
「・・・ご主人様・・・スライム自体が遭遇するのが難しいと言われているのですが・・・
なんでエルダームーンスライムがそんなに沢山居るのですか?」
ジーナが呆れた顔をさせて言ってくる。
「住処と食事を与えて、適度な仕事を用意したら集まりました。」
武雄が言う。
「・・・」
ジーナが何とも言えない顔をさせる。
「えーっと、タケオさん、その私付きのエルダームーンスライムが来るのですか?」
「ええ、その予定なんですけど・・・本当はジェシーさんに貸し出している浦風のような猫の風貌だったり、ジーナと一緒に寄宿舎に入れた磯風のような子供狼のような風貌の非人型が、周囲を不安にさせないで良いだろうとは思うのですが。
今、仕事に付いていないエルダームーンスライムがいないのですよね。」
武雄が言う。
「タケオ、ジェシーの所のウラカゼは、人語が話せる猫という形で認識させています。
キタミザト家から貸与されて居候していると。
ジェシーと常に一緒にいるようです。」
初雪が言う。
「うん、それは良い言い訳ですね。
なので、エリカ付きのエルダームーンスライムも非人型にした方が、ウィリアム殿下方に怪しまれないだろうと思っているのですが・・・
初雪、近々、非人型になれそうなのは居ますか?」
「わかりません。
なりそうなエルダースライムは居ますが、何になるかは2体を除いてわかりません。」
「ふむ・・・彩雲か紫雲をエリカ付きにしますか。」
「サイウンかシウンをですか?」
初雪が聞き返す。
「ええ、理由としては万が一の際のエルヴィス伯爵邸への連絡用と言っておいて、通常は日中はエリカの住む街や魔王国関係が住む町の様子を見て、異常がないか確認しつつ。
日々の連絡をやり取りするというような感じで。」
武雄が言う。
「確かに第3皇子一家内でエリカ様は孤軍奮闘でしょうから、ウィリアム殿下方以上に領地の情勢を知る術が有ったら、仕事がやりやすいかもしれませんね。」
ジーナが考えながら言うのだった。
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