第3432話 会談後の帰路にて。(ドライアドと会おう。)
アズパール王の執務室を出て、武雄とジーナが王城の廊下を歩いていた。
「ご主人様、お疲れ様でした。」
ジーナが言う。
「ええ、ジーナもお疲れ様〜。
結構、疲れましたね。
明日の会議までのんびりと過ごしたいですね。」
武雄が言う。
「ところで・・・ご主人様はどちらに向かわれているのでしょうか?
玄関ではないようですが。」
「厨房です。」
「今食べてしまうと・・・朝食に支障をきたす恐れが・・・
と言うよりも太ります。
おやめになった方が・・・」
ジーナが懐中時計を取り出し、確認しながら言う。
「今の時間に食べるから最高に美味しいと感じる事もあるのですよ・・・いえ、食べ物を貰いにではなく、朝食の話をしにね。
今の時間なら誰かしら出勤していそうでしょ?」
「まぁ、もうすぐ4時になりますので、どなたかはいらっしゃると思いますが。
私が後ほど、お伝えしに行きますが?」
ジーナが聞く。
「また来るのは面倒ですよ。
それにスープを多めに欲しいと言うだけですし。」
「キタミザト殿。」
「ん?」
武雄が呼ばれたので振り返るとアモールが居た。
「お久しぶりです。
ドライアドの件で少々、お時間を頂けますか?」
「ええ、構いませんよ。」
「こちらです」
アモールが武雄とジーナを先導するのだった。
・・
・
王城の裏庭。
武雄達はアモールに連れられて来たのだが。
ドライアドとヴァーユとトール、パイディアーが待っていた。
「ふむ・・・で?」
武雄がアモールを見る。
「はい、以前、緑スライムを数体頂く条件をおっしゃって頂きましたが、その対価が出来ました。」
アモールが言う。
「ふむ、前に来た時に話したやつですね。
結果的にアモールとパイディアーに緑スライムを3体ずつ渡す条件での話でしたか。
もう出来たのですね。」
武雄が頷く。
「はい、こちらがドライアドの苗木です。
宿木から挿し木した物です。」
ドライアドが小さな鉢植えを持ってくる。
「これが・・・大切にエルヴィス伯爵邸に植樹させて貰います。
実体化はどのくらいで?」
武雄が鉢を受け取り、ドライアドに聞く。
「実体化自体だけなら直ぐにも出来ますが、姿を長時間維持出来る様になるには1年以上必要です。
私の挿し木ではありますが、ここからは別個体となります。
よろしくお願いします。」
ドライアドが言う。
「わかりました。
出てこれますか?」
武雄がドライアドの苗木に呼びかけると、チビ化した精霊が現れる。
「これからよろしくお願いします。
植樹先のエルヴィス領に着いたら向こうの人達とも挨拶して貰いますから、よろしくお願いしますね。」
「・・・」
武雄の言葉にコクコクと頷き姿を消す。
「しゃべってくれない・・・」
「まだ、生まれたてのようなものですから。」
武雄の呟きにドライアドが苦笑する。
「まぁ、良いでしょう。
この後、第八兵舎に戻って・・・4時半に、ここに緑スライムを6体送り込みます。
言い聞かせておきますからね。
今少しお持ちください。」
「「ありがとうございます。」」
アモールとパイディアーが頭を下げる。
「うん・・・なら、第八兵舎に戻りますか。」
武雄が言う。
「ご主人様、厨房に寄って行かれるのでは?」
「鉢植えを持ったまま、厨房にお邪魔する訳にはいかないですし、
このまま兵舎に帰って、寝てしまいましょう。
スープは1人前で我慢すれば良いですし。
緑スライムを6体ここに送り込まないといけないのでね。」
武雄が言う。
「そうですか・・・私が厨房まで伝えに行きましょうか?」
「ジーナも寝なさい。
明日は私は会議だそうですが、ジーナもヴィートの補助をするでしょうから。」
「いえ、ヴィートはもう1人でスミス様に付けますが?」
「え?引継ぎは?」
「口頭では終わっています、あとは実践のみです。」
ジーナが言う。
「・・・意外とジーナは厳しそうですね。
なら、スミス坊ちゃんの方は要請があればジーナを向かわせるとして、ジーナは明日は?」
「ご主人様の側付きとして各会議に同行し、議事録を作る気でいますが。」
「そ、そうですか。
いつもブルックさん達にお願いしていた議事録を、ジーナが作成してくれるようになるのですね。」
「はい。」
ジーナが頷く。
「なら、私より大変でしょうからしっかり睡眠を取る事。
スライムはこっちで作るので、ジーナは気にしないで結構です。」
「はぁ・・・大丈夫ですか?」
「すぐに出来ますからね、ジーナが心配するには及びません。」
武雄が苦笑する。
「あ、アモール、陛下は今何をしていますか?」
「タケオの報告書を軽く読んでから寝ると言っていましたね。
裏に王都守備隊も控えて居るので、私はこっちに来ていますが。」
アモールが言う。
「軽く・・・ね。
ま、読んだら、その内感想を漏らすでしょう。
パイディアー、ヒナを抱いたら緊張していましたけど、私何かしましたか?」
「いえ、タケオは何もしていません。
たぶん、ヒナが緊張していただけでしょう。」
パイディアーが言う。
「何回か会えば、笑ってくれるかな・・・」
「言い聞かせておきます。」
パイディアーが苦笑しながら言うのだった。
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