第3425話 アズパール王との会談4。(ドラゴンの革の買取りと王都守備隊への派遣について。)
「義勇軍については、軍務局等と内容を精査する。」
アズパール王が武雄に言う。
「はい、こちらがヴァレーリ陛下からお預かりした陛下への親書です。
私を観戦武官として派遣した事への謝意と、義勇軍関係の条件が認められているそうです。」
武雄は、ヴァレーリから託された親書をアズパール王の前に差し出す。
「うむ・・・わかった。
タケオ、ちなみに今回の観戦武官派遣に対して、彼方から謝礼金は出たのか?」
アズパール王が親書を手に取りながら聞く。
「はい、金貨8500枚を頂いたので、その内金貨2000枚は魔王国関連の輸出入拡大を図る為に魔王国の卸商シモーナさんへ投資。残りはエルヴィス家への投資に回しました。」
「・・・エルヴィスに渡したのか?」
「輸出品を増産するにも、輸入品を流通させるにも、地域の発展が必要ですからね。
エルヴィス家は親族ですから無利子の貸し付けです。」
「・・・そうか。
まぁ、エルヴィスなら上手く使うだろう。
それにしても結構、貰ったんだな。」
「観てるだけでなく、それなりに向こうで働きましたので。」
「それなりに・・・か。」
「詳細は報告書で確認をお願いします。」
「わかった。
それにしても義勇軍は費用が嵩みそうだな。」
「良質な兵士を借りる対価が金銭だけで済むのならば、悪くないかと。これを自国で徴兵して軍備拡大をするなら諸々のコストと練兵の為に数年かかるでしょうし、戦争が終わったので解雇ですと言って兵士を無職にする訳にはいきません。
領土を寄こせと言わないのは、こちらが飲める条件提示をされたと捉えるべきだと思います。」
「わかった・・・だが、打ち合わせが大変そうだ。」
アズパール王が疲れた顔をしながら言う。
「さてと、今回もドラゴンの革の買取をお願いします。
14kgです。」
「・・・あー、机の横に置いてくれ。
1kg当たり金貨40枚かぁ・・・これが毎回とは・・・」
アズパール王がブツブツ言いながら、机に金貨を積み上げていく。
ジーナが「原価は1kg当たり金貨20枚なんですよね」と思って見ている。
「あ、そうだ。
タケオ、リツ殿が引っ越したら、空いた土地にドラゴンの革を加工する工房を作ろうという事になった。」
「へぇ、誰がそんな事言いだしたんです?」
「エイミーだ。」
「面白い考えですね。」
武雄が即行で答える。
「でな、今後は国の事業として、総監局か専売局でドラゴンの革の買取をすることになるだろう。」
「予算が付くという事ですね?
前にそんな事言われた気もしなくもないですね。」
「うむ、なので・・・今後は、そっちで買い取りするか?」
「陛下が良いなら構いませんよ?」
「うん?何か含みがあるようだが・・・」
「いえ、どの局が所管するかわかりませんが、陛下が買い取ってから、担当局に卸さないんですか?
手間賃を入れて、少し高めに卸せばいいんですよ。
私が直接担当局に売り付け・・・卸すと、陛下の収入にはなりません。
まぁ、もしかしなくてもその局から各王家への再販価格は今より上がるでしょうけどね。」
「ふむ・・・まぁ、今まではタケオから買い取って、我が各王家に売っているからなぁ。
これが局から各王家となれば、今より価格が上がるか。」
アズパール王が考えながら言う。
「なので、基本的には私が陛下に卸して、陛下が担当局に再販すれば良いのではないですかね?その上で、必要な時だけ各王家にも陛下が再販すればいいんです。」
武雄が言う。
「うーん・・・そうかもなぁ。
なら、当面は我の買い取りで継続か。」
「予算分の資金を用意しておいてください。
また溜まったら買い取ってもらいますので。」
「・・・タケオ、事前にいくら売るかの確認をしてくれ。
その都度、買い取れる量を指示することにする。」
アズパール王が目線を下にしながら言う。
「次は、王都守備隊への魔王国兵士の派遣についてです。
魔人種で小隊長1名と兵士2名を派遣してくれるそうです。
先に示した費用等の条件で良いとの回答が来ています。」
「そうか。
それと返事は送っているがウィリプ連合国へ向かう街道沿いに魔王国関連の店を作るのも良い手だ。
ウィリアム達に指示して店の候補を用意させている。」
「わかりました。
魔王国より、駐在員の移動に際して必要な部屋数の指示がありましたので、照会してから魔王国に連絡を入れます。」
武雄が言う。
「まぁ、他国の駐在員を入れるというのは、少々危ないという事はあるだろうが、それと同時に情報の確度が増すというのもある。
要は使いようという事だろう。
タケオとエルヴィスも気を使って活用するように。」
アズパール王が言う。
「王都の方でも準備するのでしょう。」
「否定はせんよ?
とはいえ、これに関して、我は聞いていない事になっている。
国家として認めておらぬよ。
悪さをすれば捕まえると言っておいてくれ。」
アズパール王が言う。
「その辺は、事前に言い含めてますし、魔王国もわかっているようでした。
まぁ、改めて伝えておきます。」
「うん、そうしてくれ。」
アズパール王が頷く。
「さて、次は。」
「タケオ、まだあるのか?」
アズパール王が聞いてくる。
「まだ、夕食の前菜程度なんですけど。」
武雄が呆れながら言う。
「・・・これからが本題なのか?」
「肉料理を貰えたので吟味してください。
あ、デザートはないかもしれませんけど。」
武雄が苦笑しながら言うのだった。
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