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第3424話 アズパール王との会談3。(義勇軍について。)

「まぁ・・・・・・第7軍関係はタケオとエルヴィスに任せる。」

「慎重かつ穏便に対応して参ります。」

アズパール王の言葉に武雄が頷く。

「・・・ご主人様、本当にあのヴァレーリ陛下が、隣の領地に指揮官として着任されるのですか?

 民思いで思慮深く、かつ歴代最強との呼び声が高い国王陛下が?」

「・・・ん? たぶん、その陛下ですね。」

武雄が少し首を傾げながら、ジーナの発した言葉に頷く。

「あのヴァレーリ陛下が・・・隣の領地に転属してくるなんて・・・」

ジーナが興奮に打ち震えている。

「・・・ま、その内会う事になるでしょう。

 それまで楽しみにしていなさい。」

「・・・はい、わかりました。」

武雄が一旦話を区切る。


「魔王国内の領地異動は理解した。

 次は何だ?」

アズパール王が聞いてくる。

「アズパール王国とウィリプ連合国の戦争時の魔王国からの義勇軍について。」

「「!」」

アズパール王とジーナが背筋を伸ばす。

「・・・なぜ、ジーナまで?」

武雄がジーナを見る。

「なんとなく、物凄く重要な事をご主人様が言いそうですので。」

「・・・うん、まぁ、良いか。

 魔王国からの義勇軍についての大まかな条件を聞いてきました。」

「そうか・・・すまぬなタケオ。条件を聞き出せただけでもありがたい。」

アズパール王が頷く。

「まずは規模としては、最低1個大隊1000名、要望があれば1000名追加で2個大隊を派遣可能。

 条件としては、先ず敵地で保護した魔王国の国民つまり奴隷達の引き渡し。次に義勇軍に対する兵站の確保から移動や宿営地まで、戦費を全てアズパール王国側で負担する事。

 そして、私またはエルヴィス伯爵以外の指揮下には入らない事。

 派遣交渉は私に一任され、私が条件に納得しなければ、魔王国からの義勇軍は派遣されません。」

武雄が言う。

「ふむ・・・・・・まずは2個大隊、2000名の派遣可能の言質を取ってきた事に礼を言おう。

 タケオ、良くやった。」

アズパール王が武雄に目礼をする。

「ありがとうございます。

 何か気になる点はありますか?」

「軍務局等と話をしながら確認するが・・・今の所、『戦費を全て』というのがな・・・

 どこまでだ?」

「義勇軍に対して魔王国への謝礼は必要ですが、個々の兵士への給金等は支払わなくて良いそうです。

 ですが、派遣する兵士達の士気を上げる為にも、新品の武具一式を用意して欲しいそうです。」

「ふむ・・・・2000名の武具か・・・タケオ、そこに条件はあるのか?」

アズパール王が聞いてくる。

「武具一式については、あくまでも魔王国製の物と指定されています。

 まぁ、多種族ですので武具にも種族特性があります。魔王国内で用立てた方が結果として安く済むでしょうね。

 種族的な事を言えば、宿泊テント等も・・・要は全て魔王国製の新品を購入してくれという事です。

 ヴァレーリ陛下としては、アズパール王国に魔王国で買い物をさせる事でお金を落とさせ、国内経済の活性化を図りたいのだと思います。」

武雄が言う。

「ふむ・・・人員以外の全てか。

 となると、馬や輜重用の幌馬車は当然としても、武具や軍服だけでなく下着等の衣類まで購入するのか。それに義勇軍2000名の宿など街道沿いにも国境近くの辺境にも確保出来る訳がないのだから、開戦までは2000名がテントを張れる宿営地もアズパール王国内に整備する必要があるな。

 ・・・・・・なるほど。」

アズパール王が頷く。

「ご主人様、今の条件で、ご主人様は事前交渉をしてきたのですね。

 ご主人様の考えは別として、王城がどう判断するか・・・」

ジーナが聞いてくる。

「えぇ。これが高いか安いかの判断は、各々の視点で異なりますからね。

 ジーナは、どう思いますか?」

「安いかと・・・魔王国の王軍2個大隊ですよね?

 先程の条件ですと・・・戦場への到着までにかかる費用は、金貨4000枚か5000枚程度でしょうか?

 給与等の人件費が魔王国持ちというのは、ほぼ折半に近い提案かと。」

「その後の食費や維持費など兵站全体を考えるとまだ増えそうですが、最低でも第1騎士団並みの戦闘力で実戦経験を持つ部隊を2個大隊、練兵期間もなく直ぐに前線に配置出来ると考えれば安いでしょうね。

 それに行き帰りの道中の安全確保もしないといけないので、街道沿いの各領主には魔物討伐等の費用負担が掛かるでしょうか。」

「あ、それって、以前連絡があったウィリプ連合国への経路となる街道の中継地点に、魔王国の兵士による拠点を整備する件ですか?」

「うん、それもあります。」

武雄が頷く。

「ふむ・・・そう考えれば更に費用が掛かるという事ですね?」

「そうですね。

 とはいえ、ジーナの言った、人件費は向こう持ちというのは破格の提案です。

 余程、ウィリプ連合国に捕らえられている国民を救出しに行きたいのでしょうね。」

「なるほど・・・それで、最低限がこの条件という事ですね。」

ジーナが頷く。

「ふむ、魔王国側の条件は承知した。

 それと、義勇軍の指揮官としてタケオの派遣も許可しよう。」

「いや、しなくていいんですけど。」

武雄が即答する。

「・・・だが、カトランダ帝国との調印の際、タケオはクリフの側に居て欲しいというのもあるんだがなぁ。

 それよりも、義勇軍の指揮官はタケオとエルヴィスしか選択肢はないのか?」

「私とエルヴィスさんは、ヴァレーリ陛下とそこそこ面識がありますからね。

 それに、今後は新しい隣人になる事も考慮すれば、無茶な突撃などの指示はしないだろうとの事です。

 派遣した義勇軍を、最前線で使い潰される訳にはいかないと言っていましたよ。」

「同じ立場ならそういうだろうが・・・んー・・・その辺は、戦術や部隊配置も考慮せんといかんな。」

アズパール王が考えながら言うのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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> アズパール王国とウィリプ連合国の戦争時の魔王国からの義勇軍について 対ウィリプ連合国 戦での、  負けない確率を、どう上げてゆくか、  必要経費&条件をどう見積もるのか  国王:アラン陛下の、…
しれっと侍女ダニエラとして来そう。
信頼度も実力でも当面はタケオさんに任せないとね 調印はあの人で
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