第3419話 ジーナとヴィートは軽く打ち合わせ。(陛下は物凄く弱気で待機中です。)
ジーナとヴィートは総監局で打ち合わせをし、人事局、軍務局、警備局に挨拶をして、寄宿舎に来ていた。
「ここが私の部屋ですか。」
ヴィートが自室を見まわしながら言う。
「はい、机とベッド等の家具は私が使っていた物を移動してあります。
特に思い入れもないので、入れ替えても構いません。
ちなみにヴィート、リュック以外の荷物はないと事前に連絡が来ていますが、その通りですか?」
「はい、ヴィクター様よりこっちで買った方が良いだろうと。
スミス様に言えば、良い店を教えてくれるだろうし、今後もそこを利用するだろうと思っています。」
「わかりました。
・・・買い物に行く程の時間はないですし、待っているだけには少し長いですね。」
ジーナが懐中時計を見て呟く。
「ふむ・・・ヴィート、スミス様達が戻るまで少し復習をしましょうか。」
「はい。」
「まず、キタミザト家の守秘項目から。
スライム関連はわかりますか?」
「はい、教わっています。」
ジーナは、ヴィートが学んできた知識の確認を始めるのだった。
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アズパール王の執務室。
アズパール王と宰相のオルコットが話している。
「・・・これはまた、明日、明後日と会議が目白押しだな。」
アズパール王が武雄の予定表を見ながら呟く。
「キタミザト殿は引く手数多ですから。
それでも今夜の陛下との会談が朝方までかかるだろうからと、明日の会議の開始時間は遅くしております。」
オルコットが言う。
「ふむ、というより・・・タケオとの会談は明日の朝で良かったのではないか?」
「いえいえ、夜に聞くことで研ぎ澄まされる事もございます。
ちなみに、陛下は明日の朝9時から仕事です。」
オルコットが言う。
「・・・我、国王なんだよな?
臣下より待遇が悪いんだが?」
「はい、国王自らが忙しくしていれば、下の者も見習いますからね。
なので、他の臣下達に率先して陛下の姿勢を示して貰わないといけませんね。」
「ぐぬぬぬ・・・」
アズパール王が苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「ふふっ・・・まぁ、冗談はさておき。」
「え?冗談ではないんだが?」
「キタミザト殿が陛下に時間を作るように要請してきた内容が気になります。」
オルコットはアズパール王の問いに反応せずに話を進める。
「そこなぁ・・・この時点でもタケオ本人や周りのマイヤーやジーナから連絡が来ていない。
となると、他に漏らせないような相当厄介事ではあるが、すぐに駆け込んでこないところを見ると緊急性はあまりないのかもしれないな。」
「ふむ・・・キタミザト殿とエルヴィス殿の2人で協議したが、陛下の裁可が必要な、何か・・・
まぁ、魔王国絡みでしょう。」
「そこはそうだが・・・実際、本当に緊急性があるような件・・・ウィリプ連合国関係はドラゴン便で魔王国から直接持ってきた。
そこまでの緊急性はないという事なんだろう。」
「そうですね。
人を動かすような事ではなく・・・というのが、少々わかりませんね。
キタミザト殿は魔王国関係の輸出入業をしていますし、特に何か規制を受けているわけでもありません。
なので、陛下への相談とは基本ならないと思うのです。」
オルコットが言う。
「まぁ、そうだな・・・ま、それも数時間後にわかるか。
オルコット、同席しなさい。」
「あ、今日は孫と夕食を取るので無理ですね。」
「こ、国政に関わるかもしれないんだぞ?」
「はは、何を言いますのやら、陛下が見る書類と裁可する物は、全ての案件が国政に関したものです。
お間違えなきよう。」
「・・・一緒に聞かないか?」
アズパール王が、物凄い弱気でオルコットに聞く。
「前にも言いましたが、緊急性がそこまであるかわからない報告は、陛下が報告を受けて、吟味し、私達に伝えるという流れが必要です。
それは私も含め、各局長が常々申し上げているでしょう?」
「・・・そういう意思の統一は不要じゃないのか?
聞きたい者が1人も居ないのもどうかと思うんだよ。」
「・・・キタミザト殿の持ち込む曰くありげな報告を率先して聞きたがる人間は、少なくとも王城の文官には居ませんよ。
それに、今回はキタミザト殿からの御指名です。
皆に話す前に、是非とも陛下の判断を仰ぎたい魔王国絡みの案件なのでしょう。」
「我、1人の判断では心もとない。
オルコット、お前も居てくれ。」
「はぁ・・・どの様に判断されても後で局長達が何とかします。
まずはキタミザト殿、そしてエルヴィス殿の考えを聞き、陛下御自身で一度考えてください。
その上で、良し悪しがあるのなら、私達が補正します。」
オルコットが言う。
「・・・何とかなる内容なら良いんだがなぁ。」
アズパール王が腕を組んで考える。
「キタミザト殿と良き案を考えてください、
さて、陛下も仮眠を取ってください。
たぶん、長時間の打ち合わせになるでしょうから。」
「そうだな。
オルコット、各局とタケオとの明日からの会議について、良い流れで終われるように指示をしておいてくれ。
これだけの会議が連続だと、流石にタケオでも疲れるだろう。」
「畏まりました。
要点を事前に列記しておくように通達しておきます。」
オルコットが言うのだった。
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