第3417話 武雄達が去った第3皇子一家の雑談。(ジーナとヴィートは総監局へ。)
武雄達が去った後の第3皇子一家の執務室では。
「うーん・・ヒナ~、どうしたの?
タケオさん、怒ってなかったでしょう?
そんなに緊張しなくても良いのに・・・」
レイラがヒナを抱きながら言う。
「あー、あーあ~。」
ヒナは手足の力を抜いて、レイラに抱かれている。
「ヒナがあんな風に緊張しているの初めて見た気がするわ。
今までは、誰が来ても気楽にしている感じだったしね。
むしろ、うちのエドワードが泣かなかったのが凄い!
良く頑張ったねー。」
アルマもエドワードを抱きながら言う。
「ふむ、ヒナもエドワードも感じるものがあったのかな?」
ウィリアムが言う。
「そうねぇ、タケオさんとジーナちゃん。王国最強の師弟コンビだからねぇ。」
「おそらく戦闘力は1番、発想と事務処理で役割分担がしっかりしていて、行動力も1番かな?
私達は慣れているけど、初めて会ったから何か感じたのかもね。」
レイラとアルマが言う。
「ふぁ・・・」
ヒナが欠伸をする。
「うん?ヒナ、疲れちゃったかな?
ヒナとエドワードは夕寝かな?」
「今寝ると夕食後に寝るかなぁ?
まぁいいか、寝かせちゃおう。」
アルマとレイラが子供達を寝かすのだった。
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王城内 総監局。
武雄達と別れたジーナとヴィートが入ってくる。
「失礼します。」
「失礼します。」
「はい。あ、ジーナ殿、お疲れ様です。
ご用向きは何でしょうか。」
受付の女性が挨拶をする。
「はい、本日付けでスミス・ヘンリー・エルヴィスのお付きを交代しましたので、
引き継ぎの為、後任の者を連れて参りました。
またキタミザトの予定を聞いてきましたので、緊急ですが、ご連絡に参りました。」
「あ、はい!1年間ご苦労様でした!
只今局長を呼んで参りますので、会議室でお待ちください。」
女性が立ち上がり、先にジーナ達を会議室に案内する。
・・
・
総監局の会議室。
ジーナとヴィートが席に座って待っている。
「ジーナ様、こういった・・・会議室に通される事は普通なのですか?」
「・・・普通、ではないですね。
ご主人様の扱っている情報や報告の重要性や機密性が高い事が原因でしょう。
普通なら、良くて担当の課長が対応してくれる程度でしょうか。
ですが、高位の方が対応してくれるのは、ご主人様の立場や評価だけでなく、キタミザト家が王城で信頼されている証でもあります。私達メイドや執事にも情報の簡潔かつ的確な伝達と秘匿が求められます。
いずれにせよ、貴族家としての信用の高さゆえですね。
ヴィートにとっては初めての実務かもしれませんが、それでもキタミザト家の執事です。
情報の取り扱い、そして説明された内容を理解し、簡潔にまとめる知識と頭脳が求められます。
最初から出来る事が理想ですが、おそらくは上手く出来ない場合の方が多いでしょう。
なので、キタミザト家の執事として精進し、出来る様にならなければなりません。
最初は連絡された事を確実に伝える事から始め、徐々に簡潔に説明出来るようになれば良いでしょう。
まずは確実に正確な内容をお伝えする事から始めましょう。」
「はい、ジーナ様。」
ジーナの言葉にヴィートが頷く。
「失礼する。」
総監局長とオルコット宰相が入室して来ると、テーブルを挟んでジーナ達の対面に立つ。
ジーナとヴィートは起立し出迎える。
「この度は、急な対応を頂きまして申し訳ございません。」
ジーナが言う。
「いえいえ、構いません。
キタミザト殿が来られて、すぐに予定の確認をしてくれて感謝します。
今お茶を用意させます。
まずはお座りになってください。」
「失礼します。」
総監局長が言い、ジーナが答えると皆が座る。
「さて、キタミザト殿の予定の前に、この子ですね。」
総監局長が言う。
「はい、私の後任でヴィートと言います。
魔人種で、故あってキタミザト家で保護し、エルヴィス伯爵家にて執事教育を終えております。
今後は、スミス・ヘンリー・エルヴィス様のお付きとして働きながら、キタミザト家と王城の連絡用員も務めます。
ヴィート、こちらが総監局長、そして宰相のオルコット殿。
お二人は王城内の各局だけでなく、執事やメイド達との調整も行っています。
ご主人様が出張で王城を訪れる際、宿泊する部屋の確保もしてくださいます。」
「ヴィートと申します、よろしくお願いします。」
ジーナが言うとヴィートが頭を下げ、挨拶をする。
「はい、よろしくお願いします。」
「こちらもよろしくお願いします。」
総監局長とオルコットがにこやかに頷く。
「失礼します。」
文官が入って来て、4人にお茶を配膳して退出していく。
「総監局長、オルコット宰相。 以前、陛下から頂いた予定表にご主人様の予定を追記しました。」
ジーナが総監局長の前へ予定表を差し出す。
「はい、ありがとうございます。
・・・うん?3日程外出を?」
「はい、王都近郊のレッドドラゴンに会いに行くとのこと。
ビエラの子ですので、様子を見に行くのだと思います。」
「なるほど・・・、オルコット宰相。」
総監局長は頷くと、手元の予定表をオルコットに回す。
「・・・なるほど、わかりました。
今夜はキタミザト殿と陛下の直接会談があります。」
「はい、その際のお茶出し等は私が務めようと思いますが、よろしいでしょうか?」
オルコットの言葉にジーナが言う。
「わかりました。
ジーナ殿なら問題はないでしょう、陛下には伝えておきます。
明日からの予定は、明日の朝までに確定させて連絡を入れます。
ジーナ殿は今日から王都守備隊の第八兵舎でしたね?」
「はい。」
「わかりました。
そちらへ届けましょう。」
オルコットが頷くのだった。
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