第3403話 435日目 まだ深夜、ジーナは引っ越し荷造り中。(エイミーはプチ反省会。)
日付が変わった辺りの深夜のジーナの部屋。
「・・・これで粗方入れましたかね?」
ジーナが木箱を見ながら言う。
「結構入るね、この箱。」
パラスも人間大になり手伝いながら言う。
「あまり物は買って来なかったと思いましたが、あるものですね。」
ジーナが言う。
「タケオが来たら第八兵舎に移動するから、この部屋は空にしないとね。
えーっと、王立学院で使った物はしまった。
陛下とのやり取りは箱の奥底に下着等に包んで隠しているから大丈夫。
着ていくメイド服の用意と移動時の作業服関係、下着等の旅支度は終わっているよね。」
パラスが言う。
「はい、衣服等は支給されたリュックともう1つのリュックに詰めました。
それと小銃改や武器が入ったケースだけですよ。」
「来る時に支給された長方形の皮のケースね。
結局、小銃改の訓練出来なかったね。」
「使用する機会もありませんでしたから。」
「それもそうだね。
マリとの訓練が忙しかったし。
あとは今着ているメイド服をしまって、寝間着は明日の朝に着替えたらしまうと。」
「そうですね。
・・・うん?ロロが来ましたか。」
ジーナが言うとクローゼットの天井部分が少し開いたかと思うとロロがやって来る。
「ロロ、旅から戻りました。
寄宿舎等の報告を聞きましょう。」
ジーナがロロと話を始めるのだった。
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寄宿舎のエイミーの部屋。
「・・・」
眉間に皺を寄せながら不機嫌にエイミーがお茶を飲んでいた。
「遅くまで弁明は聞きましたが・・・
まぁ、予想の範囲内でしょうか?」
ドネリーが言う。
「・・・あの2人には、もう少し寄宿舎内での行動に配慮をして欲しいものね。
イーデンから苦情が入っていないからグレースとカイルはイーデンに知られていないと思っているようだけど。
グレースが玄関に居た時のあの臭いだと・・・イーデンが気が付かない訳ないのにね。」
「まぁ・・・部屋が近くですし、出入りやらその後の雰囲気、そしてあの臭い。
毎日会われていたでしょうからね、わかるでしょうね。
知られる要素は多々あるでしょうが、知らずは本人達のみというのは良くある事です。
ジーナ様には慌てて物を隠したのを発見するとは言いましたが・・・まぁ、そこもわかりましたからね。
嘘は言っていません。」
「スミスもジーナもわかっていて言わないだけよ。
スミスは娼館に行った事あるし、ジーナはタケオさんとアリス様でわかっているでしょ。」
「言わない優しさですね。
それにしてもエイミー殿下、先を越されましたね。」
「競ってするものではないと思うわよ?」
「その通りで。
ですが・・・あのお二方は情欲を抑えられるのでしょうか?」
「あの臭いを垂れ流しているからね・・・出来ないのなら、ゆくゆくは親達に知られるだけよ。
前々から私は警告はしていた。
それでもしていて、お腹が大きくなった・・・あとは本人達で何とかしなさい。
私の出る幕ではないわよ。」
エイミーが言う。
「そうですね。
イーデン様があのお二方に当てられて、大進展しなければ良いですね。」
「流石にあっちもこっちもだと、精神衛生上問題あるわね。
そうなったら私は引っ越すわよ。」
「お咎めにならないので?」
「私は卒業するからね。
部屋は借りているけど、余程の事以外は口を出さないわ。
グレース達は寄宿舎の最上級生になるのだから本人達の責任ですれば良いわよ。
覚悟があってしているのでしょうからね。
これはグレースにもさっき言ったけど・・・
ま、グレースは出来てないけど、そこは婚約者同士、本人達の間ではそういう話なんでしょ?」
「そう・・・ですね。
スミス様は大丈夫でしょうか?」
「前にも話したかもしれないけど、スミスとは話をしていて、最低でも私が卒業するまで性交渉はお互いに求めない事になっているわ。
今回の旅行でも我慢してくれたと思っているわよ。」
「・・・卒業したら良いと?」
「まぁ、言葉上ではそうね。
とは言え、『卒業しました』、『はい、しましょう』なんてなるわけないでしょ?」
「・・・・・・・・・そうですか?大丈夫ですか?」
ドネリーが考えながら言う。
「いや、どれだけ我慢してるのよ?」
「人は見かけによらないとは良く聞きますし。
スミス様もエイミー殿下も性欲を抑えているだけなので『卒業』というイベントで鬱屈した性欲も解放されるのではと。」
ドネリーが言う。
「ふむ・・・」
エイミーが考える。
「卒業の日に高級宿の一室を予約しておきますか?
レストランも予約して。」
「わー、やる気満々で周囲にバレまくりね。」
エイミーが呆れながら言う。
「何処ぞの我らが陛下は喜ばれると思いますが。
ニール殿下やエルヴィス伯爵殿方は微妙でしょうか。」
「いや、うちの父上は大丈夫よ。
エルヴィス伯爵殿は苦笑してくれるんじゃない?
タケオさんやアリス様は嬉しがるかも。」
エイミーが言う。
「なら、実行しても大丈夫ですね。」
「いや、しないけどね?」
「えー?」
「『えー?』じゃないわよ。」
エイミーが呆れながら言うのだった。
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