第3402話 434日目 エイミーが寄宿舎に戻りました。(さーて、グレースは何をしていたかな?)
陛下と第3皇子一家で歓談をしたスミス達は寄宿舎に戻ってきた。
「エイミーお姉様、スミス、お帰りなさいませ。」
玄関でグレースが出迎えていた。
「うん、戻ったわ。
で・・・大きめの箱が来ているわね。」
エイミーが玄関横に置かれた木箱を見ながら言う。
「はい、今日の朝、王城の総監局が持ってきました。
ジーナの引っ越し用と聞いています。」
「あれ?ジーナ、雑貨屋で手配したのではないの?」
エイミーがジーナに聞く。
「はい、総監局に一旦入れて、ここに送ってもらいました。
で、ここから総監局がエルヴィス伯爵邸に送付します。」
ジーナが言う。
「・・・ジーナ、総監局がジーナの荷物を送るの?
確か来た時はスミスとジーナの荷物は普通に業者が持ってきたと思うのだけど?」
「はい、相談したらそうなりました。」
「総監局が動くのね・・・ふむ。」
エイミーが考える。
「ええ、私が扱った書類が入るので・・・少々、厳重に送るそうです。」
「「「厳重?」」」
エイミー達が首を傾げる。
「はい、陛下とご主人様とのやり取り関係は、今の時点で見せられない物があるので・・・厳重にして送付です。」
ジーナが言う。
「あー、キタミザト家関係か。」
「はい、とはいえ荷物のほとんどは私の私物なのですけど。
まぁ、そんな感じで送ってくれるそうです。」
ジーナが言う。
「まぁ・・・王城がそう動くのならそれで良いでしょ。
ジーナ、荷造り頑張ってね?
手伝う?」
「いえ、私1人で十分です。
詰めるだけですし。」
ジーナが言う。
「わかったわ。
なら、部屋に戻りましょうか。
グレース、寄宿舎で異常は?」
「ありません。」
グレースが言う。
「そう・・・あ、グレースとお茶でもしますか。
グレースの部屋でね。」
「え゛・・・」
「うん?何かあるの?」
エイミーが目を細めながらグレースに聞く。
「いえ・・・ありません。」
「そう。
まさか、私という重しがなくなった途端にカイルと何したの?」
「しておりませんよ?エイミーお姉様。」
グレースが言う。
「なら、室内を見ても大丈夫ね。
10分後に行くから。」
エイミーが言う。
「・・・はい・・・」
グレースが返事をする。
「スミス、ジーナ、ご苦労様。
洗濯は明日にして、今日はのんびりと・・・ジーナは出来ないか。
スミスはのんびりしてね。
ドネリー、グレースとお茶するから用意して。
部屋着に着替えたらグレースの部屋に行くわ。」
「了解しました。
すぐに用意します。」
エイミーが去るのをドネリーが頭を下げ見送る。
「僕も部屋に戻るよ。
湯浴みまで部屋から出ないでいるから、ジーナ、何かあれば言ってね。」
「はい、畏まりました。
スミス様、お疲れさまでした。」
「はい、お疲れ様・・・あー・・・グレース殿下、部屋の片づけしないといけないのでは?」
「・・・うん、すぐする。」
スミスとグレースが去っていく。
「・・・ドネリー様、手伝いますか?」
ジーナがその場に残されたドネリーに聞く。
「いえ、大丈夫ですよ。
グレース殿下は予想していなかったようですね、部屋の臨検・・・」
「10分くらいで隠せるのでしょうか?」
ジーナがドネリーに聞く。
「・・・違いますよ、ジーナ様。
エイミー殿下はワザと10分後に行くと行ったのです。
グレース殿下は思いっきり、悪さをした形跡を隠すでしょう。
ですが、10分やそこらで隠した所なんて、私達が見れば不自然になっているはずです。
そこをエイミー殿下は見たいと言っているのです。」
「ふむ・・・悪さをしたら隠すものですものね。
ですが・・・カイル様との秘め事は婚約したので良いのでは?」
「でしょうが、イーデン様が居るのにしていたら問題ではないですか?
どうやったとしてもイーデン様は気が付いていると思いますけどね。
エイミー殿下は、その辺の注意をしに行くと思います。
と、お茶の用意をしますので、私はこれで。」
ドネリーが食堂の方に去っていく。
「ふむ・・・確かにあの部屋の近さなら、出入りもわかりますよね。」
ジーナが頷き、木箱を持ち上げて自室に向かうのだった。
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アズパール王の執務室。
アズパール王とニールが居た。
「ふむ、来てもらってすまないな。」
「いえ、父上、問題はありませんが・・・エイミーが挨拶に来てくれませんでした。」
「ニールが居る事を認識していなかったようだな。
明日にでも挨拶があるだろう。
それに何もしていないとはいえ、疲れているだろうからな。
今日は寝かせておけ。」
「そうですね。
で、父上、呼ばれた用件はなんですか?」
ニールが聞く。
「うむ、タケオが来る前にこれを読んでおいてくれ。」
アズパール王がニールの前に冊子を置く。
「失礼します。
『カトランダ帝国との慣例の戦争要旨』・・・ですか。」
「外交局と軍務局でまとめられたものだ。
今現在わかっている事が書かれている。
見た後は外交局長に直接渡せ。
局長が我の前で破棄をする事になっている。」
「わかりました。」
ニールが頷くのだった。
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