第3387話 試験小隊の面々は。(買い出しと飲み。)
エルヴィス伯爵領 西町。
武雄が西町局長との歓談に向かったので、ベテラン勢は飲みに繰り出し、ブルック、アーキンと子供達、ブルックに抱えられたリーザは町中の散策をしていた。
「野菜が安いわね。」
ブルックが店先に並んだ商品を見ながら言う。
「そうだな。
少し安いな。
この地では野菜が多く取れるんだろうな。」
アーキンが言う。
「ブルック殿、野菜の確保出来ました!」
ミルコがメモを見ながら集めた商品を取りまとめて言う。
「うん、わかったわ。
リーザ殿、何か欲しいですか?」
「ぎゅ?ぎゅ!」
リーザが目一杯腕を伸ばして、オレンジを指している。
「オレンジ等の果物ですね。
ミア殿も良く食べますから買っておきましょうか。」
「ぎゅ♪」
リーザが頷く。
「明日の夜はクゥ殿が居た所で野宿だけど、この寒さだから鍋が良いよね。
道具は所長に持って来て貰っているから・・・あ、明日の移動時は皆に出汁を取る為の水筒を持たせないといけないか。」
ブルックが言う。
「野菜だけでなく、肉も買いに行かないとな。
それなりの量は買わないといけないだろうな。」
「・・・牛肉にしようか・・・経費で落ちるし・・・」
アーキンの言葉にブルックが呟く。
「まぁ、所長は貴族だし、侯爵になるから、少しは贅沢にしても良いと思うぞ。」
「だよね。」
ブルックが頷く。
「牛肉ですか?
いつもオーク肉ですから牛肉は久しぶりです。
ね、お姉ちゃん。」
「私はオーク肉でもありがたいけどね。」
ミルコとアニータが言う。
「確かに最近は鶏肉を目にはするけど、オーク肉が普通ですよね。
牛肉はあまり食べられないよね。
私は給料日にちょっと美味しいのを食べるくらいかなぁ。」
「給料日に実家に戻って、弟妹に牛肉を振舞うくらいかなぁ。」
パメラとケイが言う。
「貴女達・・・まぁ、店先で見たら牛肉は高いか。
でも王都に比べると安いんだけどなぁ・・・出されている肉を基準にするしかないか。」
ブルックが頷く。
「うーむ、まぁ、今後は皆で食べる時は牛肉を多くしてやるしかないか。」
「うん、だね。
ま、それは追々か。
明日は牛肉にします。
ミルコ、小分けにして貰って一旦、部屋に持って行こうか。
その後は精肉店ね、」
「「「「はーい。」」」」
ブルック達は買い出しを続けるのだった。
西町の酒場では。
「うーーん・・・」
ベイノンがメニューを見ながら唸っていた。
「うん?どうしました?」
アーリスが聞く。
「いや、価格は多少違いがあるが、伯爵邸がある街で出ているワインと種類に変わり映えがないと思ってな。」
「ロー殿達の酒屋組合が正しく機能しているという事だな。
地方領とはいえ、バラツキがある所は多い。
その点、ロー殿達は行き渡らせているという事だ。」
マイヤーが言う。
「うん、そうなんですよね・・・西町なら王都からも入って来て良いと思うんだよなぁ。」
ベイノンが言う。
「王都が卸す気にならないのでは?」
ブレアが言う。
「王都自体の消費が多いからか?」
オールストンが聞く。
「それもありますけど、この町だけではそこまで多くの量を捌けないでしょう?
そういった少量の取引する手間を考えれば、しなくても良いと思っているのではないですかね?」
ブレアが言う。
「あー、あり得そうですね。
ですが、エルヴィス伯爵領はウォルトウィスキーがありますよね?
あれが王都に広まれば、どうなるんでしょう?
少しはエルヴィス伯爵領にも卸すのでしょうかね?」
アーリスが言う。
「・・・あれは領内だけの流通だろう?
王都向けは今の所、所長が持って行くだけで土産程度の認識のはずだが・・・」
マイヤーが言う。
「そうでしたね。
あと3年後に流通量が多くなった際に王都に卸されるのですね。
その時に王都の酒屋組合がエルヴィス伯爵領に卸すのか・・・どうなるかわかりませんね。」
アーリスが言う。
「少なくともエルヴィス伯爵領側は酒屋組合がしっかりしているだろうし、供給元を押さえているのはロー殿でその後援は所長だからなぁ。
どういうルートで卸すかで王都の酒屋の動きが変わりそうではあるな。」
マイヤーが言う。
「王都側は掴んでいるんですかね?
所長が渡している先が王族で、輸出が拡大するならそこから注文があると。」
「うーん・・・エルヴィス伯爵領内ですら流通量は少ないのなら、王都では知らないだろうからなぁ。
そこは所長も王家も誰かに事前に言わないだろう。
私達が心配する事でもない。
なるようになるさ。」
マイヤーが言う。
「ま、そもそも王都の酒をエルヴィス伯爵領側が欲しがるか・・・という根本があるのだがな?
今でも問題ないのに、わざわざ王都の高い酒をいれるのだろうか?」
ベイノンが言う。
「「「「んー?・・・」」」」
見ながら首を傾げるのだった。
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