第3385話 431日目 エイミー達は順調に王都に向かっています。(将棋は王家では趣味でするものです。)
第1皇子一家領の王都に続く街道の町。
スミス達が宿でのんびりとしていた。
「はぁ・・・流石に毎日馬車だとやる事がなくなるわね。」
エイミーが言う。
「ですねー。」
アンが相槌を打つ。
「第1皇子一家領で本も入れ替えましたけど、読み終えてしまったようですね。」
スミスが言う。
「うん、読み過ぎたわ。
ついつい読み進めてしまうわね。」
エイミーが言う。
「ビエラ殿はジーナと将棋をしているよね。
どちらが勝っているの?」
アンが聞いてくる。
「3勝2敗で私ですね。」
「ジーナ強いねー。
エイミー将棋しないの?」
「うーん・・・スミスとジーナは王立学院で教科としてやっているので慣れているのでしょうけど、私は動かし方は覚えたのですけど、なかなか勝てなくてね・・・」
エイミーが苦笑しながら言う。
「エイミー強そうだよ?」
「そうですか?
アンはしますか?」
「私はあまり・・・父上がクラリッサお母様と良くしているのを見ていたくらいです。」
エイミーの問いにアンが言う。
「第1皇子一家ではしているんですね。
第2皇子一家ではしていませんでした。」
エイミーが言う。
「父上が王城に入ったら、する機会が増えるだろうから慣れておかないといけないと言っていました。」
「今の所、王城内で流行ってはいないと思うけど、来たら何かするつもりなのかしら?」
エイミーがアンの言葉を聞いて首を傾げる。
「今、王立学院で教科としてやっているのを知ったのではないですか?」
ドネリーが言う。
「エイミーお姉様、あれです、若手と親睦を深める為です。」
アンが言う。
「若手と将棋をするって事?
ん~・・・次期王としての動きかしらね?
でも、玩具とはいえ、勝負事を親睦に使うのは・・・若手達が気を使うんじゃない?」
「気を使って、意図的にクリフ殿下に負ける・・・ですか?」
エイミーの言葉にスミスが言う。
「うん、出来ると思うんだけど・・・難しいの?」
「将棋は交互に駒を動かすんですよ・・・わざと負けると本人達だけでなく、周りの人達もわかるんじゃないですか?」
「そうですね・・・あからさまに駒を動かさなくするとかあったりすれば、わかるでしょうけども・・・
エイミー殿下、たぶん、わざと負けるのは可能ですが、それだと悪い見方をすれば、クリフ殿下を見下す行為になりはしませんか?
『私は強いからクリフ殿下に手心を加えた』とか。
もっと悪く考えれば、クリフ殿下が自身が勝つために若手に負ける事を強制したと言われるかもしれません。」
スミスとジーナが言う。
「ふむ・・・お互いに実力を出して、クリフ伯父上が勝てば良いけど、負ければ王としての才覚を疑う声が出かねない。
かといって勝ったとしても、回りから相手が手心を加えた風に見えた場合は、王の資質が疑われるか。
お爺さまに言って、将棋やリバーシは趣味であるべきで、王家が公式に対戦をしたり、多くの者が居る前での対戦は禁止にして貰った方が良いかもね。」
エイミーが考えながら言う。
「父上も大変ですね。
勝っても負けても何か言われるなんて・・・」
アンが微妙な顔をさせながら言う。
「しょうがないわよ。
皆が皆、善意で動いている訳ではないからね。」
アンの言葉にエイミーが言う。
「ですが、エイミー殿下の言では趣味では良いのですよね?」
ドネリーが聞いてくる。
「良いんじゃない?
気心の知れた知り合いと将棋をしながらのんびりするのは大事だと思うわよ?
そこに観衆を入れると面倒という事ね。
やるなら2、3人だけとか、家族だけとかの時にするべきよ。
少なくとも王家ではね。」
エイミーが言う。
「なるほど・・・スミス様、ジーナ様、周囲からわからないように手を抜くのは可能でしょうか?」
ドネリーが聞く。
「うーん・・・出来なくはないよね?」
スミスがジーナを見る。
「出来るとは思いますが、勝敗を自ら決められるという事は相当腕が立つ方でないといけないかもしれません。
それでいて、負ける為に相手が駒をどう動かすのかの誘引しないといけないでしょう。
相当ではなく、かなりの実力がないと出来ないかと。」
ジーナが言う。
「うーん、なるほど。
スミス、ジーナ、それが出来るのは王立学院に居る?」
「「そんな事出来る方は居ません。」」
スミスとジーナが言う。
「そう。
タケオさんは?」
「うーん、わかりません。
数回程度しかやった事ないですから。
タケオ様なら出来る可能性はあるとしかいえません。」
「ふむ、なら・・・クリフ伯父上は将棋の対戦を公表するべきではないかもね。」
エイミーが言う。
「あ、そういえば、今日はご主人様が王都に向けての出立日でした。」
ジーナが言う。
「私達も王都に向かっているけど、各貴族も向かっているという事ね。
あまり出くわしたくないから、町中を出歩かない方が良いかもね。」
エイミーが言うと皆も頷くのだった。
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