第3367話 ウィリプ連合国の新年会。(欲の多い国家だね。)
ウィリプ連合国 大統領府官邸の大広間。
ウィリプ連合国に属する各国の国王や側近が一堂に食事をしていた。
「アンヘル大統領、今年も各国とも問題なく運営が出来る事を望みますね。」
「あぁ、各国の速報を見させてもらったが、作付けも順調と書いてあった。
やはり人間種は領地運営が得意という事でしょうな。」
アンヘルがうんうん頷きながら言う。
「ですが、デムーロ国が魔王国に侵攻され、国土の約半分を失ったというのは驚きました。
労働力の品質が下がれば、国内生産が少し狂うかもしれません。」
ドローレスが言う。
「まったくだ、私もその話を聞いて驚いた。
人間種と魔人種は兄弟種のようなもの。
生活圏が脅かされ、貴重な労働力まで奪われている。
以前から皆さんには言っていたが、やはり魔物は危険ですな。」
「アンヘル大統領、やはり魔王国打倒を宣言し、アズパール王国に協力するように要請を出すのですか?」
ファルケが聞いてくる。
「あぁ、アズパール王国はいまいち魔物の脅威がわかっていない。
奴らが存在するから領地が増えない、農地が増えないのがわかっていない。
しまいには魔物との共存を国是としているなど、狂っているとしか思えないですな。
私達が主力になり、魔王国を打倒し、アズパール王国の人間種達を助けないといけないだろう。」
アンヘルが言う。
「確かに、我ら人間種以外の魔物は上手く運営を出来ていないと聞く。
部族集団で固まって生活しているのでしたかな?
村々が集まって国家を形成しても、我らのような文明は作り上げられないでしょうな。
それにデムーロ国への侵攻も数の多さ頼みで押し切ったと報告書を見させてもらったが。
数頼みというのが・・・駒を上手く動かし、相手を除するのが戦争でしょう。
デムーロ国は人間種の兄妹国家であろうと、やはり人間種には敵わないらしい。
有象無象の大軍などに国土を持っていかれたのですからね。」
バンデラスが言う。
「まったく、人間種が居ないとこうも魔物に弱いのか・・・情けないですな。
ま、魔王国への侵攻に先立ち、アズパール王国への協力を要請。
それをアズパール王国が蹴るのなら、蹂躙して進むだけです。
そして魔王国を打倒し、アズパール王国に住む人間種に魔物に怯えない安心な生活を送らせないといけないでしょう。」
アンヘルが言う。
「では、計画の通りに準備に取り掛かれば良いのでしょうか?」
「ええ、準備期間としては3年半、10月から1か月かけてアズパール王国内を行進し、魔王国とぶつかりましょう。
少なくとも緩衝地帯を設ける事が出来る範囲の占領とアズパール王国への領土貸付を実施すれば良いでしょう。
もしくは勝ち取った領土分を分割して貰うというのも良いでしょう。
その際には皆さんにアズパール王国から譲渡された領地の分配を行わさせて頂きます。」
アンヘルが言う。
「カトランダ帝国は我らと共に魔王国への侵攻に同意しているのでしたな?」
バンデラスが聞いてくる。
「ええ、8000名の出陣を約束頂いています。
なので、我が方は11500名と8000名でアズパール王国に入ります。
その数を見れば、アズパール王国も我らと共に魔王国に侵攻するでしょう。
それにあの国は魔王国から切り取った領地を国土にしているのです。
ここで増えるのに何を躊躇するのかと。
まぁ、アズパール王国はカトランダ帝国と同じ8000名の出陣をお願いする事になるでしょうね。
もちろん、最初に拒否をするのなら、侵攻中の兵站はアズパール王国持ちになりますが。」
アンヘルが言う。
「ははは、では、我らとしては是非ともアズパール王国には魔王国との戦争では拒否して欲しいですね。
そうすれば我らの持ち出しも少なくなるというものです。」
バンデラスが笑いながら言う。
「ええ、流石のアズパール王国も約2万の大軍を目にすれば、勝つ方に味方したいでしょう。
ははは、皆さん、アズパール王国に種族の安定という貸しを作って、領地を広げましょう。」
アンヘルが言うのだった。
室内の端では大統領府特務隊が警護をしているのだが。
隊長のルイ・セイジョウが「この国家、危ないよね」と思って場を見ていた。
(どう思う?)
バロールがセイジョウに問いかけていた。
(魔王国との戦争だっけ?
アズパール王国との戦争じゃなかったのかな?)
(名目が違うだけだろう。
たかだか12000名で魔王国が落ちるとは思わん。
魔王国の兵士数はアンヘルは知っているはずだが言わないしな。
まぁ、そもそもアズパール王国との戦争だけしようというのが本心だからな。
アズパール王国の一部を切り取れれば、国土を増やしたという成果に繋がるし、他の国主達の戦力と金を使わせるから自分の支持が安定するとでも思っているのだろう。)
(・・・嫌な大統領だね。)
(世の大国の主導者というのは、そういう者が多いのではないか?
いう事を聞け、聞かなければ開戦だとな。)
(我が儘だねぇ。)
(そういう欲がなければ一国の大統領にはなれんのかもしれぬよ?)
(そうなのかなぁ?)
セイジョウとバロールがウィリプ連合国の首脳陣を見ながら話し合うのだった。
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