第3364話 425日目 協力工房の飲み会。(来年が今と同じと思っているようです。)
エルヴィス伯爵邸がある街のいつもの居酒屋では。
ハワース商会、ラルフの仕立て屋、サテラ製作所、ローチ工房、ステノ技研、イーリーの雑貨屋、ローの酒屋の従業員一同が集まっていた。
席は自由として、皆が他業種との話を楽しんでいるようだった。
「今年も終わりですね。
お疲れ様です!」
「「「「「お疲れ様です!」」」」」
皆がワイングラスを上げる。
「あぁ!今年は激動だった!」
モニカが一気に飲み干して言う。
「それはここに居る皆がでしょう、ほほほ。」
ローがモニカに言う。
「はは、違いない!
俺なんか工場を持つなんて考えもしなかった。」
「それは私もですね。
こんなになるとは思いもしませんでしたし、ここまで手広い商品を扱うとは・・・いやはや、どうなるかわからないものです。」
ベッドフォードとラルフが言う。
「引退して気ままに物を作れるかと思ったが、最新技術に触れられるのだからもっともだな。」
キャロルが言う。
「キタミザト様のおかげですね。」
ローチが頷く。
「まぁ、こっちは来年もこの調子で仕事が来るのだろうな。」
「ありがたい事ですが。
私の方は幌馬車の製作と特殊コンテナ搭載馬車、船ですが、キャロル殿の方は来年は、もっと仕事が来るのではないですか?」
「うん?協力工房の生産ラインの製作や製作器具、コンテナ、船関係、研究所関係はあると思うが・・・」
「スズネ殿から何かあるのではないですか?
今出て来てない事が。」
「・・・紙ファイルか。
そういえば、スズネから言われていたか。」
キャロルが腕を組んで考える。
「キャロルさん、私が何ですか?」
鈴音がやってくる。
「お、スズネ、紙ファイルだがな?」
「穴あけパンチ出来ましたか?」
「・・・うん・・・まだだ。」
「まだですか・・・
次は4つ穴の穴あけパンチをお願いしようと思ったのですが。」
鈴音が言う。
「・・・何だと?」
キャロルが難しい顔をさせて言う。
「今はファイルする為の2つ穴の穴あけパンチをお願いしていますけど、4つ穴にして自分のノートをつくりたいんですよ。」
「うーん・・・スズネさん、聞いて良いか?
ノートはノートで売っている。
それとは別に普通の紙に穴を開けて、ファイルして、ノートとして使うという事ですね?」
キャロルが鈴音を「さん」付けして言ってくる。
「キャロルさんが私の事を『さん』付けするのは武雄さんの前と困った時しかないのに・・・
・・・2つ穴が出来れば、4つ穴は出来ませんか?」
「ふむ、出来る出来ないと言われると出来ると思うが・・・スズネさん、そもそもの事を聞きたい。
ノートが売っているのに、わざわざ紙に穴を開けて、ファイルするのではなく、ノートにしたいのか?」
キャロルが聞いてくる。
「はい、自分のノートを作りたいです。
2つ穴でも良いんですけど、やっぱり4つ穴の方が、端っこにもあなが2つあれば、ノートを開いた時に安定すると思うんです。」
鈴音が言う。
「ふむ・・・なんで作りたいんだ?
ノートがあるのに。」
「え?・・・だって、随分前にノートに書いていた事で何か閃いたらその部分に閃いた事を紙に書いて入れ込みたいと思うのですが・・・」
「なるほど、ノートの紙を自由に出し入れさせたいという事か。
それも2つ穴から4つ穴にする事でノートを開いた際の安定を考えているというのは発案としては良いとは思うが。
・・・まずは2つ穴の紙ファイルの出来るのを待っていてください。
その後に4つ穴、6つ穴の穴あけパンチの話をさせてください。」
「わかりました。
なら2つ穴の穴あけパンチをお願いします。
その後に依頼をします。」
「はい、そうしてください。」
キャロルが頷く。
「はぁ・・・で、スズネ、なんで今日は居るんだ?」
「研究所は年末年始の長期休暇に入って居ますよ。
なので、今日の私はステノ技研に付いて来ています。」
鈴音が言う。
「そうか。
で、その長期休暇でスズネは何をしているんだ?」
「・・・えへっ♪」
鈴音が笑って誤魔化そうとする。
「その顔は何もしていないな。
・・・まぁ、休暇というのであれば、どう過ごそうが個人の勝手だがな。」
「・・・」
キャロルの言葉に鈴音は笑顔を崩さない。
「まぁまぁ、第二研究所ですから。
部下の方がのんびりする為にキタミザト様が特殊な休暇を用意したのでしょう。」
「ふむ、それはわかるが・・・スズネは何をしている?」
「自室に居ると何もしないと思ったので、場所を替えて、テイラーさんの店先でお茶を飲んでいます。」
鈴音が言う。
「はぁ、場所を変えてもやっている事は変わらないな。
若いのだからもっと外に出ないといけないと思うが・・・これがスズネの休暇の過ごし方なのだろう。」
キャロルが渋々頷く。
「そうですね。
何もしないという大人な時間ということですね。」
ローチが言うのだった。
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