第2854話 343日目 魚市場に行ってみよう。(雑魚は雑魚で美味しい・・かも。)
夜明け前の魚市場というか買取所。
空の明るさが増してきているが、次々と船が横付けされて取れたての鮮魚が下ろされている。
武雄とノット、ブレアが魚屋の店主に聞いた場所に取引を見学しに来ていた。
「おっちゃん、これ色々と種類が違うけど売らないの?」
武雄が漁師の後ろから声をかける。
「うん?ああ、それは売り物にはならんなぁ。
にいちゃん、すまんが、あっちに避けといてくれるか?
お礼に1匹贈ろう。」
漁師が指さす。
「わかりました。
今日はどんなのが入ったんですか?」
「うん?今日はタラが多めだな、あとは大き目の魚がそれなりにだな。」
「小魚は?」
「あー、それはうちじゃないな。
あっちの・・・あれだ、あそこで5人くらい居るだろう?
あそこで仕分けしているぞ。」
「わかりました。
なら、タラを1匹ください。
この廃棄の魚を端に持って行ったら向こうを見ますね。」
「おう。
おい!仕分けにかかるぞ!」
漁師が武雄を見ずに他の同僚達に声をかけている。
「・・・」
武雄は言われた通り、雑魚が入った木箱を他の雑魚が入っている箱が集積されている所に持って行く。
「所長、私がやりますよ?」
ブレアが言う。
「良いですよ。
それにしても・・・たぶん、これ食べられるよね。」
武雄が雑魚の入った木箱を見ながら言う。
「食べた事ないですが・・・食べられるのかもしれません。」
「頭とヒレ、内臓と骨と皮を剝いでフライにすればわからないだろうに・・・」
武雄が言う。
「怖い事を言いますね。」
「見た目があれでも食べれば美味しいのなんて数多くある物ですよ。
雑魚は結構あるんですね。」
「はぁ・・・で、所長、その雑魚というのはなんですか?」
「売れない魚の事ですよ。
買ってみましょうか。」
「買うんですか・・・」
「フライか、つみれとかのすり身にすればわからないだろうしね。
どうせなら食べてみましょう。
ダメならケアで回復すれば良いのですし。」
「そう言った事に体を張るとは・・・思っていましたが、いざとなると躊躇します。」
ブレアが諦めながら言う。
「見た目はあれですが・・・食べてみましょうよ。
毒があるかは初雪が最初に食べればわかるでしょうし、安全性は高く出来ますから、たぶん。」
「そ・・そうですね。」
武雄の言葉にブレアが頷く。
「雑魚は安く仕入れるとして・・・
小魚とか珍しい魚を見て回りましょう。
あ、そうだ、誰かに魚用の包丁が売っている所を聞いてみましょうか。」
武雄が見学をするのだった。
・・
・
「7を20、8を30・・・9を20に10を15だな。」
武雄が昨日、話していた魚屋の店主が買い込んでいく。
「お、今日は買い込むねぇ。
待ってな、すぐ用意するよ。」
「ええ、すまん。
あ、キタミザト様、いらっしゃったのですか。」
店主が武雄を見つけて声をかけてくる。
「・・・ええ、少し前から・・・漁師さん達の荷揚げを見ていました。
買えていますか?」
武雄は市場の競りを期待していたようで個々で買い付けていく姿に「買い付けなのかぁ」と何とも言えない顔をさせていた。
「はい、今日は魚が多いですね。
言われていたのは買えています。
気になる物はありましたか?」
店主が聞いてくる。
「あそこにある廃棄の魚を一山いくらで買えますか?
全部買ってきてください。」
「はぁ・・・買えはしますが、食べれても骨が多かったり、身が硬かったりと売れない魚ばかりじゃなかったですか?」
「どれも初めて見る魚ばかりでしたよ。
それでもとりあえず食べてみたいので・・・国に帰る際に楽しめそうなのでね。」
武雄がにこやかに言う。
「わかりました。
こっちの買い付けが終ったらそっちも買って来ます。
他に買うのはありますか?」
「小魚の所でも売れないとか売れるとか話していたんですけど・・・売れない魚を全部。
残りは売れ筋を多めに買ってください。」
「わかりました。
かけ合います。」
「追加で資金は必要ですか?」
「資金としてはあと金貨5枚ですね。」
「そういえば・・・タコとイカも買えるだけ買って欲しいと依頼していましたが、ここに無かったんですよね。」
「あー、イカとタコはこれから上がってくると思いますよ。
これから買いに行きます。」
「先程のよりもこちらを最優先で全部買ってください。
金貨10枚渡しておきます。」
武雄がそう言いリュックから金貨を取り出す。
「そんなには・・・いえ、キタミザト様の意気込みはわかりました。
タコとイカを買えるだけ買っていきます。
で、残りで小魚と廃棄の魚を全部ですね。」
「ええ、お願いします。」
武雄が頷く。
「お任せください。
3時課の鐘の後、店でお渡しします。」
「お願いします。」
「キタミザト様はこの後どちらに?」
「近場の鍛冶屋さんに。
さっき聞いたのですが、魚用の良い包丁が無いか探そうかと。」
「そうですか、お気をつけて。」
「はい、じゃ、お願いします。」
武雄が軽く礼をするのだった。
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