第2825話 その頃の新人小隊というと。(お互いに経験をしよう。)
王城の兵舎内で、エルヴィス家第4小隊の隊長が明日からの予定を発表していた。
「「「「第1騎士団!?」」」」
「うむ、喜べ。
栄えある王都第1騎士団が皆に稽古を付けてくれる。
新人小隊は明日の早朝より第1騎士団に出向し、訓練を受けるように。」
「「はっ!了解しました!」」
新人小隊の小隊長2名が立ち上がり敬礼する。
「あの、第4小隊の方々は?」
新人隊員が手を挙げて聞く。
「私達は前線部隊というよりも部隊の運営を主にしているのでね。
明日から軍務局で研修と打ち合わせだよ。」
隊長が言う。
「まぁ、何にせよ、戦争を経験し、王国最高度の訓練にも参加できる。
他の地方領の新人達では受けられない特別なご配慮だ。
この経験を無駄にしてはならん!
短い間だが、各々出来るだけ吸収してくるように!
以上!解散!」
「起立!小隊長に敬礼!」
号令と共に全員が起立して敬礼する。
「うん。」
第4小隊長が答礼をして、その場が解散する。
「ねぇ・・・これって何?」
ジーニーが同期に聞く。
「さぁ?ジーニーが王都の騎士団を蹴って、エルヴィス伯爵家に行ったからじゃないか?」
「それはないでしょー。」
「まぁ、実戦経験をしたうちらを見たいのかもなぁ。」
「第1騎士団ってほぼ魔法師のみでしょう?
魔法師専門学院の上位陣が行く、精鋭中の精鋭だよね?
王都の警備局とか兵士の方ならわかる話なんだけど・・・なんで第1騎士団なの?」
「「さぁ?」」
「んー・・・こっちは魔法師は少ないんだけどなぁ・・・」
ジーニーが新人小隊を見回して呟く。
「まぁ、第4小隊長が言うように第1騎士団の訓練について行けるかは別にして、俺らにとっては上位の魔法師の訓練を経験出来るのは今後に生かせそうだな。」
「そうね・・・辛いんだろうなぁ・・・」
「「あぁ・・・」」
「はぁ・・・唯一の救いは同窓に会えるかもしれないという事か。」
「ご一緒出来る小隊に居てくれればなぁ。」
「騎士団は忙しいというしねぇ。」
ジーニー達新人魔法師は意気消沈するのだった。
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第1騎士団兵舎 会議室。
主だった小隊長達が集められていた。
1人が入って来る。
「騎士団長入室!礼!」
号令と共に全員が立ち上がり、敬礼をする。
「うん、軽く会議をしよう。
座れ。」
騎士団長が席に座ると小隊長達も座る。
「エルヴィス伯爵殿が到着された。
警護については事前の打ち合わせの通りで変更はない。
また、王都守備隊とも連絡を終えているし、そちらについても変更はない。」
騎士団長の言葉に皆が頷く。
「さて・・・明日からのエルヴィス伯爵家の新人小隊の受け入れについてだが。
何か変更はあるか?」
騎士団長が小隊長を見る。
「はっ!現在、臨時で魔法師専門学院卒業後5年目までの者を臨時招集するという通達は終えており、各小隊で調整し、問題ないと報告が上がっております。
明日早朝より特別編成小隊にて行動を実施させます。
また、受け入れは2個小隊60名、大半が非魔法師ではありますが、先の戦争を生き抜いた猛者になります。」
「うむ・・・キタミザト殿率いる試験小隊の激戦を目の当たりにし、加えて万が一を考え防戦準備をしていた者達だ。
訓練では決して得られない物を得て来ただろう。
うちの新人達に実戦経験の重みを理解させるいい機会だ。それを見せて頂く。」
騎士団長が言う。
「はい、確かに我が方の新人達は魔法という攻撃力は持っておりますが、国土と仲間を守るという使命を経験した者には覚悟の面で及ばないでしょう。
今回の研修受け入れに際し、魔法師、非魔法師を問わない訓練をさせようと考えております。」
「うむ・・・計画案は見ている。
双方の新人部隊に対し、我が方の主力小隊からの魔法攻撃を耐える訓練を実施という事だったな。」
「はい、双方で模擬戦をしても攻撃力がある騎士団の方が有利すぎます。
となれば、防戦訓練を同時に行わせ、胆力の違いを見せつけて頂ければと思います。」
「少し、魔法師専門学院卒業生には酷な内容かな?」
「いえ、その辺は大丈夫かと。
魔法師だからと偉ぶる者はこの数か月で我らが鼻を圧し折っています。
地方領だからといって横柄な態度を取るとは考えておりませんし、我らがさせません。
せっかく来て頂いているのです、最前線の兵士を見る良い機会と考えております。」
「そうだな。
まぁ、エルヴィス伯爵領の新人小隊だからというのもあるかもしれんがな。」
「はい、そうですね。
我らにとってもエルヴィス家の方々にとっても良い経験になればと思います。」
「うん、そうだな。
では、明日からの受け入れは計画通りに。
こちらに無茶はさせて良いが、向こうにはあまり無茶はさせるなよ?」
「了解しました。」
小隊長が返事をするのだった。
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