第2822話 武雄、自由行動なくなる。(エルヴィス爺さんは癒され中。)
伝令2名を下がらせ、ヴァレーリと武雄がお茶を飲んでいた。
「さて・・・デムーロ国との交渉をどうするか・・・」
「宝物がこんがりしていますね。」
「絶賛、焼けてる最中だな。
出来上がるまでもう少しかかるだろうな。
・・・燃えているのは価値がなくなっているよなぁ・・・」
「金貨で即金支払いを求めては?」
「その即金が今現在溶けているんだがな。」
「交渉上は即金で、妥結は分割で。
その金貨で南側に壁を作るのでしょう?」
「あぁ、そのつもりだ・・・・金貨50万枚くらいにするか。」
「50万枚?・・・高いのか安いのか判断に困る金額ですね。」
「少なくとも宝物庫の中身の方が安かったろうな。
だが、消失したのは向こうの文官が原因ではあるし、王城が燃えた事で町が不安定になるだろうから治安維持に兵士を駆り出すし、様子見の連中が何かするかもしれないし。
追加で1個大隊の駐留だな。」
「デムーロ国に取っては大損ですね。」
「だな。
金貨50万枚と領地の北半分とちょっとなのだからな。
今回の王城の事を教訓とするならば敗戦した直後は穏健派を取り込み、方々の過激派を何処か一纏めにして監視しないといけないという事だな。」
「ですが、そういった威勢の良い、そして耳心地良い言葉を吐くのは開戦まで主流派なのでは?」
「まぁ・・・そうだろうな。
色々な物を見誤った結果だ。」
「確かに。
で・・・宝物庫が延焼中ですか・・・ふーん・・・」
「キタミザト殿、鎮火したら行くか?
単独では行かせられんが?」
「部屋前まではご一緒で。
その後、ちょっと私だけにして欲しいんですけど。」
「それは出来んな。」
「報酬から1名分の保護費用減額で良いですよ。」
「おぅ・・・」
「私、何名保護しましたっけ?えーっと・・・1、2、3・・・」
「わかった!わかったから!
300秒なら許可しよう。」
「300・・・600では?」
「それだけあったらキタミザト殿なら部屋中身の半分は持って行くだろうからダメ。」
「そんなに素早く動けませんよ。
室内焼けているのでしょう?」
「ダメ。」
「・・・はぁ・・・300秒かぁ。
目ぼしい物があれば良いんですけど。」
「無い事を祈る。」
ヴァレーリが言う。
「失礼します。
陛下、もうすぐ準備が整います。」
アンナローロが入って来る。
「おし、見送りに行くか。
キタミザト殿も行くぞ。」
ヴァレーリが立ち上がり、武雄に言う。
「え?私関係ないのですけど。」
「キタミザト殿は放っておくと何かするからな、今日は我と一緒に行動する事。
勝手に王城に行きかねないし。」
「・・・・・・する訳ないじゃないですか。」
「即答出来ていない時点でダメ。
ほら、立って。」
「はーい。
あ、部下の所に行きますから。」
「そっちはこっちで伝令を向かわせるからキタミザト殿が行く必要はない。
というより、連絡取らせるわけないだろう?
ミアも行くなよ?」
「はーい。」
「私を巻き込まないで頂きたいです。」
武雄が渋々返事をし、ミアが武雄のポケットから顔を出して言うのだった。
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第3皇子一家の執務室。
陛下と打ち合わせを終えたエルヴィス爺さんとジーナが来ていた。
「ふむ・・・ヒナはレイラ似かの?
エドワードはウィリアム殿下似かもの。」
エルヴィス爺さんがヒナを抱えながら言う。
「お爺さま、普通に抱きますね。」
レイラが言う。
「ジェシーの子のハリーでやっておるからの。
思い出しただけじゃよ。
おー、可愛いのぉ。」
エルヴィス爺さんがご満悦だった。
「すみません、エルヴィス伯爵殿、エドワードが泣いてしまって・・・」
ウィリアムが恐縮しながら言う。
「あれが普通じゃろう。
ヒナが大人しすぎじゃろうの。
ま、ヒナの場合、大人しいと言うより腹が据わっておるのかの?」
エルヴィス爺さんがにこやかに言う。
「生まれたてで腹が据わっているのですか?」
「ふふ、覚悟を持って抱かれておるのかもの。
今抱いている者は大丈夫だろうとな。
ま、ヒナはやりたいようにしたら良いの。
将来が楽しみじゃ、わしは応援するからの。」
エルヴィス爺さんがヒナに言うとヒナがキャッキャッと手をバタつかせる。
「ヒナ・・・時たまこっちの言葉を理解しているような動きをするんですよね。」
レイラが呟く。
「ふむ・・・そういう時もあろうの。
別に何かがあるわけではないじゃろ?
それに声色とかで周囲の者達の感情を理解しているのかもしれぬ。
たまたまレイラ達の考えとヒナが察した動きが同調しているように見えただけじゃよ。
そんな事に頭を悩ませる必要はないの。
これもヒナの個性じゃよ、ヒナが出来るからエドワードが出来る訳ではないし、エドワードが出来るからといってヒナが出来る訳でもない。
例え、ヒナが早熟でエドワードよりなんでも出来たとしても比べてはならんの。
個人個人で違うのじゃ。
比べるのは子供達にとって辛い事でしかない。
その事は常に頭に入れておかないといけないの。」
「はぁ・・・わかってはいるのですけど。」
「ははは・・・些細な事じゃよ、わしなんてジェシーとレイラとアリスとスミスじゃぞ?
あれに比べれば、ヒナとエドワードは些細な違いとしか思わん。」
エルヴィス爺さんが笑いながら言う。
「えっと・・・」
レイラが困るのだった。
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