第2820話 武雄とヴァレーリとアンナローロの雑談。(物語を用意しました。)
デムーロ国 王都の城門外にあるヴァレーリのテント。
武雄以外は宛がわれたテントで休憩中。
テント内にはタケオとヴァレーリとアンナローロがお茶をしながら雑談しており、今日の成果を武雄が話していた。
「ふむ・・・キタミザト殿、やりすぎだ。」
ヴァレーリが武雄の報告を聞いて言う。
「努力の成果です。」
「努力の問題なのか?
・・・どうやったらこの数をこの短期間で・・・」
「キタミザト殿の鼻が異常なのでしょう。」
ヴァレーリが悩む横でアンナローロが言う。
「失礼な。
ここは怪しいと思って声をかけただけですよ。」
武雄が笑いながら言う。
「何にせよ、助かった。
感謝する。」
ヴァレーリが軽く頭を下げる。
「いえ、見返りは期待してますから。
主に金貨で。
名誉や称号はいりませんので。」
武雄が言う。
「わかった、わかった。」
ヴァレーリが頷く。
「それにしても今回は少し店主に対して嘘が多いですね。」
アンナローロが言う。
「ま、手っ取り早く話を終えて、多くを回りたかったというのはありますけどね。
ですが・・・全部が嘘という訳ではないですよ。
東の壁沿いに綻んだ箇所があると思いだしたのです。
要は記憶がそう思っているだけです。
実際に行ったらそんなものは無かったというのは普通にある話ですよ。
それに荷物が少ないとの問いには友人と知人に売ったでしょう?」
「「・・・」」
武雄の言い分にヴァレーリとアンナローロが呆れる。
「ま、これには続きを用意しています。」
「「うん?」」
「私は逃亡できずに魔王国に一時連行されたとしてください。
そしてカーティア以外の・・・先の店々で買い取った奴隷を魔王国に売ったのです。」
「ふむ・・・その意図は?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「今回の王都での買取を実施した際に店主から出た言葉『魔王国は奴隷を問答無用で持って行く』という認識が小さい商店でもされています。
つまりは、魔王国は奴隷の所持を認めないのだから、無料で持って行くんだと考えています。
魔王国の方からすれば攫われた国民の解放なので当然の処置ではありますが、現在所持している者達からすれば、強制徴発でしかありません。」
「癪な考えだが・・・まぁ、そうだな。」
「物として見ればそうなりますか。」
ヴァレーリとアンナローロが頷く。
「魔王国として・・・まぁ、他の町の事もありますけど。
大々的に奴隷を買い取るという政策は避けていますよね。
解放する国民を金で買うというのは少し外聞が悪いですし。」
「内々で個別に対応しているな。」
「魔王国としては奴隷は見つけ次第、保護するのが大前提。
だからこそ、所持している者達は『逃げるか、なかった事にするか、解放するか』を迫られています。」
「ふむ・・・そこで買い取る者達を密かに派遣するのか。」
「はい。
奴隷解放の呼びかけをここでもする事になるとは思います。
ですが、王都という事で表立って魔王国に奴隷を持って行くのは、果たして周りの住民からどう見られるか。
意識高めの方が多そうなので、媚びを売るように見られるのを嫌う可能性はあります。」
「ふむ・・・すぐに解放すれば、罪には問わなくてもか?」
「見つからなければ罪にはなりませんね。
隣近所には渡さずに自由にしたと言って、処理して土に埋めればわかりはしません。」
「なるほど。
それは困るな。」
「はい、そういった『なかった事』とする行動を抑える必要があります。
さらに魔王国に解放をしても良いと考えるが回りの人の目がどうも気になる方、魔王国に楯突く気はないが無料で渡すのは気に障るという方用に私を使います。
私はデムーロ国に居た、一時保護された奴隷を集め、魔王国に引き渡した・・・とします。
必要経費で金貨数枚を頂いたとしますか。
カーティアについては、特例で15年で解放するのを条件で部下とし、本人も望んだので認める事にしたと。
王軍の兵士と分かる私服の者を私が買い取った店に行かせてください。
そして『キタミザト殿よりお聞きしました。我が国の国民を保護頂きありがとうございます。他に保護されている方をご存じないか?保護頂いた謝礼をお渡ししたいのだが。』と尋ねてください。
もちろん魔王国として即時解放をするように呼びかけはしている最中に行動しないといけないですが。」
「相反する事をするというのか?」
「いーえ、魔王国としては奴隷は解放させないといけない、今なら罪に問わないというのは変わりません。
ですが、裏で『私達であれば、金銭で買い取りますよ』という意思を見せる事で知り合いから知り合いに聞きに行くでしょう。
魔王国の統治を受け入れそうな方々の支持を著しく下げない方法がこれだと思います。」
「ふむ・・・」
「ですが、これを成功させるには苛烈な対応を見せる必要もあります。」
武雄はそう言ってヴァレーリの前に紙を置く。
「・・・これは?簡易地図のようだが・・・」
ヴァレーリが持ち上げる。
「ここは酒場で2階には個室が複数あるそうです。
そして主人は好色家で・・・7名だそうです。」
「「・・・」」
ヴァレーリとアンナローロの目つきが厳しくなる。
「国家として奴隷解放は絶対に成し遂げる意志を示し、一方で魔王国に協力的な方には少しだが便宜を図るという姿勢を見せる。
町の住民全部を敵に回す事はこれでなくなると考えます。」
武雄が言うのだった。
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