第2744話 例のリーザの感知に引っかかったのは何なのか。(あ、これはもしかしたら。)
武雄達が居るテント。
兵士2名が入ってくる。
「失礼します。
陛下、指揮官補佐殿も失礼します。」
兵士が言うとヴァレーリが軽く手を挙げて「おー」と挨拶する。
「お、第3中隊長か。
どうした?」
大隊長が聞いてくる。
「はい。
キタミザト殿からの情報を受け、調査を実施した小隊が戻りましたので報告に参りました。」
「「ん?」」
ヴァレーリとアンナローロが大隊長を見る。
「そうか。
陛下、指揮官補佐殿、関からこの町に向かう途中でキタミザト殿が魔物が集まっていると思われる箇所があると報告があり、調査をしておりました。」
「うちのリーザが種族はわからないが、街道から500m程度の所に何か集団が居ると言っていましたので、報告したんです。」
大隊長と武雄が言う。
「うむ・・・微妙な距離ではあるな。」
ヴァレーリが考える。
「中隊長、報告を。」
大隊長が中隊長に言う。
「はっ!
指揮した小隊長より報告を。」
中隊長が一緒に入って来た兵士に顔を向ける。
「報告します。
調査個所には屋敷が4軒あり、オークが集団で襲撃しておりました。
我らに危害が及ぶ物と判断し、小隊に殲滅を命令しました。
その後、簡易的な調査を実施しましたが、デムーロ国で迫害されていた可能性がある家族集団と思われます。
・・・土地に囲いもしっかりされておりましたので、オークが集団で襲うのは普通なら考えられないと思われます。
何が起因かわかりかねます。」
「うむ・・・そうか、ご苦労だった。
損害は?」
大隊長が頷く。
「我が方に損害はありませんが、生存者2名です。
一応、保護はしました。」
中隊長が言う。
「・・・んー・・・」
大隊長が難しい顔をさせる。
「「「・・・」」」
武雄とヴァレーリ、アンナローロは黙って聞いている。
「・・・中隊長、迫害されていた可能性というのは?」
大隊長が聞く。
「はい、我が国では『人間から獣に変身する型の獣人』、『獣人から獣に変身する型の獣人』、『変身しない獣人』の3種族が獣人と定義されております。
今回、襲撃を受けていたのは、大枠では人間から獣に変身する型の獣人になります。
ですが、人間になっていても耳や尾に獣人の特徴が残っており、獣人間では半端者とされている者達です。
我が国でも軽度の差別があると知っておりましたが、私自身、初めて目に見ました。」
中隊長が言う。
「・・・んー・・・」
大隊長が唸る。
「・・・ダニエラさん、どういうことですか?
いまいち、何が問題で迫害されているのかが私にはわからないのですが?」
武雄が聞いてくる。
「あー・・・キタミザト殿の部下が『人間から狼に変身する型の獣人』だな。
で、獣人と呼ばれる者達が他に2種族程居るんだ。
この『人間から狼に変身する型の獣人』は昔は他の2種族の獣人から下に見られていたんだが、魔王国建国以降、多大な種族の献身によって、他種族に認められ、今の地位を築いた。
要は他の2種族より血を流したんだがな。
その人間にまで変身しきれない者達が迫害の対象になっている・・・らしい。
要は人間にまでなっているか、獣人のままなのか、どっち寄りなんだという事でどちらからも嫌われているという事なんだろう。」
「??・・・なぜそこが?」
「さぁ?我は獣人系ではないからわからん。
種族内の迫害なんて、他の種族からしたらどうでも良い内容なんだが、本人達は至って真剣に問題にしている事がほとんどだよ。
一応、魔王国内では種族内でも迫害は禁止しているし、訴えがあれば調査し、著しく迫害をされている場合は指導をしている。
ファロンの所もパーニの所もそういった報告がないから大丈夫だと思うのだが・・・
少なくともデムーロ国では違ったようだな。」
ヴァレーリが言う。
「それにしてもデムーロ国の住民を保護・・・ですか。
結果としては、この地は我が国になる予定ですけど・・・保護した時期が微妙ですよね。
戦争中とはいえ、拠点以外の住民に危害を及ぼしたように言われてしまう可能性を残したというのは・・・戦後の交渉で何を言われるか。」
アンナローロが言う。
「かと言って、放り出しも出来んだろう。」
ヴァレーリが言う。
「じゃ、うちが引き取ります。」
武雄が手を挙げる。
「「え?」」
中隊長と小隊長が驚き顔を。
「「「んー・・・」」」
ヴァレーリとアンナローロ、大隊長が難しい顔をさせる。
「なんだかよくわからない事で揉めているようなので、私の命令で小隊が動いて保護したとしましょう。
元々は私の情報提供からですから、大きく見れば間違いではないですしね。」
武雄が言う。
「キタミザト殿、良いのか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「別に種族うんぬんは気になりません。
元々うちの国家はやっと重い腰を上げて多種族国家になろうと頑張っている所ですし、ここで異種族に迫害をしたら政策自体を否定するような事ですから、うちの王都は怒りますよ。
それに私の庇護下にいれば迫害はありませんし。
差別は・・・まぁ、多少はあるでしょうけど、エルヴィス伯爵領は比較的少ないと思います。」
武雄が言う。
「うーん・・・まぁ、キタミザト殿が良いというのなら我は何も言わんが・・・」
ヴァレーリが考えながら言う。
「じゃ、面談してきます。
まずはそこで否定されない事ですからね。
あ、ダメだったら私が保護するのはなしで。」
武雄が立ち上がり、ヴァレーリに言うのだった。
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