第2743話 会議後のマッタリ時間。(慢心を諫めるのは反対意見や対案があってこそ。)
ブリアーニ王国側の関から1つ目の町の城門の前の大きいテント。
大隊の幹部会議が終わり、ヴァレーリ達が入ってくると、大隊長、武雄、アンナローロを除く全員が小走りに仕事に向かって行き、実質的に部下の報告を待つだけの者達が雑談をしていた。
「まぁまぁ、アンナローロ、別にキタミザト殿が問題を起こしたわけではないし、むしろ問題になる前に気が付いたというのは良い事じゃないか。」
ヴァレーリがアンナローロに言う。
「ですが!なにも大隊長が打ち合わせに入ってから、あんな話をしなくても良いじゃないですか。
ねぇ?大隊長殿?」
「あー、んー・・・そうでもありますし、そうでもないのですが、それにまずは勧告内容を精査し、すぐに実行しないといけないと考えておりましたので・・・我々も急いでいたのもありますし・・・」
大隊長が目を右往左往させながら言う。
「ほらっ、私悪くない。」
武雄がいけしゃあしゃあと言う。
「くぅ・・・もっと早く教えて貰えれば、こうバタバタせずにいたのに。」
アンナローロが悔しがる。
「はは、我らが想定できなかったのが起因だ。
この忙しさは受け入れないとな。
それとキタミザト殿、すまんな。」
ヴァレーリが武雄に言ってくる。
「あとで報酬くださいね。」
「あぁ、考えておこう。
で、他にはあるのか?」
「今の所はまだ・・・さっきの会議で絞られたので今は追加の提案が出てきません。」
武雄が考えながら言う。
「そうか。
と、これが大隊長達の話し合いの結果か。
なになに、降伏勧告と物理的な脅迫方法、門の接収と門を挟んだ所での荷物検査の方法、幌馬車の販売、穀物販売にスープの提供?、降伏後の庁舎と穀物倉庫の占拠方法か。」
ヴァレーリがアンナローロのメモを見ながら言う。
「陛下、キタミザト殿の案がほぼ追加採用されております。」
大隊長が言う。
「箇条書きの項目的には王軍内で話した事と変わらないようだが?」
「はぁ・・・キタミザト殿が想定を呈してくれるので、不備が見つかっていったんです。
それでまぁ、規律ややり方を変えました。
はぁ・・・こんな事ならもっと早くキタミザト殿に来て貰って話しておけば・・・」
アンナローロがため息をつく。
「私、アズパール王国の者ですから魔王国の戦争に関与するべきじゃないと思うんですけど。」
「「何を今更。」」
ヴァレーリとアンナローロが同時に言う。
大隊長は口には出さないが、2人と同じ意見なようで呆れた顔を武雄に向ける。
「それに私が言うのも何ですが、少々他国の者の言を取り入れすぎではないですか?」
武雄が聞く。
「使えそうな案があって、使わないのは国益に反するぞ。」
「致し方ありません、キタミザト殿の方が見えているのです。
我々の想像力が足らないのがわかったのですから。」
「お恥ずかしい限りで。
この歳になっても勉強を常にしないといけない事がわかりました。」
ヴァレーリ、アンナローロ、大隊長が言う。
「・・・えーっと、前から思いますが、なんでそこまで私の案が通るのですか?」
武雄が不思議がる。
「・・・逆に聞きたいが、こういった話をアズパール王国の中枢でキタミザト殿はしないのか?」
「します。
なぜか文官や武官が率先して動いてくれます。」
「だろうな。」
「「でしょうね。」」
3人が頷く。
「もっと反対意見が出ても良いと思うのですが。」
武雄が聞く。
「反対意見なぁ・・・アンナローロ、大隊長、何かあるか?」
「もっと早く教えて欲しいです。」
ヴァレーリの質問にアンナローロが即答する。
「それは意見ではなく、要望だ。」
「失礼しました。
これと言って先の内容で反対するような事はありませんでした。」
「はい、それにキタミザト殿の案を元に皆で数案出して、最善策を打ち出せたかと思います。」
アンナローロと大隊長が言う。
「まぁ、そういう事だな。」
ヴァレーリが頷く。
「・・・んー・・・」
武雄が首を傾げる。
「つまりはキタミザト殿が提案してくる内容が反対意見を言える物ではないんだよ。
というより、キタミザト殿もわかっているだろう?」
「ええ、そうしていますし。
私がしているのは大筋を変えずに不備が無いか、もしくは抜け穴をどう使えるか。」
「なのになぜ聞く?」
「行動計画の修正は労力が多大にかかります。
現状のままの方が良いという意見が出ない事が心配です。」
武雄が言う。
「それは・・・恥ずかしながら王軍の者達が不備の大きさに気が付かなかったからだろう。
現状のまま実施した際の労力と修正した時の労力を見比べた時にキタミザト殿の方が惨事に繋がらないとなればそうなる。
それにキタミザト殿の提案はいやらしい事に反対するような事を指摘してこないんだよ。
今展開している王軍全軍を集めろとか、穀物も3倍を用意しろとか・・・
今回のこの列記している項目だって、出来うる事を言ってきたんじゃないのか?」
「「その通りです。」」
アンナローロと大隊長が頷く。
「先の話であったが、対案も出して、その場で話し合いをしているんだろう?
これが反対意見ではないのか?」
ヴァレーリが言う。
「・・・あれは修正に修正をしていって、上手く行くように皆で話しているだけです。
私が言うのは私の発言自体を否定する者がなぜ居ないのかですよ?」
「むしろ、なぜされたい?
まぁ、確かにキタミザト殿の発言に対して有効な案を出せるのなら出来るだろうが・・・少なくとも今、この場にはおらんよ。
キタミザト殿は受け入れられて嬉しくないのか?」
「私の意見が受け入れられるのは嬉しいですが、危険もあるかと思います。」
「ふむ、それは確かにな、何でもかんでもキタミザト殿が正しいわけではない。
だからこそ皆で話し合うのだろう?」
「そうですが・・・反対意見が出ないと私の気付きの練習にならないと思うのですよね。
慢心はしてはならないのはわかっていますが、こうも受け入れられると私が増長しているのかもしれないという不安があるんです。
それを戒めなくては。」
「・・・そう思えるからあの提案が出来るんだと思うのは我の気のせいだろうか。」
ヴァレーリ達が呆れながら武雄に言うのだった。
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