第2741話 武雄、こんな時に小銭欲しさに商売を考える。(輸送の足は必要だよね。)
大隊長達が去って、武雄は護衛をしてくれている小隊長と輸送隊の指揮をしていた補佐官と門を見ていた。
「キタミザト殿、ありがとうございました。」
補佐官が深々と頭を下げる。
「私はヴァレーリ陛下との話の通り、面白おかしくあーだこーだと独り言を言っているだけですよ。
補佐官さんはアンナローロさんの部下なのですか?」
「はい、指揮官補佐殿の下に付いています。」
「キタミザト殿、この方はアンナローロ様のすぐ下の方です。
輸送隊内の序列では2番です、統率が上手と聞いています。
我々で言う、中隊長クラスです。
お偉い方です。」
「そうなんですね。」
小隊長の言葉に武雄が頷く。
「何を言いますか。
小隊長こそ、第1大隊 第1中隊の第1小隊長じゃないですか。
陛下付きのエリートのくせに。」
「あら、それはヴァレーリさんに付いていきたかったでしょう。
すみませんね。」
「いえいえ、今のような良い物が経験出来ていると思っておりますし、キタミザト殿のように招待しているお客様の護衛も陛下を守ると同じくらい重要な事ですので。」
小隊長が言う。
「ありがとうございます。
で、話は変わりますけど、第1軍内でこの町から南に自主的に移動する方は全体の何割と予想していますか?」
「それは私から。
想定では最大で5割と考えており、買い取り等の金貨と銀貨を用意しています。」
補佐官が言う。
「・・・どのくらい住民が居ますか?」
「想定では1000名と考えています。」
「ふーん・・・1000名ねぇ。」
武雄が考える。
「キタミザト殿、どうしましたか?」
「いえ・・・補佐官さん、物資輸送はドラゴンでしたよね?」
「はい、第1陣がこの後、到着する予定です。
先の話ではありませんでしたが、鐘が鳴る頃に来る予定になっていて、保管する場所も確保し終わっていますが。」
小隊長と補佐官が武雄を不思議そうに見る。
「・・・1000名、5人家族として200家族、半数の移動で100家族・・・
これって・・・足らないかもなぁ。」
武雄が呟くと補佐官が背筋を伸ばす。
「キ、キタミザト殿、何が足らないと?」
補佐官が恐々聞いてくる。
「うん?・・・んー?」
「何ですか!?その怖い笑顔は!?
教えてください!」
「小隊長さん、ヴァレーリ陛下に今夜はこっちに泊まると言っておいてください。」
「は?はぁ・・・わかりました。
第1大隊の方にそう伝達を出します。」
小隊長が首を傾げながら言う。
「さーって、小遣い稼ぎが出来るかなぁ?」
「ちょ、ちょっとキタミザト殿!?何をされる気なのですか!?」
「んー?私というよりも・・・ドラゴンが来たら教えてくださいね。」
「お゛ね゛がい゛じま゛ず゛!
み゛お゛どじあ゛があ゛る゛な゛ら゛だい゛じょじな゛い゛ど!」
補佐官が少し泣きながら聞いてくる。
「・・・えー?・・・いや、大したことないですよ。
1000名の町に一体いくつ幌馬車があるかと考えていただけです。
それも家族の荷物の移動なんて幌馬車1台で出来るのだろうかとね。
ブリアーニ女王陛下の所にアズパール王国から幌馬車がそれなりに来ているので、回して貰えないかなぁと。
関の内側で販売すれば良い値段で・・・ブリアーニ王国には適正価格で買って、輸送するドラゴンには利益の半分として・・・ブリアーニ王国に払う金額の倍の値段で売れないかなと。」
武雄が言う。
「あ・・・ああ・・・」
泣き顔で顔色を悪くさせた補佐官が軽く震えている。
「キタミザト殿、ちなみに何台くらい買い取りを?」
小隊長が聞いてくる。
「『目に見えている数が少ないから』や『他人に買われる前に』という消費者心理はどんな物でも一定数の需要があります。
お店によっては、在庫はあるにもかかわらず、陳列数を少なくするのは、その心理をついたやり方です。
本来なら在庫を大量に抱えたいとは思うのですけど・・・ここは戦地なので売り切らないといけないので・・・5台、6台・・・多くて10台ですかね。」
「なるほど。」
小隊長が頷く。
「あ、アンナローロさんに言って、侵攻しないでここの民を送りつける南の町で空き部屋を買い増しし、売りつける資金回収部隊の方に幌馬車の買い取りもお願いしますかね?
相場の半値ぐらいで買い戻せれば、ブリアーニ王国に安く売れそうですし。」
武雄が考えながら言う。
「何と言うか・・・良いのですか?」
小隊長が聞いてくる。
「ふふっ、ここはアズパール王国でも魔王国でもないんですよ?
それに足らない物を売って、いらない物を買うのに何が問題が?
これは商売の基本ですよ。」
「それは・・・問題ないでしょうね。」
小隊長が考えながら頷く。
「その辺の段取りはまずはカールラさんとグローリアさんに聞いて、裏を取ってからアンナローロさんとダニエラさんに報告ですかね?
補佐官さん、どう思・・・あれ?居ませんね。」
武雄がさっきまで横に居た補佐官をキョロキョロと探す。
「顔色悪く大隊長達が向かったテントに走っていきましたが?」
小隊長が言う。
「・・・」
武雄が大隊長達が居るテントを見つめるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




