第2735話 336日目 開戦当日の朝。(緊張しつつもゆったりとしています。)
夜明け前のブリアーニ王国のデムーロ国との関から3時間程度行った広場。
空の明るさが増してきている。
王軍兵士達の一部が慌ただしく動いているが、大半の兵士達はテントから出て、広場に集まり、各小隊毎にまとまっていつでも号令がかけられても良いように座ったりしながら待機している。
「・・・」
白いレザーアーマーに身を包んだヴァレーリが明るさが増し始めている空を見上げている。
その後ろでは。
「ぎゅ~♪」
「お、座り心地が良いですね。」
チビリーザとミアが地面に置かれた武雄達のリュックの上に座って感触を確かめていたり。
「・・・」
武雄達が黙々と作業服や戦闘ベスト、ナイフや持ち物を確認している。
「タケオ、着ました。」
初雪がヘルメットから半長靴まで一式を着込んで武雄に見せに来る。
「ええ、着ましたね。
ビエラのでしたが丁度良さそうでなによりです。」
「はい、ビエラは戻らないのですよね?」
初雪が聞いてくる。
「ええ、エルヴィスさんの護衛で王都に向かいますから・・・あと6日は最低でもかかるでしょう。
魔王国の行程では6日後には終わっています。
なのでその間は着ていて大丈夫でしょう。」
「はい、わかりました。」
初雪が頷く。
「さてと・・・リーザは初雪のリュックに入って初雪の護衛をお願いしますね。」
「ぎゅ!」
「ベイノンさんは初雪を乗せて騎乗ですが、問題はありませんか?」
「問題はありません。
王軍の方と話しましたが、私達はそこまで駆け抜ける事はしなくて良いそうです。
なので、速足程度では2人乗りでも問題ないです。」
ベイノンが言う。
「ブレアさん、周囲の警戒を一応してくださいね。」
「了解です。」
ブレアが頷く。
「ま、私達の護衛にアンナローロさんの輸送隊から1個小隊が付いてくれますからそこまで問題はないでしょうし、私達は基本輸送隊との移動になります。」
「「「はい。」」」
3人が返事をする。
「一応、3人には地図を渡しておきます。
さっき、王軍の人に簡単に書いて貰った略地図ですけどね。
もし行動中に不測の事態が起きて、はぐれてしまった場合、街道に沿ってブリアーニ王国側の関から2つ目の町を目指してください。
大まかに関から1つ目の町は20km程度、1つ目と2つ目の町の距離は30km程度あるようです。
3人には2日分として4食分の軽食を渡しておきます。
今日の野営場所に着いたら回収して新しいのを渡します。」
「所長、軽食は何ですか?」
「1食当たり、パン2つと干し肉少々、チーズ少々です。
パンは移動中に潰れて固くなるでしょうが、無いよりはマシでしょう。
それと水は各々アクアで作って飲む事。
コップは皆さんリュックに入っているでしょうからそれを使ってくださいね。」
「「はい。」」
ベイノンとブレアが頷く。
「戦闘があっても初雪は無理に戦う必要はありません。
リーザ、もう一度言いますが、初雪を守ってくださいね。」
「はい。」
「ぎゅ!」
初雪とリーザが返事をする。
「私達の目的は観戦です。
ですが、それ以上に無事に魔王国の戦場で生き残る事が重要です。
戦闘の最初から最後まで観たいというのはあるでしょうが、最初の所は後日、王軍の皆さんに聞き出しましょう。
無理せずに移動して、結果を眺め、あーだこーだと推測を言い合うのが今回のお仕事です。」
「「わかりました。」」
ベイノンとブレアが言う。
「あー・・・キタミザト殿、かなり気楽そうな話が聞こえたが?」
ヴァレーリが武雄の方を見ながら言う。
「事実、これが私の今の仕事ですよ。
頑張ってください。」
「はぁ・・・先頭を走りぬく我らの後をゆっくりきて評論をするか・・・楽だな。」
「たった3名で何をしろと?
先の戦争でも思っていましたけど、たかだか10名の部隊に評価し過ぎなんですよ。」
「あの成果をみて『たかだか』なんて誰が言う?
王軍の幹部であれを見て、そんな事を言える者はおらんよ。
ま、これは魔王国の戦争だ。
キタミザト殿はそこそこの緊張感で付いてきてくれれば良いさ。
出来れば、都度、補助をしてくれるとありがたいが。」
「私は部隊指揮なんて出来ませんよ。
ただ、思った事について独り言を言っているだけです。」
「十分、十分。
ま、輸送隊と行動を共にして貰って今日は2つ目の町を目指して貰う事になるだろう。
我と会うのは2つ目の町となるだろうが・・・1つ目の町で少し小休憩してくると良いだろう。」
「確か第3軍の指揮官が開城と統治をするのでしたか?」
「予定では第3軍の第2大隊長だったかな?
訓練と戦いは慣れているかもしれんが、開城と統治、例の物品買取等の施策は不慣れだろうからな。
面倒を少し見てくれると助かる。」
「助かるじゃないですよ。
大枠は知っていても何をどうやるかなんて知らないんですから補助のしようがありません。」
「あ、それは大隊長が知っている。
困っている事の相談に乗ってくれ。」
ヴァレーリがにこやかに言う。
「はぁ・・・まぁ、出来る限りします。」
武雄が渋々承諾するのだった。
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