第2483話 波状攻撃は何に使えば良いのか。(された時の対策を考えないとね。)
「ちなみにですが・・・所長の言う、戦力を分けて戦う方法で一番成果が出るのはなんですか?」
ブレアが聞いてくる。
「・・・関や町の城門相手ですかねぇ?」
武雄が考えながら言う。
「関や城門ですか?
このような平野に陣取る兵士達ではなくてですか?」
「成果を単純に考えて撃破数と捉えるのなら、今回のような並んでいる兵士達には最初から最大数をぶつけるのが一番、戦果は多そうですよね。
ですが、わざわざこちらの兵士を分けて戦うという所に利点を置くと・・・関か城門だと思いますね。」
「うーん・・・
王城では、関や城門に魔法を浴びせながら梯子をかけて関や城門を越えて攻めるというのが一般的だと教わっています。
最近では王都の第2騎士団が攻城兵器を購入していましたね。」
ブレアが言う。
「あー、所長が初めて王都に来た日に壊したやつか。
でも、王都の騎士団は別にして基本は最初に言った梯子ですよ。」
マイヤーが言う。
「え?・・・」
ブレアの言葉に武雄が「何言ってんの」という顔をさせて固まっている。
「所長、実際にそう教わっています。
実際には我々の代ではやった事が無いのです。
大昔のやり方で成功した方法が一番良いだろうと教わっているんです。」
アンダーセンが言う。
「はぁ・・・いくら魔法師の援護を受けると言ってもそれでは犠牲者が多数出ませんか?・・・まぁ、それしかないのかなぁ?」
武雄が難しい顔をさせる。
「今はそこではなく、所長の分けて戦う戦法です。
関や城門に使うという意図はなんですか?」
アーリスが聞いてくる。
「・・・となると・・・あー・・・なるほどね。
別に考え方としては良いのか。」
武雄が自身で勝手に納得する。
「所長~、勝手に納得してないで教えてくださいよ~。」
ブルックが聞いてくる。
「はいはい、では、続きでしょうか。
まぁ、関と城門に対して分けて攻撃するのは効果が高いんですよ。
やり方は簡単、1万の兵が居たらそれを5つに分け、一定時間ごとに攻撃を仕掛けます。」
「・・・それだけですか?」
ブルックが聞いてくる。
「それだけですよ。
そもそも関や城門は少数の兵で3、4倍の兵士の攻撃を耐えるように作る物でしょう。
なので、何回も攻めかかるという戦術に使えますよ。」
「それだと被害が多くなると思います。」
「なので、まずは戦意を挫く戦術を取って、疲弊させてからブレアさん達が言ったように梯子をかけるなり、攻城兵器を出して門を破壊するなりすれば良いのではないでしょうか。」
「でも、定期的に攻撃しただけで戦意を挫けるんですか?」
「挫けますよ・・・だって、2時間ごとに1日中、昼夜関係なく行えば良いんですから。」
「「「え?・・・」」」
皆が固まる。
「そうすれば、こっちは一度攻撃すれば、その部隊はその後、8時間は休めますが、向こうは2時間ごとに次の部隊と戦闘が始まるでしょう?
休めないまま次々と攻撃を受ければ、交戦しなくてはならず、少ない休憩で回復させようと備蓄している物資をどんどん使うでしょうし。
数日すれば相手は確実に疲弊しますよ。
そうする事で降参するのか、もしくは壁を越えるのに抵抗は少なくて済むと思いますね。」
武雄が言う。
「所長、何と言うか・・・エグイ戦術を考えられましたね。」
アンダーセンが言ってくる、他の面々も頷いている。
「そうでしょうか?
こちらの犠牲を少なくし、相手の防衛の意志を挫く方法はこれが良い方法だと思いますけど。」
「確かに、良い方法ですが、相手が不憫ですね。
ちなみに相手がそれをして来たら対抗策はあるのでしょうか?」
「こちらも兵士を5つに分けて対応すれば良いだけですよ。
まぁ、そもそも城門には対応出来る人数が居るかもしれませんが、関にそれだけの兵士が居るとはあまり思えませんけどね。
関に居る事を考えるのなら、同数の兵士が来て貰えるように応援を依頼しないといけないと思いますけどね。
数日待つという方針を伝えれば、何とかやりくりをして落ちないようにするしかないですね。」
武雄が言う。
「立て籠もるにしても対応策はあまりなさそうなんですね。」
ブルックが言う。
「そうですね・・・うん、すぐに思いつかないですね。
試験小隊で一度検討してみるのも面白そうですね。
アンダーセンさん、出来そうですか?」
「出来るとは思いますが、今の所、エルヴィス伯爵領に戻ってからが良いでしょうね。
戦場で話し合うような事ではないでしょうし。」
アンダーセンが言う。
「なら、戻ってから通常の業務と訓練を終えて、時間があればこの議題で話し合ってください。」
「了解しました。」
アンダーセンが頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




