第2476話 第3皇子一家にも伝えておこう。(報告書は送り先からの指示です。)
第3皇子一家の執務室。
「ふむ、1000名の魔法師の攻撃かぁ。
王都に居ても中々見れない数ではあるね。
本格侵攻がないのはほぼ確実だけど、油断は出来ないだろうし・・・何も知らなければ狼狽すると思うね。
それにしてもタケオさんの報告書は手直しが大変だったのは聞いたけど、ご苦労様だね。」
ウィリアムがジーナの簡易報告を聞き終えて、言う。
「はい、今回のご主人様からの報告書は特に報告事項が多く、ご主人様が考えた事の箇条書き、兵士数等は小隊数のみの記載でした。
ご主人様が書ける量にも限度があるのですが、今回はアリス様が全体の文章を作りました。
私は手を加えておりません。
むしろこれを解読したアリス様、ジェシー様、エリカ様が大変だったのだと思います。
少なくとも現地の事を勘案し、今までの戦場での動きと報告書の中身の確認とエルヴィス伯爵とゴドウィン伯爵の思考を考えるのですから。」
「「そりゃ、大変だ。」」
アルマとレイラが言ってくる。
「それだけ報告する内容が多かったという事だね。
それにしてもアリスとジェシーとエリカさんがエルヴィス家に居て良かったね。」
「はい、これをいきなりこっちに送られても私とスミス様が大変な事に・・・あ、アルマ殿下とレイラ殿下に参加を頂けば良かったのでしょうか。」
「やめて~、こっちに持ってこないでぇ。」
レイラが笑いながら拒否をする。
「流石にその3人の代役は荷が重いかな。」
アルマも拒否する。
「ですが、あのご主人様からの箇条書きだけでは説明が出来ません。
アリス様達もそれがわかったので、説明文を用意してくれたのだと思います。
ただし、アリス様からご主人様への返しの文言にご主人様への要望が書かれていると思います。」
ジーナが言う。
「それはクレームというのよ。」
アルマが言う。
「ジーナちゃん、そんなに酷かったの?」
「はい、あれは酷いです。
ですが、ご主人様も内容の要点を書き出した結果だとは思うのです、今まではしっかりしていましたし。
今回はアリス様達が書き直しをしてくれると信じて行ったと私は考える事にしました。」
「そうか・・・便利そうに見えたけど鷲を使った報告書の送付は文字数制限があると言う事だね。」
「はい、ご主人様からは1枚が送られ、アリス様からは2枚が来ました。
たぶんですが、ご主人様からは1体がエルヴィス伯爵邸に向かった物と考えます。
ちなみにアリス様からは2体が来ました。
ご主人様の所に鷲の予備が居なかったのか・・・偵察に出させていて報告に割ける鷲が居なかったのかはわかりません。
今後はその辺が改善されると思います。」
ジーナが言う。
「ふむ、運べる量に制限があるというのは考えておかないといけない事だね。
・・・で、ジーナは今後の推移はどう見るかな?」
「今回の戦闘で魔王国が本格侵攻の意志は少ないというのがわかったと思います。
ですが、魔法師の圧倒的な数とその威力を見せつけて、アズパール王国側の士気は下がったのは事実です。
それで溜飲を下げれば良いのですが・・・
小競り合い自体はまだまだ続くとは思いますし、大規模な事になると今回のような魔法師による威圧攻撃を行いアズパール王国側の士気の低下を再び仕掛けると思います。」
「うむ・・・残りのオーガは何体だったかな?」
「ファロン子爵が30体とパーニ伯爵35体、合計65体になります。」
ウィリアムの問いかけにジーナが答える。
「前回はテンプル伯爵とエルヴィス伯爵の所に向かって・・・だったね。
残りをどうするのか。」
「私にはわかりませんが、同様の事は現地でも考えているはずです。
ですが、オーガとの戦闘になればご主人様も出ます。
負けるとは思えません。」
ジーナが言う。
「うん、そうだね。」
ウィリアムが頷くのだった。
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エルヴィス伯爵邸の武雄の書斎。
アリス、エリカ、ジェシーが集まっていた。
「・・・今日はまともね。」
ジェシーが武雄の報告書を見て呟く。
「「ははは・・・」」
アリスとエリカが苦笑する。
「現地では陣地に影響がない程度の小雨が降っているという事ね。
敵もこちらも動きは無しと。
雨上がりだと踏ん張りも効かないだろうから、守る方としては少し不安があるかもしれないわね。」
「ですが、ジェシーさん、攻撃をする方も力が発揮できないのではないでしょうか?」
ジェシーの言葉にエリカが言う。
「普通の兵ならね。
だから小競り合い程度ならあまり無茶をして攻撃はしてこないだろうけど、オーガに小雨程度のぬかるみが影響を及ぼすのかしら?」
「確かに、オーガなら少し地面が不安定でも問題なさそうですね。」
アリスが言う。
「今日がどうなっているのかが気になるわね。」
「「そうですね。」」
ジェシーの言葉にアリスとエリカが頷くのだった。
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