第2475話 魔法師専門学院への要望。(あー、慢性的な魔法師不足ですから。)
「うむ、兵士達の事はわかった、今後、軍務局が何かする時の指針になるかもな。
で、ジーナ、魔法師専門学院への要望とは何だ?」
アズパール王がジーナに聞く。
「はい、今回の威圧攻撃を踏まえ、今後の戦争での対応についてです。
防御に専念するというのは先の話でありましたが、伯爵方はそもそもの魔法師が少ないという点で雑談をされたようです。」
「ううむ・・・それはこちらでも前から議題に上がる内容ではあるな。
一応、改善は試されているんだが・・・それで何と?」
「はい、今回の1000名に対応した現状の3伯爵領、10小隊と領内を巡回する魔法師達による最前列での盾を持つ者達への補助ですが。
ご主人様は反撃まで手が回っていないと受け取ったようです。
伯爵方には言わなかったようで、私信としてと書いています。」
「・・・うむ、それで?」
「はい、ゴドウィン伯爵より、数年後を見据え、魔王国3伯爵領で魔法師の増員に動くべきだとの方針が出たと。
ゴドウィン伯爵領軍で15小隊、テンプル伯爵領軍とエルヴィス伯爵領軍で5小隊ずつ。
魔王国側3伯爵領軍計で魔法師小隊が25隊、500名規模にしたいと。
そうすれば、今回のような1000名の魔法師に対したとしても、盾の補助をしつつ、250mの所で進軍を止めさせるような牽制攻撃が出来るのではないかとの事です。」
「・・・うむ・・・500名規模か・・・
ジーナ、それをスミスも見ているな?なんと言っていた?」
「・・・『今でさえ来てくれないのに来てくれるの?』と諦めた顔をされておりました。」
「・・・まぁ・・・エルヴィス家はなぁ・・・」
アズパール王や局長達が目線を逸らす。
「報告は以上です。
こちらがご主人様からの報告になります。
配置等の確認をお願いいたします。」
ジーナがアズパール王に紙を渡す。
「うん、確認しよう。」
アズパール王が配置の確認をする。
「・・・ジーナ、この内容でさっきの説明をしたのか?」
アズパール王が紙を見ながら言う。
「はい、問題はないと思いますが。」
「ないな、タケオの書いてきた内容に肉を付けただけだ。
・・・うん、ジーナ、ご苦労だった。
タケオには無理をするなと毎度の事ながら伝えておいてくれ。」
「畏まりました。
陛下、皆様、失礼いたします。」
ジーナが退出して行く。
・・
・
「・・・ふむ・・・陛下、魔王国側の本格侵攻はなさそうですね。」
オルコットが言ってくる。
「油断は出来んが・・・たぶんな。
威圧で当てない魔法を見せて来たんだ、本気で侵攻をするのであれば見せる前に当てに来るだろう。
こちらが堅実に守って居れば、このまま推移するような気がするな。」
アズパール王が言う。
「陛下、王都の壁の方はどうしましょうか?」
軍務局長が聞いてくる。
「・・・まだ本格侵攻の可能性は消えていない、継続して準備と警戒をさせる。
敵が見えないからとだらけるかもしれんが、それはそれで規律が維持できない部隊という評価になるんだが・・・まぁ少しなら致し方ないだろう。
それにしても、ただでさえ最終防衛拠点の構築に遅れがあったのだが、あいつらはどう思っているだろうな。」
「後の報告書が楽しみになりましたね。」
オルコットが言う。
「貴族だからと言って驕ってくれるなよ、今も魔王国との関で命を盾に踏ん張っている兵士達が居るんだ。
下手な報告書を出して来たら魔王国側3伯爵との軋轢にしかならんぞ。」
アズパール王が呆れながら言う。
「なんだか、最終防衛拠点構築で抜き打ち試験をしているようですね。」
外交局長が言う。
「・・・訓練で終われば今は良いと思わねばならん。
むしろ今後、今回と同様に慣例の戦争で10000名もの兵士が出て来た時に『またか』と気を抜かれては、たまらないな。
そこまで危機意識がない奴らではない・・・はずだ。」
アズパール王が言う。
「だと良いですね。」
王都守備隊総長が呟く。
「怖い事を言うな。
まぁ・・・今日の報告で少し安心は出来たな。
あとは伯爵達の愚痴だが。
軍務局長、魔法師は増やせるのか?」
「今年から入学基準を下げたばかりです。
一応、入学者数は1.3倍になってはいますが。
増えた分を回せるかもと言ったとしても4年後ですし・・・今すぐの採用枠増加に対応は出来ないです。」
軍務局長が言ってくる。
「だよな。
はぁ・・・4年後に採用できたとして、そこから魔法師の部隊に配属になって戦力となるのに何年もかかるだろう。
それまでに今回のような大規模な兵士を動員されたら困ってしまうな。」
アズパール王が呆れながら言う。
「陛下、困ってしまうではないですよ。」
軍務局長が言ってくる。
「我はそのぐらいしか言えんさ。
魔法師不足は昔から言われていて、今年から魔力量の引き下げを実施をした。
今回の報告で、遅かったという結果が出たわけだ。
過ぎた事はしょうがないとしても・・・だ。このまま時間に任せると言うのも・・・なあ。軍務局長、魔法師専門学院に質の良い兵士を育てるように指導を。そして他に何か対策は無いか検討をしてみてくれ」
「はっ!畏まりました。」
軍務局長が頷くのだった。
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