第2473話 アリスからの届け物。(アズパール王に報告に向かいましょう。)
寄宿舎のジーナの部屋。
アリスからの届け物が来たのと丁度、同じ時間でアリスからの手紙が彩雲からもたらされ、ジーナが内容を書き写していた。
「・・・はぁ・・・ご主人様はまた無茶をしています。」
ジーナがペンを置き、文面を書き写した内容を確認しながら呆れていた。
「んー?ジーナ、タケオが何かしたの?」
チビパラスがアリスから送られてきた物資の中にあったチビサイズの作業服を着ながらジーナに聞く。
「魔王国のベッリ男爵殿の1000名の魔法師による威嚇攻撃に近付いてどのくらい威力があるのかの確認をしたそうです。」
「・・・近づく必要あったの?」
チビパラスが首を傾げながら聞く。
「ご主人様的にはあったのでしょう。
まぁ、見た事もない魔法だったようですね・・・威力を調べる事で今後の盾の開発に繋げる予定なのでしょう。」
「タケオも仕事熱心だね。」
「そうですね・・・よし!パラス、スミス様は戻っていますか?」
「・・・うん、マリに聞いたら本屋での買い物も終わってもうすぐ寄宿舎に着くって。」
「わかりました。
なら、戻られたら読んで頂いて、王城に向かいましょう。
スミス様にご連絡をお願いしますね。」
「はいはーい。」
チビパラスが返事をする。
「ジーナ、マリが了解だって。」
「それにしてもアリス様から送られてきたの、スニーカーですか。」
「靴だね。
スズネが考案してくれたようだね。
王城にこれで行ってみる?」
「・・・そうですね。
物は試しです。」
「あと、お菓子と私とマリの服が数個だね。」
「まさか、小さくなった精霊用の服が入っているとは思いませんでしたが。
パラスが今着ているのは作業服ですね。」
「うん、そうだね。
他にも甚平の新色とスーツが入ってたよ。」
「スーツ?・・・メイド服や執事服ではないのですね?」
「なんて言えば良いんだろう・・・執事服をもう少し簡略化したような、してないような服?」
「わかりませんが。」
「タケオやスズネが少しだけ畏まった席とかで着る服・・・と言えば良いと思う。」
「そうですか。
まぁ、少しかしこまった所に私が行きませんけどね。」
ジーナが言う。
「いや、ジーナ、普通に王城に行っているわよね?」
「あそこはメイド服で問題ないですね。
皆さんに何も言われませんし、城内にはメイド様も普通に居ますし。」
「んー・・・まぁ、誰にも言われないのなら良いのかも・・・良いのかなぁ?」
ジーナの言葉にチビパラスが首を捻るのだった。
・・
・
アズパール王国 王城のアズパール王の執務室。
アズパール王とオルコット宰相、外交局長、軍務局長、王都守備隊総長が居た。
ここ数日、魔王国側の武雄からの情報を聞くのにこの面子が集まるのが普通になっていた。
「失礼します。」
ジーナが案内をしてくれた王都守備隊員と共に入ってくる。
「うむ、ジーナ、ご苦労だな。」
「ありがとうございます。
では、先ほど届きました2日前の昼までの配置報告を致します。」
ジーナはそう言って、執務机の前に置かれた机に広げられている地図に向かう。
「はぁ・・・そっちに行ったという事は何かあったという事か・・・」
アズパール王がそう呟きながらジーナの配置を見始める。
他の面々もジーナの駒の配置を見ている。
「「「「・・・・はぁ・・・」」」」
アズパール王以外の面々がジーナの駒運びを見ながらため息をつく。
「そうか・・・魔法師部隊か・・・」
アズパール王が呟く。
「・・・・・・よし、では、2日前の昼前の段階からの経緯を説明いたします。
まず、ベッリ男爵領軍1000名が4列で並び、近づいてきたとあります。
ゴドウィン伯爵領軍の盾から約300mの所から」
ジーナが当日の戦場の説明をするのだった。
・・
・
「今回の戦闘において、アズパール王国側に死傷者は出ていないとの事です。
以上、経緯の説明を終わります。」
ジーナが説明し終える。
「うむ、そうか・・・タケオは調査の結果どう考えたか?」
アズパール王がジーナに聞く。
「はい、まずは第二研究所 試験小隊の調査後の打ち合わせでは、中級の威力のブリザドに相当し、それを1000名の魔法師で絶え間なく降り注ぐ事で敵軍全体に被害を及ぼす範囲攻撃がされたという事です。
ご主人様としては今回の魔法攻撃に即した盾の開発が必要だろうとの事です。
また3伯爵方より現状の盾の作成費と同等の費用で、今回の魔法攻撃に耐えうる盾の開発が要望されたとの事です。」
ジーナが言う。
「うむ、まぁ、伯爵達はそう言うしかないだろう。
タケオは何と?」
「はい、今回威力確認を実施し、4名程の人員にて再現が出来る可能性が高いので、今回の魔法に耐えうる盾の開発を検討するとの事です。」
「そうか、タケオもやる気になったのだな。」
アズパール王が頷くのだった。
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