第2468話 マイヤーと軽く打ち合わせ。(盾の製作は上手くいかせないといけません。)
エルヴィス爺さんと話をした武雄が試験小隊の陣地に戻ってきた。
魔王国側からの魔法攻撃も止んでおり、今は魔王国側が撤収している最中だった。
「敬礼。」
アーキンの言葉に一緒に居たアニータも反応し、2人が挙手の敬礼をする。
武雄とブルックも挙手の敬礼をし、手を降ろす。
「はい、お疲れ様。
皆さんは打合わせですね。」
「はい、私とアニータが今は留守番です。」
アーキンが言う。
「私とアーキン殿以外の試験小隊員は打ち合わせ室で先程の試験の話をしています。
マイヤー殿は焚き火の所で先程のまとめをしています。」
アニータが言う。
「そうですか・・・私はマイヤーさんの所に行ってきます。
ブルックさんは自由で。」
「はい、了解でーす。
なら、昼食の事をエルヴィス伯爵領軍に聞いてきますね。
なんだったら貰ってきます。
たぶん、サンドイッチだと思うので。
アニータ、行くよ。」
「はい!」
ブルックとアニータが陣から出て行く。
「・・・あれだけの魔法攻撃を目にすると怖気づく者が出てきそうですね。」
残されたアーキンが言ってくる。
「当てて来なかったという事は魔王国の意図はそこにあると思いますがね。
アーキンさんは怖気づきましたか?」
「無いと言えば嘘になりますが、なったらなったでしょうがないだろう・・・程度に諦めています。
それに近くに行った諸先輩方はケロッとしているのに後ろにいた私が怖気ても・・・ケロッとしているという事は少なくともあの程度の攻撃なら何とかなると諸先輩方は思っているという事です。
諦めはしますが、不安はないですね。」
「心強いですね。
ま、それは私達だからでしょう、3伯爵領軍の兵士がどうなるか・・・観察しておきましょう。
子供達の方も気にかけておいてください。」
「了解しました。」
アーキンが頷く。
「では、私は焚き火の所にいますからね。」
武雄が焚き火の所に向かうのだった。
・・
・
焚き火の所では。
「んー・・・っと、これが初雪殿の戦闘記録で、鷲の偵察がこれで・・・」
マイヤーが書類を見比べながら手元の紙に書いていっている。
「マイヤーさん、私の部屋使えば?」
「いえいえ、こちらの方が気軽なのでね。
資料のまとめはこっちでやって、たぶんまとめ終わった時ぐらいに打ち合わせ室が空くでしょうから清書は打ち合わせ室でします。」
マイヤーが言う。
「マイヤーさんが良いなら問題はありませんが。
・・・マイヤーさんの率直な感想はどうですか?」
「魔法師1000名の攻撃は見ている分なら綺麗ではありましたね。
我が国では、あそこまで魔法師が揃いません。
相対する国家として明らかにアズパール王国は魔法師が足りていません。
守りを固めるといっても今のままでは本当に固められるかどうかもわかりません。
なので、所長がしている盾の開発が重要になると考えます。」
マイヤーが言う。
「そうですね。
エルヴィス伯爵からも似たような事を先ほど言われましたよ。
ただ、まぁ、施政者側としては費用の問題もあるので、出来るだけ安価で・・・なるべく今と同じ費用でとね。
それでも1m×1.5mの盾は常備として400個、毎年100個の入れ換え予算ですからね。
交換の予算は金貨110枚程度だったと思います。
予算超過させるとしてもあまりに高価だと買えないでしょう。
そこも考えて作らないといけないんですよ。」
武雄が言う。
「・・・難しい物ですね。」
マイヤーが考えながら言う。
「ええ、エルヴィス家に潤沢な資金という物はありませんからね。
いくら重要な物だからといって、一気に盾を換えようとするのならば、他の予算を削らないといけないですし、他の項目だって必要だから予算を取っているんです。
となるとやはり出来るだけ予算超過させない事が理想だと言えます。」
「値段を変えずに性能を上げる・・・確かに研究所がやる内容なのかもしれません。
ですが、今回の魔法の攻撃を目にして、少なくとも3伯爵は防御力を上げる為に動くでしょうね。」
「生産がなぁ・・・エルヴィス伯爵の方は毎年100個で3伯爵領全部だと500個は毎年替えるのですよね。
一工房でその数は出来ないだろうし・・・協力工房だけなら指導も割と出来るだろうけど、他領等の遠隔地だと指導も出来ないしなぁ・・・
製作方法の簡易化も考えないといけないんですよね。」
武雄が考えながら言う。
「はぁ・・・性能は高く、費用は今までと同じか、より安く、そして製作はし易く。盾の開発も相当条件が厳しいのですね。」
マイヤーがため息を付く。
「ですよ。
でも逆にそれだけ明確な目標があるという事です。
性能がしっかりしていれば、定期的に購入頂ける商品なので、やる価値はあるんですよね。」
「改めて考えると上手くいくというより、上手くいくようにさせないといけない事なのだと思い知りますね。」
マイヤーが言うのだった。
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