第2467話 無事、エルヴィス伯爵領軍陣地内に戻りました。(新しい盾は進化させないといけません。)
エルヴィス伯爵領軍 最前列の盾から10m程度出た所。
「止まれ!」
武雄の号令で、武雄達の一団が止まる。
「陣内に入りますよー。」
武雄が後ろを向いて、エルヴィス伯爵領軍の盾に声をかける。
「ご無事で何よりです!
こちらの準備良しです!そのままお下がりください!」
エルヴィス伯爵領軍の盾の内側から返事が返ってくる。
「了解ー。
後退準備!3、2、1、後退開始!」
武雄達が下がり始める。
エルヴィス伯爵領軍の盾まで1mまでの所に来ると、2枚の盾が引き、通路が出来、武雄達が陣内に入っていく。
そして、入りきるとすぐに今までの通り、盾がその場に戻り、防御を再び固めるのだった。
エルヴィス陣内に戻った武雄はというと。
「はい、調査終了。
盾解除。」
「「「「はぁ・・・」」」」
ベテラン4人が盾を横に下ろして、安堵のため息を付く。
「お疲れ様。
全員、ケアを実施しましょう。」
「「「「はい。」」」」
ベテラン4人が返事をする。
「所長、お疲れ様です!」
ブルックとアーキン、子供達が小走りにやって来る。
「はい、お疲れー。
ベイノンさん達はこのまま打ち合わせ室で調査結果の打ち合わせを。
出来れば昼過ぎのアリス宛の報告書に載せたいので方向性は出してほしいですね。
私はエルヴィス伯爵に調査が終わった事を伝えてきます。」
「「「「了解しました!」」」」
「あ、盾持ちます。」
「調査した盾の端等も持って行きます。」
子供達が率先して盾や調査した盾の端とかを持ち始める。
「では、私は向こうに行って来ます。」
「あ、なら、私が所長に付きますから。
皆は戻ってください。」
ブルックが武雄の横に付く。
皆が一塊になって自陣に戻って行くのだった。
「ブルックさん、付き合ってください。」
「了解です。」
武雄とブルックもエルヴィス伯爵領軍の陣内奥に向かって歩き出すのだった。
・・
・
エルヴィス伯爵領軍陣内の大きいテント。
「失礼します。」
武雄とブルックが先導の兵士と共にテント内に入ってくる。
「戻ったか。
まずは、無事で何よりじゃ。」
「ありがとうございます。
とりあえず間近で見て、感じて、ちょっと試験をして戻ってきました。」
「うむ、タケオの感覚ではどう感じたかの?」
エルヴィス爺さんが聞いてくる。
「具体的な事は試験小隊でこのあと話し合いはしますが、威力という点ではブリザド自体は中の中か中の上ぐらいだろうとあれから戻る時にうちの部下が言っていました。
それと地面にぶつかった際に広範囲に破片を飛ばす工夫がされていました。
あれは個人にというより小隊や軍隊といった集団用の魔法ではないかとも。」
「ふむ・・・戦争用の魔法か。
そういえばこの間もタケオの所がオーガ相手に広範囲に被害を出す魔法を使っておったの。
どの国も同じような事を考えるという事じゃな。」
エルヴィス爺さんが頷きながら言う。
「それで、今のままで防げるかの?」
「詳しくはこの後、皆で会議しますが、試験として、あの魔法に当てた盾の端ですが、凹みが出来ました。
なので既存の盾でも防げはしますが、一度使ってしまうと盾の性能低下を引き起こしてしまう可能性があります。」
武雄が言う。
「性能低下とな・・・大き目の凹みかの?」
「大きいというか深い感じですね。
貫通までしていませんが、同じ個所を何回もという結果になった場合、貫通する可能性が否定できません。」
「ふむ、なるほどの。
あの数が降り注いでくるからの、同じ個所に何回も当たるじゃろうの。」
「はい、何かしら板を張るか、凹みを埋めるか・・・応急処置としてはいくらかやり方はあるでしょうけども張り替えるか、新規に作った方が安心かもしれません。」
「戦争中にそれは難しいから何かしら応急処置を考えておかねばならんの。
そして、今後は既存の盾を強化する方法を模索しなくてはいけないの。
もちろん新規で作るのも今回と同じ攻撃をされた場合に耐えうる物にしないとの。
そこはタケオの所の研究内容じゃの。」
「はい、今回防御に持って行った盾は試験中の小銃に対しても耐えうるとして製作した盾です。
あれならば凹みも少なくなるのかもしれませんが、今回は当たりに行っていませんので、防御できるとは確実には言えませんが・・・オーガの攻撃にもあのような凹みは受けませんでしたからね。
あまり心配はしておりません。」
武雄が言う。
「うむ、間近に接近したタケオが不安を抱かなかったというのは良い盾が出来たという事じゃの。
・・・タケオ、今回のこの魔法の攻撃は当てる気はないという事じゃと思うのだが、タケオはどう思う?」
エルヴィス爺さんが言う。
「ないでしょう、当てる気ならわざわざ魔法を見せないで、いきなり相手の陣地内にあれを放つでしょうし。
こちらの戦意喪失もしくは士気の低下を目的とした『こっちの魔法はこんなに凄いんだ』という威嚇行動だと思います。」
武雄とエルヴィス爺さんは話を続けるのだった。
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