第2465話 魔法攻撃は物理攻撃なのです。(さぁ、調査を開始しよう。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
「開始して、少し経つが・・・アンナローロ、あれってブリザドだよな?」
「ここからでも視認出来るぐらいの大きさという事以外は、まぁ、そうでしょうね。」
ヴァレーリとアンナローロが望遠鏡を使わないで見ている。
「・・・なんで、地面に当たった瞬間四散しているんだ?
そんな魔法だったか?」
「いえ、氷の塊をぶつける魔法です。」
「我もそう思っていたんだが・・・なんだあれ?」
「・・・第5軍の者を呼んできますか?」
「いや、それには及ばない。
観戦しているのを邪魔はしてはいけないだろうからな、終わってからで良いし。
皆で話せば良いだろう、総評も聞けるだろうしな。」
「わかりました。
えーっと・・・現状としては、ベッリ男爵領軍はアズパール王国軍の中央のゴドウィン伯爵領軍を中心に左のテンプル伯爵領軍と右にエルヴィス伯爵領軍にかかるように魔法を放っていますね。
距離も向こうの盾から50m程度の所にきっちりとしているようです。
ほぼ正確に撃ちこんでいますので練度が高いと言えますね。」
「ああ、それにしても・・・凄い量を打ち込むんだな。
効率的な制圧方法か・・・かなりの量の魔法を撃ちこみ、大地を耕すという事だな。」
「魔力量が尋常ではないのでしょうね。」
「そうだな。
日々研鑽を積んでいるという事だな。
さて・・・あの突出したキタミザト殿達はどう動くかな。」
ヴァレーリが望遠鏡を取り出して武雄達を観察するのだった。
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エルヴィス伯爵領軍 最前列の盾から10m程度出た所。
ドドドドドドドッ
衝突音を聞きながら武雄達は盾の内側で耐えている。
「所長!音が凄いですね!」
「ですねー!
こっちに破片は飛んできていないようですが!」
「これなら近づけると思われます!」
「わかりました、前方確認の為に一旦、シールドを解除しますよ!」
「「「「はーい!」」」」
「3、2、1・・・解除!」
「「「「・・・」」」」
皆が黙って周囲を窺う。
「・・・問題なさそうですね。
次は戦況確認ですね!
前の盾間にシールドを発動しますよ。
シールド✕10、縦3横1で発動。
・・・よし、前右盾、右に20cm。」
「右20!よーい!・・・よし!」
前の盾が右にズレて前が見えるようになる。
武雄達5人が前方を確認する。
「・・・所長、あれに突っ込むんですか?」
ベイノンが呟く。
「突っ込む訳でなく、近くまで行きたいんですけど・・・あれ、どう見ます?」
武雄が困った顔をさせながら言う。
「氷が明らかに大きいですね。
中級の威力はありそうですね。」
「正確に撃ちこんでいるみたいですね。
変に距離が外れているのがありません。
近くまで行っても巻き込まれる事は少ないと思います。」
「よし!近付いていきましょう。
移動の前に全員、魔法ポーションの摂取を実施。
パナ、私も含めもう一度ケアを。」
「「「「はい!」」」」
「はーい。」
皆が移動をする準備を始めるのだった。
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魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
「おいおい、あの突出しているのがのろのろ動いているぞ。
近付いているように・・・間違いなく近づいている!」
「・・・キタミザト殿何しているんですかね?」
「わ、わからんな。
あんなに魔法が降り注いでいる所に近寄って何するんだ?
ほれ、アンナローロ。」
「はい、ダニエラ様。
どれどれ・・・あー・・・んー・・・何しているんですかね?
見た感じは先ほどと同じで盾か何かで防御はしているようですが・・・ゆっくりですね。」
「たぶん、前面と上方に盾を配置してじりじりと近寄っているんだろう。
あ・・・これは体験しに行っているのか?」
ヴァレーリが考えながら言う。
「体験ですか?
・・・なるほど、慣例の戦争では魔法師が珍しいのでしたね。
この魔法がどれほどの物か確認をという事ですね。」
「・・・ああ、だが、普通やるか?
1000名の魔法師でこれほどの量をばら撒いているのだぞ?」
「キタミザト殿が普通じゃないのは王軍幹部に周知されておりますよ。」
「あー・・・そうだったか。
だが・・・しないだろう。」
ヴァレーリが腕を組んで呆れながら武雄達の居る戦場を見るのだった。
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エルヴィス伯爵領軍陣内の大きいテントの入り口のすぐ外。
「報告!騎士団長以下、騎士団員40名、試験小隊の回収準備完了しました!」
騎士団員2名がエルヴィス爺さんの元にやって来て報告する。
「そうか、ハロルドに判断は任せる。」
「はっ!失礼します。」
「・・・タケオ、無事で戻ってくるのじゃぞ。」
エルヴィス爺さんが難しい顔をさせながらベッリ男爵領軍の魔法攻撃が着弾している方を見ながら呟くのだった。
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