第2463話 準備中なので暇しててください。(リラックスして待ちましょう。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
「さーって、アズパール王国側がどう出るのか。」
ヴァレーリが望遠鏡でアズパール王国側を見ながら言う。
「・・・第1軍で見慣れていますけど・・・やはり1個大隊規模が整列するのは見ていて気持ちが良いですね。
でも。綺麗に並んでどうやって魔法を放つんでしょう?」
アンナローロが下を見ながら言う。
「さてな・・・アズパール王国側には動きはなさそうだなぁ。」
「魔法師1000名なんて慣例の戦争では出された記憶がないですからね。
もう、これでもかというくらい固まって耐える気で居るのではないでしょうかね?」
「だな。
昨日のパーニ達との打ち合わせの事だがな?」
「はい、今日はこのままベッリ男爵殿達が昼ぐらいまで打ち込むという話でしたね。」
「ああ・・・どんだけ打ち込むんだ?」
「さぁ?・・・第5軍の大隊の訓練は見ていますが、あんな感じですかね?
でも、ベッリ男爵殿がなんか変な事を言っていましたよね?」
「・・・対軍相手の効率的な制圧方法の試験をするとか言っていたあれだな。
何をするか、まったくわからんが。」
「一応、アズパール王国の盾の所から50mは離すとは言っていましたね。
あ、下の整列が終わったようですよ。」
「うん、そうか・・・動かないなぁ。
アンナローロ、見るか?」
ヴァレーリが望遠鏡をアンナローロに渡す。
「動きはないとの事ですが・・・あー・・・ん?陛下、右側にちょっと突出している者居ませんか?」
アンナローロが言いながら望遠鏡をヴァレーリに渡す。
「え?そんな所あったか?
・・・これかな?ん~・・・出ているようにも見えるし、出てないようにも見えるな。
これはキタミザト殿だな!」
「ですね!
何しているんですかね?」
「暇だから前に来たんじゃないか?
好き好んで魔法が飛んでくる所に行く事はするまいよ。」
ヴァレーリとアンナローロがのんびりと観戦しているのだった。
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第二研究所陣地内打ち合わせ室の特殊コンテナ搭載馬車の上のテントにて。
「さて・・・はじまりそうですね。」
マイヤーがメモと鉛筆を横に置いてスコープで戦場を見ながら言う。
「マイヤー、さっき鷲2体が上空待機しました。
各スライムも戦場に散らばって周囲を監視しています。」
隣に座る初雪が言ってくる。
「はい、ありがとうございます。
こっちの準備は終わってそうですね。
魔王国は・・・うん、どうも前進してきますね。」
「えーっと・・・懐中時計の短いのが時間で、長いのが分っと・・・移動を開始と。」
初雪が紙に時間と何かを書き込むのだった。
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エルヴィス伯爵軍 最前列の盾から10m程度出た所。
完全武装の武雄達5人は盾2枚を並べて置き、自分達の左右にも盾を1枚ずつ置いていた。
そして5人は盾の後ろで車座に座ってその時を待っていた。
「・・・所長、動き出しちゃいましたね。」
アーリスが言ってくる。
「ですね。
どこまで詰めて来るんでしょう。
魔法師の平均的な攻撃距離は250mでしたよね?」
「正確に当てて、それなりの威力を保つのがですね。
当てるだけならもう少し距離は出せますよ。」
ブレアが言う。
「確か、向こうの前列とこっちの前列の間は現在500m程度離れているんですよね。」
ベイノンが言う。
「まずはどこに止まるかですよね。
それより所長、盾の端とフルプレートの一部を攻撃の所に出す用の棒が短くないですか?」
オールストンが聞いてくる。
「1.5mくらいの物しかなかったんですよ。
それに先に括りつけて盾の隙間から出すんだから、これ以上長かったら持ち運べないでしょう?
このぐらいでちょうど良いんですよ。」
武雄が言う。
「それだけ近づかなきゃいけないんですよね・・・」
アーリスが呟く。
「そうですよ。
移動中の盾の強化はお願いしますね。
パナがケアを皆にしていきます。
魔力量については余裕をもって対処するように。
任意で魔法ポーションを使用する事。
いっぱいあるからね、惜しみなく使って良いですよ。」
「・・・所長、私、それなりに軍務長いですけど、1つの戦闘で魔法ポーション5個持たされるの初めてですよ。」
ブレアが言う。
「あれ?マイヤーさんが1人5本は割り振られるとかさっき言っていましたよ?」
「それは全体行程で5本って事ですよ。
それに1つの戦闘で惜しみなく使って良いとか王都守備隊でもしませんよ。」
オールストンが言う。
「怪我の治療より魔法ポーションの方が安いんですから使いなさいって。
あと150本くらいありますからね。
死ぬほど飲んで良いから。」
「「「「ポーションでその言葉聞きたくないです。」」」」
ベテラン4人が呆れながら言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




