第2460話 エルヴィス伯爵邸がある街のいつもの居酒屋では。2(皆順調に仕事をしているようです。)
「皆の所で大変な所は・・・まぁ、皆が皆大変なのは毎日の愚痴でわかっているが。
この間ローチの所にモニカの所から応援に行ったんだろう?
あんな感じで忙しすぎる所に応援に行った方が良い所とかあるのか?」
ベッドフォードが皆に聞く。
「ほほほ、ベッドフォードも経営者になったものだ。
自分の心配よりも他人の心配とは。」
ローがしみじみと言いながら酒を飲む。
「うちの工場は大丈夫ですよ。
仕事も山のようにありますからね。
そうだ、ナプキンの試供ですけど、予定を超えました。
何とかこれで、赤字にならないようにして試験が出来ます。
王都からも多数の方が参加して頂けるとの事で、この地と一緒になって、情報を持ち寄って、正式販売に向け動いていきますよ。」
ラルフが言う。
「あ、そうだ、ラルフさん、あれとっても好評ですよ。
あのままでも正式販売に移っても良いんじゃないですか?」
モニカが言う。
「ん~・・・いや、生産能力が・・・不織布の工房での生産量は今の所、余裕がないんですよね。
とりあえず試供品を作るので慣れて貰って、新人を入れるかどうかも検討してだから・・・もう少しかかりますね。」
「そうですかぁ。
半年後とかにはなんとかなりますか?」
「何とかしたいなぁ。
今、手作業で1つずつ作っているので・・・もう少ししたらキャロルさんの所で効率化出来るかの検討かなぁ。
まぁた、お金がかかる。」
ラルフが疲れた顔をさせる。
「ラルフさんの所も大変そうだなぁ。
ローチさんの所は?」
モニカがローチに聞く。
「うちはハワース商会のお陰で大量受注が終わったのでね。
本格的にクレーンの試験をしていますよ。」
「クレーン・・・前に言っていたコンテナという物を吊るやつですよね。」
「ええ、どうやれば上手く吊れて、移動させられるかの試験をしていますよ。
文官の方や武官の魔法師の方も来て、皆であーだこーだ、やっていますよ。
それとうちのダンとクローイも文官と話し合いをしていて人工湖の計画に落とし込んでいるんで、人工湖も戦争が終われば動き出すと思いますね。」
ローチが言う。
「となると、作業用の小屋とか船をつける場所とかに木材の注文が来るか・・・今の在庫量だと不安だから、注文しておこうかな。」
モニカがローチの言葉を聞いて考える。
「スズネさん、スニーカーどうですか?」
ラルフが鈴音に聞く。
「あ!楽ですよ。
スニーカーは良いですね。
通勤と勤務中に使っています。
今度、研究室長のトレーシーさん達も買うと言っていました。」
「達?」
「はい、奥様や試験小隊の奥様達と子供達で買いに行くと言っていました。」
「こ、子供用!?」
ラルフが目を右往左往させる。
「はい、10歳くらいまでの子供なら女性用に作ったサイズでも入るんじゃないかと言っていました。
履いてみて良かったら買ってみようと。」
「そ、そうですか。
まぁ近日中に来店頂けるという事でしょうから、お待ちしております。」
「あ、そうだ。
アリス様も気に入ってましたよ。」
「それは良かった。」
ラルフがホッとする。
「エリカさんとエイミー殿下、ジェシーさんに自慢していました。
『履きやすい靴が出来たんですよぉ、形は同じでも色が違って、自分の好きに選べるのって良いですよ。』って。」
「・・・そうですか。」
ラルフが真顔で答える。
「ジェシーさんは『出産が終わったら買いに行く』と言っていましたし、エイミー殿下は『研修終わったらキティと買いに行く』と言っていました。
あ、キティさんは一緒に来た来年エルヴィス家に入る方だそうです。」
「・・・ちなみにエリカ様は?」
「『明日行こうかなぁ』です。」
「・・・ちなみにその発言を聞いた皆様は何と?」
「エイミー殿下は悔しがっていましたけど、ジェシーさんは『私も明日行く』って。
アリスさんが『いやいや、ジェシーお姉様、無理でしょう!?』と言っていましたけど、ジェシーさんは『ここから仕立て屋まで良い運動だから行っても問題ないし!』と言っていましたよ。
行くかどうか最後まで決まりませんでしたけどね。
あれ?ラルフさん、どうしましたか?」
「・・・いえ・・・何も・・・来られても良い準備しておきます。」
ラルフが軽く項垂れながら言う。
「あ、そうだ、アリスさんとジェシーさんならお茶を出すのにダンディ茶を出した方が良いですけど・・・
テトちゃんにコノハ殿に連絡入れておいて貰おうっと。行くなら水筒で持って行かないとラルフさん達では大変だろうし。
あ、その辺は問題ないんだ。」
鈴音が姿を消しているテトに言ってコノハと連絡を取ったようで、一人でブツブツ言う。
「これは明日大変な事になりそうですね。」
ラルフが疲れた顔をさせるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




