第2459話 エルヴィス伯爵邸がある街のいつもの居酒屋では。1(今のエルヴィス家の様子を聞いてみよう。)
いつもの酒場にて、いつものメンバーが揃っていた。
「伯爵様とキタミザト様は頑張っているのだろうか・・・」
ベッドフォードが酒を飲みながら呟く。
「訃報が無いという事は何も悪い事がないということですよ、ほほほ。」
「何かあれば、アリス様が動くでしょうよ。」
ローとモニカが心配すらしないで飲んでいる。
「そういえば、スズネがいたな。
キタミザト様や伯爵様は元気なのか?」
ベッドフォードが聞いてくる。
「今日はアリスさんの所に行っていたのですが、特に何も。
アリスさんは長期の来客中なので大変だと思いますよ?」
鈴音が言う。
「来客?・・・特に私の所には来ていないからキタミザト様関係ではなさそうね。」
モニカが首を傾げながら言う。
「私の所にも来てないですね。」
「うちも来てないな。」
「こちらにもおいでではないですね。」
ロー、ベッドフォード、ラルフが言う。
「もちろん、うちにも来てないです。」
「うちもです。」
「それらしい人は来ていませんね。」
キャロルとローチ、雑貨屋のイーリーも言う。
「違いますよ、ゴドウィン伯爵の奥様です。
アリスさんのお姉さんで名前は、えーっと・・・」
「「「「「ジェシー様!?」」」」」
皆が鈴音に言う。
「そうそう、ジェシーさんです。
出産の為に帰ってきているんですよ、それに」
「「「「「出産の為ってなに!?」」」」」
「え?・・・ジェシーさんがもうすぐ出産予定日だからって実家で産む事にしたと聞きましたよ。」
「ほぉ・・・とうとうジェシー様も出産か。」
「嫁いで長かったものね。」
「いやぁ、とりあえず第1子だな。」
「これで男子なら言う事ないですね、ほほほ。」
皆が顔を見合わせて言う。
「え?生まれてくるのは男子ですよ?」
「「「「「は?」」」」」
「ん?だって名前教えて貰いましたよ。
確か・・・ハリー・・・ハリー・フレッド・ゴドウィンだったと思います。」
鈴音が思い出しながら言う。
「スズネちゃん、それ、たぶん、ジェシー様の願望よ。」
「うんうん、男子が生まれて欲しいというやつだな。」
「ゴドウィン家の跡取りを産みたいのでしょう。」
「貴族だからなぁ・・・男子は産みたいと思うだろう。」
皆が考えながら言う。
「・・・そういう事で良いです。」
鈴音が軽く考えてから諦めた顔をさせて飲み始める。
「スズネさん、そういえばジェシー様の後に何か言いそうになっていませんでしたか?」
ラルフが聞いてくる。
「あー・・・滞在しているのはジェシーさんだけでなくて、エリカさんが来ていて」
「エリカって前にアリス様と良く歩いていた女性だな。
うちにも来てくれたぞ。」
「私の所にも何回か来て頂きましたね。
というより皆さんの所に行ったのでしたね。」
ベッドフォードとラルフが言う。
「エリカ様って確か第3皇子一家、レイラお嬢様の所の人だったよね?」
「また、仕事で来たんでしょうね、ほほほ。
アリス様と2人でまたそのうち来てくれるでしょう。」
モニカとローが言う。
「・・・エイミー殿下とご友人が来ています。」
「「「「「殿下!?」」」」」
皆が鈴音に言う。
「ええ、この地に研修で来ています。
庁舎の方で毎日、文官方と色々しているそうですよ。」
「この地に研修というのは、まず置いといて。
殿下って何?」
モニカが皆を代表して聞いてくる。
「王族ですよ。
第2皇子一家のご長女だとお聞きしましたよ。
武雄さんが居るこの地で新しい事を学びたいと短期研修なんですって。
一緒に来た殿下のご友人はエルヴィス家で採用されたので、各局で順々に事前研修を受けているそうです。」
鈴音が言う。
「わざわざ卒業前に王都から来て研修を受けるんだね。
真面目だね。」
「真面目なのが一番だろう。」
「そうですね。
仕事を熟していく内に出来る事も増えて行くでしょう。
それにしても研修ですか。
この地に王立学院の卒業したての者は入った事がありますかね?」
ラルフが考えながら言う。
「いや、いなかったと思うな。
王立学院卒業者は王都で出世争いとかで疲れた者がこの地にやって来る事があるとウスターソースの時に担当になってくれた文官に聞いたぞ。
頭の良いやつも大変なんだなぁと思ったな。」
「王都で出世争いだけでも相当疲れそうですね。
まぁ、この地で文官をするのは今は仕事が多くて別の意味で大変そうですね。」
ベッドフォードの言葉にローチが言う。
「そうだねぇ、大半はキタミザト様がやってる事だけどねぇ。
のんびりするつもりで来たら、この忙しさだもんね。
まぁ、出世争いで忙しいよりも仕事が多くて忙しい方が耐えられるのかもしれないね。」
モニカが言う。
「スズネ、その新人さんはどこに所属するか言っていましたか?」
キャロルが聞いてくる。
「いえ・・・何個かの局で研修をしていて大変みたいだとアリスさん達が言っていたくらいですね。」
「となると・・・今、適性を見ているのかも知れないですね。
複数の局から声がかかったとなると相当優秀な方なのでしょうね。」
「優秀な文官の新人さんかぁ。
楽しみですね。」
「厳しい方でなければ良いですが。」
「店には来てくれるんですかね?
そうすればどんな人が来ているのかわかるんですけどね。」
皆がキティの事を話し始めるのだった。
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