第2451話 294日目 王都に報告が届きました。(オーガ戦の経緯です。)
昼過ぎのアズパール王国 王城のアズパール王の執務室。
アズパール王とオルコット宰相、外交局長、軍務局長、王都守備隊総長が居た。
「失礼します。」
ジーナが案内をしてくれた王都守備隊員と共に入ってくる。
「うむ、ジーナ、毎日ご苦労だな。
疲れてはいないか?」
アズパール王が言う。
「いえ陛下、仕事ですので問題ありません。
報告前に王都守備隊の方々と運動をし、報告後には部屋でのんびりとさせて頂いております。」
「そうか。
しっかりと休むようにな。」
「ありがとうございます。
では、先ほど届きました2日前の昼までの配置報告を致します。」
ジーナはそう言って、執務机の前に置かれた机に広げられている地図に向かう。
「この2日は小競り合いだけだったが・・・どうなったのか。」
アズパール王がそう呟きながらジーナの配置を見始める。
他の面々もジーナの駒の配置を見ている。
「「え・・・」」
誰からともなく困惑の声が出る。
「・・・ジーナ、端の駒が動いたのか?」
「はい、ご主人様より朝の段階でオーガが10体ずつ動いていると認識し、数度鷲を飛ばし状況の確認をしたとあります。
そして・・・オーガ戦が開始されたとあります。」
「来たか・・・早く仕掛けて来たな。
ジーナ、結果もあるのか?」
「はい、ですが、順を追っていきます。
まずは戦闘開始時です。
テンプル伯爵領軍側のオーガ10体に対し、テンプル伯爵領軍とゴドウィン伯爵領軍の騎士団から4小隊ずつ、魔法師小隊を1小隊ずつ出して対応を実施しました。
エルヴィス伯爵領軍側のオーガ10体に対し、第二研究所試験小隊が対応しました。」
「はぁ・・・タケオ・・・十数名で対応したのか・・・相手はオーガだぞ・・・」
アズパール王が額に手をやって項垂れる。
皆も微妙な顔をさせる。
「また、この日の朝の貴族方との打ち合わせ時にビエラが飛来し、着陣。
すぐに試験小隊に組み込み人間形態での参加をしております。」
「ビエラ殿が間に合ったか・・・それは吉報だな。
そうか、なら、エルヴィス伯爵領軍は参加しない方で、後方で動けるようにしておいた方が良いかも知れないな。」
アズパール王が言う。
「試験小隊の迎撃数はご主人様6体、ビエラ5体、他小隊員4体との事、テンプル伯爵領軍とゴドウィン伯爵領軍は合同で10体との事です。
試験しょ」
「ジーナ、計算が合わないのだが、迎撃数は合っているのか?」
ジーナの報告を遮ってアズパール王が問いかけた。
「はい、書かれている通りです。
ただ、エルヴィス伯爵領側は追加で5体増援され、試験小隊で対応したとの事です。」
「あ、そういう事か。」
ジーナの説明で合点がいったとアズパール王達が頷く。
「戦闘の所要時間は試験小隊は25分、テンプル伯爵領は2時間、
戦果は試験小隊は15体、テンプル伯爵領は10体、計25体の討伐を完了したとの事です。」
「なるほど、勝てたのだな。
しかし、タケオ達は15体を25分でとはな・・・
恐らく、最初の10体の時にかなり早く終わって相手が焦って追加したのだろう。
・・・意味はなかったようだがな。」
アズパール王の感想に他の面々も苦笑しながら頷く。
「最後に、第二研究所試験小隊 死傷者なし、エルヴィス伯爵領軍 死傷者なし、ゴドウィン伯爵領軍 死傷者なし、テンプル伯爵領軍 1名戦死。」
「「「!?」」」
戦死者が出たという報告に執務室にいる面々が息をのむ。
「戦況については以上です。
詳細はゴドウィン伯爵より戦闘報告がなされるのでそちらでとの事。
また、余談として4月より入った新人2名が他の隊員の補助ありではあるが、オーガ1体を撃破し、戦争での初戦闘を乗り切ったとの事です。」
ジーナが言う。
「そうか・・・新人が無事に初戦を終えたのは良い事だ。
ジーナ、他にあるか?」
「いえ、以上が報告の全内容になります。
こちらがご主人様からの報告になります。
配置等の確認をお願いいたします。」
ジーナがアズパール王に紙を渡す。
「うむ、確認しよう。」
アズパール王が配置の確認をする。
「・・・わかった、この後の会議に活用しよう。
タケオには引き続き、慎重に動くように伝えてくれ。
ジーナ、ご苦労だった。」
「畏まりました。
陛下、皆様、失礼いたします。」
ジーナが退出して行く。
・・
・
「陛下・・・テンプル伯爵領軍に犠牲者が出ましたね。」
外交局長が言う。
「ですが、オーガ10体です。
犠牲者を1名に抑えられたという言い方が正しいでしょう。」
軍務局長が言う。
「死者1名と言う事は負傷者が10名程度居た可能性はありますね。
エルヴィス伯爵家の兵士長考案の回復戦法の有効性が確認出来ていると考えられます。」
王都守備隊総長が言う。
「そうだな。
・・・特に何かしてやれる事は無いが・・・また英傑が1人逝ったな。
この後、戦没者慰霊碑に献花するとしよう。」
「「「はっ!」」」
皆が頷くのだった。
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