第2448話 二研はおかしい所かも。(どこから監視をしますか。)
「精鋭部隊って凄いのね。
なら、一番の戦果を残したキタミザト様は?」
「あれは・・・所長だから。」
「英雄ってああいう事なんだよね。」
ジーニーの問いかけに2人して考えながら言う。
「流石にあれは無理?」
「無理無理。
なんで4体も・・・まぁ直接の戦闘では1体だけど、その1体だけでも出会い頭に葬るんだから。」
「あんなの出来ないわ。
所長が言うには『魔法師専門学院の入学基準に満たない魔力量しかないから落ちこぼれ』と言っているけど。
満たない所長がああなら、満たしている私達は何をしろと?」
「所長の凄い所は自身の能力を正確に把握し、その能力を活かせる魔法具を用意する。
そしてその魔法具を最大限有効利用する方法を考え、戦術を考える。
最後にその戦術をやれる人材を集められるという所かな。
アリス様は個人の能力を最大限使って英雄になって、所長は個人の能力を最大限使える魔法具を用意して英雄になったんだと思うな。」
「なるほどね。
第二研究所に所属してどう?」
「あー・・・ケイちゃん、実戦多いよね?」
パメラがケイに聞く。
「そうね、予想していたのとかなり違うね。
もっと訓練場で試作品を使った訓練をすると思ったけど・・・まぁ、戦争は致し方ないけどね。」
ケイが言う。
「実戦が多いの?」
ジーニーが聞く。
「うん、ここに来るまでに野営を幾度かしているけど、その度にテントを張ったら、夕食まで森の中で魔物と戦闘をしていたんだよ。」
「魔物を捜索し、強襲をする。
オークがほとんどだったけど、毎回やり方が違うから集中しないといけない感じだね。」
「ケイちゃん、皆さんに聞かれたら怒られるよ?
『戦闘中に集中を切らすな』が基本なんだから。
まぁ、言いたい事わかるよ、毎回新しい事をするから気が抜けなかったよね。」
「オーガを前にしても動けるわけだ。」
「まぁ・・・良い経験をさせて貰っているのはわかるけど、多い気がするよね。
でも、ジーニーちゃん、オーガは怖かった!動けたけど!怖かった!」
パメラが言う。
「あれは盾で防御しなきゃ、1発で死んじゃうわ。
私も必死に盾を合わせたわ。」
ケイも言う。
「それほどなのね・・・私達もいつかはオーガを相手にするのかな?」
「その時は受ける力の大きさが凄いから気を付けてね。」
「盾を必死に合わせれば死にはしないから。」
「わかったわ。」
パメラとケイの言葉にジーニーが頷く。
その後も同期達で今回のオーガ戦の話をするのだった。
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パメラとケイから少し離れた露店と露店の間。
「やっと、発見出来ました。
アーキンさん、あれですよね。」
「うん、そうだな。
・・・発見までの時間もまぁ許容範囲内か。
さて、ミルコ、警護をするぞ。」
「はい・・・でも、害意を持つような方は周りにはいませんね。」
「ははは、そうだな。
ここは戦争の最前線の露店だからな。
兵士同士での諍いは少ないだろう、だが、声をかける不埒者が居るかもしれない。
接触自体を阻めないかもしれないが、そうなった時にすぐに動けるようにしておく為に周囲にどういった人間が居るのかを観察する必要があるんだぞ。」
「んー・・・アーキンさん難しいですね。
怪しいと思うと皆怪しく見えてしまいます。」
「そういうものだからな。
さて・・・怪しまれないように監視をしないといけないが・・・ミルコ、どうする?」
「ん~・・・隠れるのはどうですか?」
「よし!なら隠れるか。
場所はどうする?」
「ええ・・・あー・・・う~・・・」
ミルコがキョロキョロと周りを見渡す。
「あ!あそこはどうですか?」
ミルコが指をさしてアーキンに言う。
「よし!やってみようか。」
アーキンとミルコが監視する場所に向かうのだった。
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パメラとケイがいる露店の斜向かいの飲食を扱うテントの裏にて。
「ブルックさん、良い所がありましたね。」
「そうね、まさか隙間からあの2人が見れる所があるとはね~。
アニータ、良く見つけたわね。」
アニータとブルックが席に着いてお茶をしながら言う。
「はい、飲食を扱う露店の裏は椅子や机が置かれていたので、割と近い所で見られるのではないかと思って。」
「なるほどね、2人を見つけてから向かい側の裏を歩くと言った時は驚いたけど、アニータとしてはしっかりとした考えだったのね。
でも、飲食を扱う店じゃなかったらどうしたの?」
「・・・何とかして裏を借ります。」
「うん、今回あって良かったわね。
ん~・・・流石にこの距離だと会話は聞こえないけど、十分に監視は出来るね。
あとは、不審者が近づいて来た時に対処すれば良いわね。」
「ブルックさん、近づいてきたらどうすれば良いんですか?」
「支払いをして、駆け付けるだけよ。」
「それだと、時間がかかりませんか?」
「そうね、だからどちらかが支払いをして、もう1人が先に駆け付けるのよ。」
「えーっと・・・この場合は私が支払いでしょうか?」
「うん?アニータが駆けつける方をしたいならして良いわよ。」
「・・・・・・・・・支払いの方をします。」
「わかったわ。」
長めに考えたアニータが言うとブルックが頷くのだった。
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