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第2447話 只今報告書書いています。(新人なりに部隊の事を見ています。)

昼食後の第二研究所陣地内の焚き火周り。


「あ~、マイヤー、終わり?」

「はい、私の仕事は終了ですね。

 所長は報告書の作成、試験小隊は反省会、子供達は散策に行っています。

 なので、私とビエラ殿は焚き火の番をしているわけです。そうそう、オーガの時はご助力ありがとうございました。」

「はい。

 来てみたら、戦闘だった、私、頑張った。」

「ええ、助かりました。

 あれで随分と皆の負担が減りましたからね。

 あの距離では所長1人で良くてオーガ6体でしょう、皆で残りの4体となると厳しかったかもしれません。

 ですが、ビエラ殿が4体を引き受けて頂けたので、子供達への不安を少なくして送り出せたのです。」

「私、役に立った?」

「ええ、ビエラ殿だからこそです。

 他の誰にも・・・アリス殿とジーナ殿はされるかもしれませんが、数名以外では成しえない助力でした。」

「なら、良かった。」

ビエラが満足そうに頷く。

「助力、ありがとうございます。

 と・・・うん?入口の方に誰かが・・・ビエラ殿、ちょっと行って聞いてきますね。」

マイヤーが立ち上がり、陣内を覗いている者に近付くのだった。

・・

「戻りました。」

マイヤーが武雄の自室に寄ってから焚き火に戻って来た。

「おかえりぃ、誰?」

「エルヴィス伯爵家の騎士団の方でした。

 所長に書類を持ってきたので、自室に居る所長に渡しましたよ。」

「ふーん、なんだろう?」

「テンプル伯爵領軍側での戦闘結果だそうですよ。

 所長には書面での簡易報告がもたらされたようです。」

「へー、マイヤーはしないの?」

「他の2貴族への報告はエルヴィス伯爵家がしてくれる運びになっているんです。」

「へぇ~。

 なら、さっきの戦闘、も、皆が知ってる?」

「ええ、されていると思いますよ。」

「ふーん、こっちに報告書、来ない?」

「後で所長達は会議ですからね。

 その時に渡されるでしょう。」

マイヤーとビエラが話していると。

「マイヤーさん、すみませんが、エルヴィス伯爵邸宛に送ってください。」

武雄が紙を持って焚き火にやって来る。

「わかりました。

 すぐに鷲の手配をします。」

マイヤーが立ち上がり、武雄が書いた報告書を受け取る。

「んー?鷲?」

ビエラがマイヤーと武雄を見上げる。

「報告書を送るのですよ。」

「そだったね。」

「うん?・・・所長、これは本当ですか?」

マイヤーが武雄が書いた報告書を軽く目を通していたが、顔を上げて聞いてくる。

「ええ、さっきの戦闘でテンプル伯爵領軍の騎士団に1名戦死者が出ました。」

武雄がマイヤーに言うのだった。


------------------------

ゴドウィン伯爵領軍の関内の飲食を扱うテントの裏にて。


「はぁ・・・終わったぁ。」

「半日だけど休暇が貰えて良かったぁ。」

ケイとパメラがジュースを一口飲んで安堵のため息をついていた。

「お疲れ様。

 どうだった?」

ジーニーが聞くと他の同期達も顔を向ける。

「必死だった。」

「もう・・・前の森の中での戦闘とは違う、精鋭部隊での戦闘って、こうも違うのかと思ったよ。」

ケイとパメラがダラけながら言う。

「そんなに違った?」

「うん、ケイちゃん、そうだよね?」

「そうね・・・私達2人が役に立ったのか全く分からないまま終わったわよね。」

「もう言われた通りに動くしかなかったよね。」

「そうそう。」

パメラとケイがお互いに頷く。

「どう違うの?」

ジーニーが聞く。

「指揮する者の実力?」

「お互いへの圧倒的な信頼?」

2人が同時に首を傾げながら言う。

「んー?詳しく。」

「えーっと・・・つまりね、今回第二研究所の試験小隊の戦闘は攻撃と防御が完全に分けられて動いていたの。

 盾持ち役が3人、攻撃が1人か2人。」

パメラが言う。

「で、私達が学んできたのは、簡単に言うと・・・盾で攻撃を受けます、受けて耐えました、攻撃します。

 という、1つずつの項目をやっていく感じなのよ。

 でも、試験小隊の先輩達は盾で攻撃を受けます、受けて耐えるのがわかっているから受けた瞬間に攻撃できるように動いとく。

 というように、どういう防御をするからどういう攻撃をする、そしてどういう攻撃をするからどういう防御をするという、防御と攻撃の各々が失敗しない事(・・・・・・)を前提に動いているの。」

ケイが言う。

「ほぉ~、でも盾役が失敗したらどうなるの?」

「今回のオーガ相手には失敗はないね。」

パメラが言う。

「失敗がない?」

「そうね、させてくれないわよね。」

ケイが頷く。

「ああぁ・・・」

「私とケイちゃんが盾持ちの時は私達の後ろにベテラン隊員が1名付いて、常にケアやオーガの攻撃で私達が盾を飛ばさないようにと補助しながら敵の攻撃の予測を大まかに教えてくれていたの。」

「で、防御をする度に私達の怪我の有無や今の攻防の評価がされて、次にする事を指示されるわ。

 『相手は力加減が出来ないくらい闇雲だ』とか『全力で行くぞ』とか。

 正確ではないのかもしれないけど、次にする事や状況を言われると意識を集中出来た。

 盾の時は盾の事を、攻撃の時は攻撃の事のみを集中出来るようにと指揮が凄かった。」

「そしてオーガの攻撃を防げばすぐに攻撃してくれる、ここで攻撃を行えばすぐに防御が割り込んで守ってくれるという互いの信頼関係が凄かったね。」

2人が言う。

パメラとケイが先輩たちを誉めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言]  領軍はそれぞれの役割に信用がないのかな? 連携して倒すという訓練を領軍は教えてくれないのか? 本当に実践経験が豊富とは思えないのだが……。
[一言] >パメラとケイが先輩たちを誉めるのだった。 まだ続くのかな? 戦闘の詳細説明としては有りだけど、手柄を立てた同期に対してのやっかみやら自慢としては面白味に欠ける展開であると同時に、人情味が…
[気になる点] >パメラとケイが試験小隊を褒めるのだった パメラとケイも試験小隊のメンバーなのに、先輩を「褒める」の?「誉める」ならまだ分かるんだけど。。
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