第2446話 魔王国王軍の感想会。(王軍は最強部隊です。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある大きいテント。
ヴァレーリとアンナローロは一緒に来た王軍の幹部と会議をしていた。
「以上、結果としてパーニ伯爵殿が対峙した方は時間をかけて殲滅され、ファロン子爵殿が対峙した方は即座に殲滅されました。」
今日の戦闘の報告を幹部兵士が発表する。
「そうだな。
我とアンナローロも上から見てはいたが・・・瞬殺に等しい敗戦だったな。」
ヴァレーリが言う。
「はぁ・・・あれは前に王城に来られて居たキタミザト殿ではないのでしょうか?
あんな攻撃を今までしたというのは報告にありませんでしたし、さっさと終わらせる作戦も見事でした。
あんな事を考え付くのはキタミザト殿ぐらいしか居ないかと思います。」
「ああ、お前は前にキタミザト殿が来た時にあの作戦の部屋に居たか。
我もアンナローロもキタミザト殿の部隊だと考えているぞ。」
ヴァレーリが発言した幹部兵士に言う。
「はい、彼の国への作戦立案をこの目で見ました。
恐ろしい方です。
やはりキタミザト殿との戦闘は避けるべきとした幹部達は正解でした。」
「そうだな。
そういえば、第5軍の者が居たな?
キタミザト殿がした最初のオーガ10体への攻撃はどう見る。」
「はい!類似の魔法はあります。
ですが、あのように10体のオーガに向けての範囲攻撃を行いながら数体を倒すという。
不均一な威力の攻撃というのは初めて見ました。
単一の魔法ではなく、2種もしくは3種の魔法を組み合わせたのではないかと考えられます。」
第5軍の幹部兵士が言う。
「なるほど。
だが・・・十数名の部隊だったが?
その人数で出来る物なのか?」
「可能ではあります。
・・・十数名と言う所を考えた場合、『オーガ10体だから出来た』と捉えるべきかもしれません。
範囲攻撃の範囲を見るにオーガ15体から20体が一度に対せる限界と考えて良いかと思います。」
「少数精鋭が故の対応限界数か・・・
王軍であれを突破するのにかかる被害想定はどのくらいだと思う?」
「私見で申し訳ございませんが、最小で3個小隊、最大で1個中隊は作戦行動が不可能になると私は考えます。」
「・・・はぁ、あの魔法をくぐり抜けるのに1個中隊か・・・
で、その後のオーガ5体では転ばされて、こちらも瞬殺だったな。
これはどう見る?」
「陛下、紐があったと思いますか?」
「準備している素振りは着陣してから見ていないな・・・紐は使っていないとするか。」
「で、あるのなら、なにかしらの魔法でとなります。
オーガの突進力で破れない強度の魔法で転ばされました。
であるのなら、ほとんどの王軍の兵士が転ぶのではないでしょうか。」
「余裕で対処されると考えられます。
もしかしたらオーガ10体の時もあの魔法を使わずに対処出来たのかもしれないと思わせるには十分な戦闘内容だったと思います。」
第5軍の幹部兵士と他の幹部兵士も言う。
「キタミザト殿に相まみえるのに白兵戦でどのくらいの犠牲が出る可能性がある?
お前、どう思う。」
ヴァレーリが他の兵士に聞く。
「そうですね・・・キタミザト殿が率いる小隊は連携が取れていますし、オーガをすぐに倒す武力もあるとなると・・・1個中隊が倒されても驚きません。」
他の兵士が言う。
「なるほど・・・キタミザト殿に肉薄するのに最大2個中隊400名の犠牲か。
対するのなら3個中隊が必要と考える必要がありそうだな。」
ヴァレーリが腕を組んで呆れながら言う。
「キタミザト殿は本当に人間種なのでしょうか?」
「のはずだ。
・・・少なくとも角や牙、尻尾はなかったな。
キタミザト殿とは今、良好な関係を築こうとしている。
あまり刺激はするなよ。」
「「「はっ!」」」
皆が頷く。
「で、えーっと、テンプル伯爵とゴドウィン伯爵の方は大勢で囲んでの討伐だったな。
あれは標準的なやり方だな?」
ヴァレーリが皆に聞く。
「はい、堅実な方法を取られたと考えられます。
ですが、少々、対応する人数をかけ過ぎている感はありました。」
「片方がキタミザト殿だ、余力を回したと考えても良いと思うな。」
「キタミザト殿に倣って出来るだけ早く処理する予定だったのかも。」
「あり得るな。
早く終わらせれば次の戦闘に備えられる。」
「実際、パーニ伯爵側の戦闘も昼前に終わっていました。
予想以上にキタミザト殿が早く終わらせたので、我々はそちらに注意を向けてしまいましたが、こちらも想定より早い終わりでした。
パーニ伯爵側の対応に精鋭を数多くだしたという事かもしれませんね。
良い決断だと私は思います。」
「ああ、魔王国側の3伯爵も十分に優秀だという事がわかりましたな。」
「報告書だけでなく、実際に見る事も大事だとわかりましたね。」
幹部兵士達が口々に言う。
「・・・今回の戦闘だが、各中隊規模で意見を集約した報告書を作成してくれ。
もちろん新人の意見も聞く事、もしかしたら面白い見方をする者が居るかもしれんからな。」
ヴァレーリが言う。
「「「はっ!」」」
皆が頷く。
「それで・・・陛下、パーニ伯爵殿とファロン子爵殿はどうされるので?」
幹部兵士が聞く。
皆がヴァレーリを見る。
「我らの戦争ではないからな、どうもする気はない。
ないが・・・ファロンは人間に劣等感が刺激されているようだ、2、3日は戦闘を禁止して頭を冷やさせた方が良いだろう。
皆もだ!人間種だろうとなんであろうと傲るな!見下すな!
いかなる種族にも傑物は必ず存在する。
いかなる個人でも組織でも国家でも相まみえる時は常に同等以上の力を持っていると仮定して動け。
我々王軍は最強だ!最強だからこそ戦闘において、力を抜く事は許さん!
大隊長から兵士まで全員にこの考えを徹底させろ!
我からは以上だ。」
「「「はっ!陛下の御心のままに!」」」
幹部兵士全員が立ち上がり返事をするのだった。
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