第2436話 んー・・・現地はどうなっているんだろう。(武雄達の準備は出来ました。)
エルヴィス伯爵邸の武雄の書斎。
朝食後、エイミーとキティは王都守備隊に護衛されて庁舎に向かい、アリスとエリカ、ジェシーは武雄の書斎で話し合っていた。
「・・・んー・・・本格侵攻はなさそうというタケオさんの予測でわかっていたけど・・・初日のこの状態だと何ともいえないわよね・・・
アリス、昨日の状態は昼に来るのよね?」
ジェシーが地図を見ながら言う。
「はい、お昼に来ますね。
でも、いつもの通り、ゴドウィン伯爵が相手のパーニ伯爵と話し合いは実施したとありましたから。
そこまでの戦闘にはならないのかもしれませんよね。」
「何とも言えないわ。
初日と2日目で何もなければ大丈夫だとは思うけど・・・」
「そう言えば、ビエラ殿達はもう現地に着いた頃ですよね?」
ジェシーが考える横でエリカがアリスに聞く。
「はい、ビエラちゃんの話では遅くとももう着いている時間ですね。
・・・私、カレーの寸胴を大切に持って行くドラゴンを初めて見ましたよ。」
「はは、昨日もカレーだったのに今日もカレーで良いんですかね?」
エリカが首を傾げる。
「ビエラちゃんもクゥちゃんもカレー好きだからなぁ。」
「あはは、キタミザト家の人達皆さんではないですか?
受け取りに来たスズネ殿も満面の笑みですし、ベルテ一家さん達も喜んでいましたよ。」
エリカが言う。
「いや、でも、王都の西でしか食べられないと言われているのがここで食べられるのは凄いわね。
まぁ、タケオさんが監修している時点で王都より美味しい物があるのはわかるけど。
まさか、王都西のアズパールカレーまで一般に振舞っていると思わないわよね。」
「タケオ様、どっか行く度に何か持ってくるんですよ。
食べ物だったり、人だったり。」
アリスが言う。
「うん、料理と人材が同じ括りなのがタケオさんらしいわ。
ま、ここで待っていてもしょうがないから客間に移動しようかしら。
アリスに宿題をさせないといけないし。」
「・・・ジェシーお姉様、やっぱり私縫物ダメです。」
「アリス・・・何事も諦めてはダメよ。
少しずつしていけば、そのうち出来るようになるんだからね。」
アリスの諦め顔の呟きにジェシーが言う。
「ん~・・・エリカさんは?」
「私、それなりに出来ますよ。」
「はぁ、エリカさんは敵ですね。」
救いを求めたはずのエリカの発言にアリスが感情を無くした目をさせて言う。
「何言っているのよ、アリス。
エリカさんだって最初は出来ないのを出来るようにしてきたんだから。
皆通る道よ。」
「はぁ、全然上手くいかないんですよねぇ。」
「アリスさんは完成形がもう頭に出来ていて、現状との差異で悩んでいるだけですよ。
何かコツがつかめればすぐに出来るようになりますって。」
エリカが言う。
「コツ・・・エリカさん、コツってなんですか?」
「人それぞれに違うので何とも言えません。
糸を通せるようになるのか、真っ直ぐ縫えるのか、ヌイグルミを作れるのか。」
「・・・ま・・真っ直ぐ縫えるようにまずします。」
アリスが諦めた顔をさせて言う。
「はい、じゃあ、客間に行きましょうか。」
ジェシーが言うとアリスとエリカも席を立つのだった。
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エルヴィス伯爵軍 最前列の盾から10m程度出た所。
マイヤーと初雪、ミア、リーザを除く全員が作業服と帽子、リュック等戦闘準備をさせながら待機していた。
「・・・おかしいなぁ。
オーガを途中で止めたままですね。」
「引っ込めてはいないので、やるのでしょうけど・・・どうしたんでしょうかね。
エルヴィス伯爵軍の方も動きがあれば教えてくれるとの事でしたけど。」
武雄とアンダーセンがお茶を飲みながら言う。
「「「「はぁ・・・」」」」
子供達が緊張からため息をつく。
「ま、緊張するのは当然だけど、し過ぎちゃダメよ。」
ブルックが4人を見ながらにこやかに言う。
「うぅ~・・・ブルックさん、緊張しないんですか?」
ミルコが聞く。
「え?私だって緊張してるよ?」
「「全く、そうは見えないです。」」
ケイとパメラが言う。
「してる、してる。
力いっぱい身体強化と盾の強化をして踏ん張ってくれればいいから。」
「「「「頑張ります。」」」」
子供達が言う。
「タケオ、大丈夫かの?」
エルヴィス爺さんと騎士団長のハロルドがやって来る。
「エルヴィスさん、盾より前は危ないですよ?」
「うん?あそこに盾があるから大丈夫じゃよ。」
エルヴィス爺さんが試験小隊の盾を指さす。
「スミス坊ちゃんにエルヴィスさんは何としてでも帰還させると言ってきてしまっているんですよね。
無理はしないでください。」
「はは、わしなんかよりタケオの方が長く生きるのじゃから無理をしてはいけないの。
それにタケオにもしもの事があったらアリスに怒られるしの。
戦闘で無理はしないように注意はしないといけないだろう。」
「それは魔王国に言ってください。」
「ふっ、まったくじゃ。
・・・タケオ、勝てるか?」
「初陣の時より少ないのですよね。
・・・ま、想定通りに行けば、すぐ終わりますよ。」
「そうじゃったの。
気を抜かないようにの。」
「わかりました。」
「じゃ、わしは後ろで見させて貰うからの~。」
エルヴィス爺さんが陣地内に戻っていくのだった。
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