第2435話 戦闘準備中。(今日の夜はカレーです。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
「今のは・・・ビエラとブルードラゴンだったな。
ま、ビエラの事だから成獣状態では出てこないだろうがな。」
ヴァレーリが武雄の陣地の方を見ながら言う。
「はい、ドラゴンが2体来ましたね。
・・・下、慌ててますけど?」
アンナローロが下を見ながら言う。
「パーニから報告が来ないなぁ~?」
「それどころではない動揺が広がっているようですが・・・
予定通りに決行でしょうか?」
「じゃないか?
あそこまでオーガを移動させたしなぁ。
まぁ・・・10体程度ならビエラが居ようが居まいがアズパール王国側は対応出来るだろう。」
ヴァレーリが言う。
「そうですね。」
「それにしてもボナは惜しい事をしたな。
今日がオーガ戦だとは。」
「仕方ありませんよ。
ボナ子爵殿も領地の事がありますから長く居られないですし。」
「ふむ・・・領地持ちも大変だな。」
「陛下がさせているんですけどね?
で・・・キタミザト殿は出て来るでしょうか?」
「・・・さてな。
昨日の数を増やした際もそれらしい部隊は出てこなかった。
だが、流石にオーガでは出るんじゃないか?
聞いた話だとキタミザト殿の初陣はオーガ戦だからな、経験者だ。
普通の兵士達よりかは戦う術を知っているだろう。」
「そうですね・・・陛下、10体のオーガにどう戦いますか?」
「斬る。」
「陛下ならそうですね。」
「なんだ?
なら、アンナローロならどうする?」
「掘ります。」
「何を!?」
「即席の落とし穴を作って、少し落として分散させて、各個斬りますね。」
「あー、なるほど、そういう事も出来るか。
オーガは遅いからな、バラけさせるのが一番だな。」
「まぁ、遅いですけど・・・あの巨体でズンズン迫って来たら怖いと思いますよ?普通は。」
「そうか・・・あー、そうかもな。
さて・・・パーニの報告遅いな!」
「まぁ、もう少し待ちましょうよ。
段取りしているんでしょうから。」
ヴァレーリとアンナローロは話しながらパーニからの報告を待つのだった。
------------------------
第二研究所陣地内の焚き火周り。
「あー!タケオ、おかえりぃ。」
作業服を着たビエラが戦闘ベストを持ちながら言う。
「ただいま、ビエラもお疲れ様。
どうでした?」
「うん?エイミー、キティ、ジェシー、無事着いた。
アリスとエリカ、笑って話してた!」
「うん、なら大丈夫ですね。
何事もなければ、昨日こちらに到着の予定ではなかったのですか?
まぁ、エイミー殿下とジェシーさんの護衛で予備日を設けて最長3日後までになるとは言ってましたけど。」
「昨日、カレーだた。
予定変更、鷲に持たせたよ?」
「うん、その報告書は今日の昼に届きますけどね。
まぁ、移動中に何もなくてよかったです。」
「はい!で、戦闘、と、言われた?
私、用意してる!」
ビエラがやる気を見せる。
「ビエラ、ありがとうね。」
「はい!リーザ、どうする?」
「リーザはマイヤーさんと一緒にここで留守番をお願いします。
危ない時以外はドラゴンの成獣状態では戦わない方が良いとビエラと話しましたから。
今回はね。
お菓子は用意しておきますから食べながら観戦してください。」
「ぎゅ。」
リーザが頷く。
「タケオ!準備かんりょー!」
上下作業服に戦闘ベスト(左胸上にナイフ装着済み)と帽子、半長靴、左腰に小太刀1振り、そしてちょっと小さめのリュックを背負い、リュックにはヘルメットが結んである状態でビエラが立っている。
「良く出来ました。
ちなみにリュックの中何が入っているんです?」
「毛布とお菓子!と、水?」
「うん、必要最低限ですか。
重くないですか?」
「らいじょうぶ!問題なーい。」
ビエラが言う。
「所長、試験小隊の準備整いました。」
アンダーセンが近寄って来て報告する。
「うん、装備の確認も?」
「はい、胸のナイフと主戦武器を各自確認済みです。
魔法ポーションを全員3本ずつ配り終わっています。
盾の方は4個とも緩みが無いか確認しています。
現在は、小休止とし、各自水分を取ったのちに用を足すように言っています。」
「了解。
ビエラとリーザが間に合いました。
ビエラは私と一緒に戦場に、リーザはマイヤーさんと一緒に留守番をして貰います。」
「了解しました。
大きな変更はないという事でしょうか。」
「私達が予定通り、前面に出ます。
取りこぼしてもエルヴィス伯爵軍が対応してくれます。
エルヴィスさんからは思いっきりやって良いと言われましたよ。」
「ならば、子供達の初陣を飾らせて貰いましょう。」
「計画通りに。」
「はい。」
アンダーセンが頷く。
「さて・・・私も準備しましょうかね。
アンダーセンさんは計画の再度確認をお願いします。
ビエラは?」
「マイヤーの所、行く!
あ!タケオ、カレー、持ってきた!米も!マイヤーに渡した!
今日、夕食、は、カレー!」
ビエラが答える。
「なるほど、マイヤーさんはキッチンカーに行ったのですね。」
武雄が頷く。
「さっき、マイヤー殿が持っていたのはカレーだったんですね。
これはカレーの為にも怪我なんて出来ませんね。」
アンダーセンは頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




