第2434話 292日目 戦場が動くとの情報がありました。(ビエラが到着。)
昼前の第二研究所陣地内打ち合わせ室の特殊コンテナ搭載馬車の上のテントにて。
テントの前側に布を張り、魔王国側から多くを見えないようにして、テント内から武雄がスコープで魔王国側を見ている。
「はぁ・・・朝の上空からの偵察通りかな?」
武雄がため息とともにスコープから目を離す。
「所長、2度目の鷲の偵察結果が来ました。」
マイヤーがテント内に入ってくる。
「ご苦労様です。
結果は?」
「移動を開始しているようです
パーニ伯爵軍、ファロン子爵軍の両端に10体です。」
「良し!想定内の数ですね。
事前の打ち合わせの通りに実施します。
マイヤーさんは記録要員としてスコープでの戦闘観察、初雪と鷲達の臨時の偵察運用の用意とアンダーセンさん達に戦闘準備をさせてください。
私は伯爵達に報告に行って来ます。」
「はっ!了解しました。」
マイヤーがテントから出て行く。
「はぁ・・・相手も堪え性がないなぁ。」
武雄がスコープをしまい、立ち上がってテントを出て行くのだった。
・・
・
ゴドウィン伯爵軍陣内の大きいテント。
「失礼します。」
武雄が入る。
中には3貴族と騎士団長や兵士長など主だった者達が揃っていた。
「タケオ、どうだった。」
ゴドウィン伯爵が聞いてくる。
「はい、追加の鷲の偵察を実施、朝の偵察と合わせて考えると、パーニ伯爵領軍、ファロン子爵軍、両陣地の端に向けオーガ10体が集結中です。
これは5分前の情報です。」
「「「・・・」」」
皆が難しい顔をさせる。
「はぁ・・・タケオ、相手は・・・端のどこだと思うかの?」
エルヴィス爺さんが武雄に聞く。
「現状では・・・こことここです。
私の予測では・・・パーニ伯爵軍とファロン子爵軍のそれぞれ三分割した時の端側ではないかと思います。」
武雄が銅貨を2枚取り出して地図の上に置き、滑らせながら予想地点を言う。
「ふむ・・・なるほどの。
わしとロバートの所か・・・この2日間での小競り合いで向こうの被害が予想以上という事かもの。
反撃時に少し頑張り過ぎたのかも知れぬ。」
エルヴィス爺さんが言う。
「兵士達は良くやっています。
今の所、死者なし、負傷者も回復しており、後送したものは居ません。
これ以上の結果はありませんよ。」
テンプル伯爵が言う。
「うん、皆良く持ちこたえている。
反撃の結果もこちらとして何か言うような事がないほどの結果です。
それにしても昨日は4回戦闘をしたが・・・どれも相手の兵士数が想定よりも多かった時点で気が付けば良かったのだろうが・・・3日目にしてオーガを出してくるか・・・正直、もう少し後だと思っていた。」
ゴドウィン伯爵が難しい顔をさせる。
「さて、時間がありません。
想定通り、左右に分かれての配置がされ、テンプル伯爵領軍とエルヴィス伯爵領軍に向けて動くものと考えます。
全体左翼のオーガ10体はうちとエルヴィス伯爵軍にて対応、右翼の方はテンプル伯爵領軍とゴドウィン伯爵領軍にて対応をしましょう。」
武雄が言う。
「親父殿、タケオ、良いのか?」
ゴドウィン伯爵が言う。
「構いません。
先日の打ち合わせで15体までは対応すると言ったのです。
10体ですから、何とかしますよ。
とは言いつつも・・・エルヴィスさん、何体か抜けるかもしれません。
その際はよろしくお願いします。」
「はは、数体で済むなら構わんよ。
タケオの事じゃから、わしらの分も残してくれるとは思っておるしの。
・・・うちは騎士団を向かわせる、タケオ、存分にやると良い!」
「はい。
では、各々準備を」
「会議中、失礼します!」
武雄が終わりを告げようとした時に兵士がテントに駆け込んでくる。
「ドラゴンが飛来!キタミザト子爵軍陣地内に着陸しました!」
「あー、それうちのです。」
「ビエラ殿とリーザ殿が間に合ったの。
良いタイミングじゃ。」
武雄とエルヴィス爺さんが言う。
「は?」
駆け込んで来た兵士が呆けた顔をさせる。
「はぁ・・・幸運が続くな。
良かった、これで負けは無くなったな。
タケオ、ビエラ殿は?」
「緊急時を除き、戦闘の際にドラゴンの成獣状態での参加は魔王国を刺激する為、しないというのが事前の打ち合わせ内容です。
まぁ、人型での参加はするでしょうけど。」
「そうか・・・そうかぁ・・・魔王国の本格侵攻の可能性はなくなったな。」
ゴドウィン伯爵が安堵したように言う。
「まだそう決まった訳ではありません。
ここにいる人以外に教えるべきではないでしょう。
緊張が緩むと怪我の元です。
油断して段差に躓いて死んだら意味がないですよ。」
武雄が言う。
「うん、そうだな。
ここに居る人員には厳命をする。
ビエラ殿の事は念頭に置いても良いが我が方が壊滅しないだけだ。
ビエラ殿は戦力ではない!
オーガだけでなく常に警戒を怠るな!事を起す際は気を緩めるな!緩めれば死が待っている!」
「「「はっ!」」」
武雄達が返事をするのだった。
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