第2415話 アルマとレイラとスミスとジーナ。(オーガ戦が一番の目玉らしい。)
第3皇子一家の執務室。
スミスとジーナが挨拶に来ていた。
「なんだか会議室が大変な事になっているわね。
ウィリアムも呼び出されたし・・・大丈夫かしらね。」
「2人とも、私達はお義父さまから今回の戦争の裏の話は聞いているわ。
王軍と魔王国陛下が来て観戦をする。
そしてその後に一気に他国を攻めるという壮大な計画ね。
それをわざわざ言いに来るというのも不思議な感覚よ。」
アルマとレイラがスミスとジーナに言う。
「ヴァレーリ陛下自ら伯爵様とご主人様に伝えに来て頂いたのは最大限の誠意を示してくれていると考えています。
今回の魔王国とアズパール王国の慣例の戦争が重要な意味を持っているという証拠かと。」
「うん、お爺さまとタケオさん2人がかりなら何とか無事に終えられると思うけど・・・ちょっと心配ね。」
レイラが考えながら言う。
「戦地は相当大変だろうね。
うちの兄なんかは『関に撤退しよう』とか言いそうだわ。」
アルマが呆れながら言う。
「関に撤退してもね・・・この戦力差があってだからなぁ。
あまり意味はないかもね。」
レイラが言う。
「レイラ殿下はそう思われるのですか?」
ジーナが聞く。
「うん?ええ、そう思うわ。
これが領主が居る街とかなら撤退案もわからなくもないわよ。
でも、関って・・・5000名が籠って戦うように作っていないからね。
相手がもっと有利になっちゃうんじゃない?」
レイラが言う。
「なるほど。」
ジーナが頷く。
「レイラお姉様、実際にはタケオ様のいう野戦で行うのが一番なんですか?」
「現状はそうなんじゃない?
野戦で相対するのなら2倍の状況よね。
こちらから積極的に交戦せず、かかって来たら迎え撃つを繰り返し出来るのならまだ悲観するような数の差ではないと思うわ。
これが一気に攻めてくるとなると・・・野戦だろうが関に籠ろうが大して変わらないかもね。
むしろ動ける範囲が広い分だけ野戦の方が良いかも。
スミスは違うの?」
「ん~・・・わかりません。
関に籠っても良いようには思うのですけど、皆が関の上に展開できないというのならする意味は少ないというのもわかります。
でも、関に籠れば少なくとも半分は休めるような気がするんです。
休める兵士を作る事で交代しながら戦える状況というのも悪くないと思います。」
スミスが考えながら言う。
「ふむ・・・マリ殿はどう思いますか?」
レイラがスミスに向かっていう。
「主の案は関の前面100mくらいの所に盾の兵士達を置く事で相手を受け止め、関の上にタケオ達試験小隊や魔法師部隊を配置し、攻撃を行うという事を想定すると考えると、あながち間違いではないかと。
ただ、ゴドウィン伯爵領側の関から戦場へ行く道が細く、関の周りに木等が生い茂り、囲まれる事が無い状態においてという周辺の条件が必要でしょう。」
チビマリがスミスの肩に現れて言う。
「ここに居る人員でゴドウィン伯爵領側の関に行った事がある人はいないわ。
となると・・・マリ殿、その考えはタケオさんも出来ると思いますか?」
「出来るでしょう。
タケオはそもそも自身の武器が1200mの射程を有しています。
関の上から味方という遮蔽物がない状態で撃てるのです、提案してもおかしくないでしょう。
ですが・・・タケオは野戦を主張したようです。
となると、関の周辺の地理が籠っても不利に働くと判断しての事でしょう。
ま、そもそも裏の話を知っていては籠るという選択はなかったという所が本当の所だと思います。」
「なるほどね。
まぁ・・・お飾りとわかっている5000名を除けば後は・・・ジーナちゃん、最終的にはいくつになるの?」
「ファロン子爵、パーニ伯爵共に2500名、ベッリ男爵が1000名の計6000名になります。
明日か明後日のご主人様からの報告で総数が判明します。」
「そう・・・当分黙っていましょうかね。
数としては野戦でした方が良いと思えるわね。
それで・・・ウィリアムがお義父さまや軍務局に聞いた所、オーガが居るそうね?」
レイラが聞く。
「はい、ファロン子爵とパーニ伯爵の陣の外側に45体ずついるとご主人様は言ってきています。
ご主人様と伯爵様が一番警戒しないといけないと睨んでいる所です。」
「ふむ・・・自国兵に怪我をさせない為にオーガを使うと言う事かしらね?
アルマお姉様、オーガって強いんですよね?」
「強いとは聞くけど・・・実際に私は見た事ないわ。
レイラは・・・ないのね。
スミスとジーナは?」
アルマが聞く。
レイラは質問をされた時点で首を振っていた。
「僕は遠目に1度。」
「私はオーガが初陣でしたが。」
「「「あれ?そうだっけ?」」」
アルマとレイラ、スミスが驚き顔をさせる。
「・・・確か、ご主人様は報告書を出していたと思うのですが。」
「いや~、見たかもしれないけど忘れたわ。
で、ジーナちゃんの初陣がオーガだったのね?」
「はい、王都に向かう途中の野営時にご主人様が1体、私とお父さまで1体。
ご主人様は事もなげに簡単に倒してしまいましたが・・・あの時のご主人様は強く鮮やかで・・・今でも思い出せます。」
ジーナが笑顔で言う。
「そう・・・ジーナちゃんの初陣もおかしかったのね。
この主従は何と言うか・・・まぁ、良いわ。
その90体のオーガが今回の戦争の一番の戦いになりそうね。」
レイラが言うのだった。
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