第2411話 ダニエラ達休憩に入ります。(ダニエラさんは武具に関しては妥協しない。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
ヴァレーリ達は陣内を観閲してからここに連れられてきた。
「・・・見晴らしが良いな。」
ヴァレーリが呟く。
「はっ!建てさせました。
昼間はこちらで観戦をお願いいたします。」
パーニが言う。
「・・・そうか、今日は・・・この後は何かあるか?」
「はっ!夕食前に行う、3貴族による現在の状況と予定を確認する会議に参加頂きたく考えております。」
「そうか。
・・・わかった、夕食までここに居る。
呼びに来てくれ。」
「はっ!畏まりました。
我々は一旦退出いたします。」
パーニ伯爵達が櫓を後にする。
「お前達も下がれ。
一旦、休憩としよう、この場にはアンナローロとボナが居れば良いだろう。」
「「はっ!失礼します。」」
護衛の兵士達も櫓を去っていく。
・・
・
「・・・行ったか?」
「行きましたね。」
ヴァレーリの問いにアンナローロが答える。
「なんで関の外側にあるんだよ!?」
「気を利かせたのでは?」
「どういう気の利かせ方だ!
これでは散策に行けないではないか!
夜か!?夜に遊びに行けというのか!?」
「陛下、それは夜這いというのですよ。」
ボナが言う。
「知ってる!
うん、違う!そういう事を言ってない!
なんで皆に見える所に居なきゃならんのだ!
我はもっとお茶でも飲みながらのんびりと観戦して、気が向いたらキタミザト殿の所に行って話をするつもりだった!なのに!」
「うん、陛下、キタミザト殿に迷惑になりますから止めましょう。」
アンナローロが言う。
「はぁ・・・戦争中ですよ。
行けるわけないじゃないですか。」
ボナが言う。
「うるさい!我の能力なら例え何があろうとも行ける。
障害など何もないのだ。」
「敵味方双方に負傷者が続出しそうですね。
とりあえず、パーニ伯爵は良い事をしましたね。」
「何がだ!?」
「陛下の行動を抑止するという最大の功績がここに誕生しました。
私達だけでは陛下の行動を制止出来ませんので。」
アンナローロが言う。
「・・・まぁ、1か月ある、何回かキタミザト殿の所に行く機会もあるだろう。
はぁ・・・アンナローロ、ボナ、座ってのんびりしよう。
そこにある椅子を持ってこい、お茶は・・・水差しがあるな、まぁ、水でも飲むか。」
「「はい。」」
アンナローロとボナが頷くのだった。
・・
・
「とりあえず、不満はあるが、現地に到着できたな。」
ヴァレーリが水を飲みながら言う。
「ボナ子爵殿が合流されるとは思いもよりませんでした。」
アンナローロがボナに言う。
「ベッリ殿から陛下が来ると聞いていましたからな。
文句を言いに来ました。
陛下、うちから派遣している者に注文を出し過ぎです。」
「・・・戦準備なのだ、最大限調整が取れた物を使いたいと思うのは当然だろう?」
「ええ、当然ですね。
末端の兵士分までをやるのは大いに結構ですが、期間が短い!
陛下、うちに応援要請が来ましたよ。」
ボナが言う。
「あぁ、一時期、増えた気がしたが気のせいじゃなかったのか。」
「追加派遣しましたからね!
それより期日の短い調整作業もさることながら、新造のハルバードにケチをつけていると聞きましたよ。」
ボナが言う。
「違うな、我に合うハルバードを持ってこさせているが、全力で振るうと曲がったり捻じれたりするんだ。
不良品として突き返しただけだ。」
「はぁ・・・陛下の使っているロングソードとショートソードを作るのにどれほど私が苦労したか知っておりますか?」
「・・・あれには感謝している。
手にしっくりくるし、打ち負けないのも良い。
だが、苦労を知ると頼めなくなりそうだから知る気はない。」
「はぁ・・・派遣している者達の作品も徐々に良くなっていて、もう少し待てば陛下が気に入る物が出来上がると信じております。
この間、ロングソードを作った際の鉄の配合を教えておきましたから。
まったく・・・私に頼めば良い物を派遣した者に頼むからこうなるのです。」
「せっかく来て貰っているのにボナに頼むのでは、彼らも悲しいだろう?」
「普通の剣ならそうですが、陛下のは特別な製法が必要なんですよ。」
「期待して待っていよう。
まぁ、そう、怒るな。」
「はぁ・・・言いたい事が言えたので良いです。
陛下は武具の事になると妥協はしませんから。」
「当たり前だ、命を預けるのだから妥協はしない。
妥協するぐらいなら持って行かない方が良い。」
「まったく、やりがいのあるお客です。」
「ははは、よろしく頼むよ。」
ヴァレーリが笑いながら言う。
「それで、ボナのお付きが長いバッグを持って来て置いて行ったのだな?」
ヴァレーリが言う。
「あぁ、面白い事を言い出した者が居たのでね。
今回の陛下の遠征に丁度良いだろうと持って来ました。」
ボナが席を立ち長いバッグを持ってくる。
「ふむ・・・ドワーフが面白いというからには珍しい物が出来たのだな?」
「はい、これなんですがね。」
ボナが取り出してヴァレーリの前に置く。
「棒・・・筒・・・か?
一方が太く、もう片方が細い・・・殴るのか?」
「違います、これは望遠鏡と言います。」
ボナが言うのだった。
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