第2409話 286日目 休憩の過ごし方。(状況をしれれば、安心して居られます。)
寄宿舎のスミスの部屋。
午前の訓練を終えたスミスも帰って来ており、王城から帰って来たジーナと地図を見ながらサンドイッチを食べていた。
「・・・ジーナ、タケオ様が言っていた通りなら、ここにベッリ男爵軍500名か1000名とヴァレーリ陛下軍5000名が来るんだよね。」
「はい、そうなります。
普通に考えれば、この後ベッリ男爵軍、そして王軍が入り、慣例の戦争開始間際にヴァレーリ陛下が到着されると予想できます。」
「そうだね・・・総勢11000名か・・・
そしてうちには王城から援軍はないと。」
「はい、内々にそう言われております。
その事はご主人様にもエルヴィス伯爵様にも伝えてあります。
ご主人様からは『来られても邪魔なだけのような気がする』と酷評されておりましたが、陛下も似たような感想を仰っていました。」
「僕達の住んでいる所は頼りない者が後ろに控えていたんだね。
さてと・・・現状はわかったけど、どうする事も出来ないね。
陛下からタケオ様宛に伝言はあるの?」
「はい、『頑張れ』だそうです。」
「・・・今、指示をしても戦地で混乱を招くだけだろうし、そのぐらいしか言えないか。
なら、ジーナはエルヴィス家に送る手紙を作って送ってね。
僕からは何もないから。」
「畏まりました。」
「さて、今日の午後は訓練ないし、読書して過ごそうっと。
ジーナも午後は休んでね。」
「はい、そうさせて頂きます。
とりあえず、読書をしてみようと思います。」
ジーナが頷くのだった。
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武雄の書斎。
「「んー・・・」」
王城に向けてと、王城からの報告は先ほど双方に送ったのちにエリカとアリスがソファに座り、地図を見ながら唸っていた。
「アリスさん、わかってはいましたけど、こうやって見ると状況はかなり悪いですね。」
「そうですね。
お爺さま達が到着する予定日にこの戦力差というのは・・・獣人とオーガが相手ですからね。
人間換算すると単純に2倍とは言い切れませんね。」
「アズパール王国側5000名、魔王国側9500名と90体のオーガ・・・これからさらに増えるのですよね。
現地の兵士達の心労が心配です。」
「そうですね。
後ろにいる私達が思うよりも相当な精神的な負荷があるでしょうね。」
「・・・お爺さまが到着した時にどう思ったのかは気になりますね。」
「伯爵様も知っているのですよね?」
「タケオ様とお爺さまと私はダニエラ様から直接聞かされています。」
「教えられた場での反応が難しいですね・・・
それにしても現状の数を教えられて、タケオさんは知っていても他の伯爵方は知らないのですよね・・・
特に反応をせずに過ごしたのではないですかね?」
「私はお爺さまは演技をされたと思いますね。
あ、それよりも皆で話す前にタケオ様と打ち合わせしそうです。
どういう風に話を持って行くかとか。」
「事前打ち合わせは大事ですよね。
あれ?タケオさん、今日の報告なんて書いてありましたか?」
「・・・えーっと、現状、現地に居る兵士が増えただけで3伯爵軍の兵士達には今までの注意事項の再徹底を依頼した。
明日は・・・これ今日ですね。
今日は休みになったので森に入ってパナと植物観察をすると書いてありますね。」
「タケオさん、戦場でのんびりね。」
「ですね。
まぁ、緊張している文面ばかりではこちらも心配してしまいますが、このぐらいなら気楽に見ていられますね。」
「とりあえず、タケオさんとしては兵士の数が増えた程度と見ている感じなんですね。」
「ですね。
今日も安心していられますね。」
アリスがエリカに言うのだった。
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ゴドウィン伯爵領の関、第二研究所陣地内の焚き火の所で武雄とパナが森の散策中に根ごと採取してきた草花を捨てられる予定の木箱を拾って来て土を入れ、植えるという事をしていた。
「・・・パナ、採って来た草を箱に植えましたよ。」
「ご苦労様です。
タケオ、木箱の底にスリットを入れましたか?」
「水抜き用ですよね。
小さい穴でも良いと言ってたので、ナイフで何ヶ所か作って土を入れましたよ。
それとパナが仕分けしてくれたグループごとに植えてあります。
これ戻ったらベルテ一家の所で栽培して貰いましょうか。」
「ウカとダキニが上手く栽培してくれると思います。
あ、それとエリカが民間療法の本を作ろうとしていましたね。
もしかしたら栽培方法とか掲載するかもしれませんね。」
パナが言う。
「草花の名前だけでなく、栽培方法まで・・・家庭で気軽に薬草栽培をし始めるとかになったら楽しいですけど、個別の栽培方法ではなく、採って来た草木の苗木から簡単に始められるようにしておいた方が良いかもしれませんね。
そこはエリカさんと協議して進めて行きましょうかね。」
武雄が言うのだった。
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