第2407話 スミスとジーナは訓練中。(順調のようです。)
王都守備隊の訓練場。
「はぁぁ!!!!」
「ふっ!」
「せいっ!」
体操服姿のジーナが男性隊員2名と打ち合っている。
「せやっ!」
「よいしょっ!」
スミスの方は女性隊員と打ち合っている。
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「ふむ・・・王立学院が休暇になっているとはいえ、2人の訓練も充実しているようですね。
私程度でも動きが良いというのはわかります。」
朝練の様子をアズパール王の執務室の窓からお茶を飲みながら宰相のオルコットが呟く。
「・・・よし!オルコット、これは終わったぞ!」
執務机で書類を処理をしていたアズパール王がサインをした書類を持ち上げ、オルコットに見せる。
「ご苦労様でした。
では、次の書類をお願いいたします。
残り2つです。
それが終われば休憩が出来ますから。」
オルコットが顔だけ向けてアズパール王に言う。
「おおおおおおお・・・わかった・・・」
アズパール王がガックリとして持ち上げた書類をゆっくりと置くと、少し高めになっている書類の一番上を取って、読みだす。
「・・・ふむ・・・ジーナ殿が素晴らしいのはわかっておりましたが、エルヴィス殿も中々。王都守備隊と打ち合えるというのは高評価でしょう。
お!手を抜いているとはわかっても王都守備隊員に勝てましたか。
うんうん、成長している様子、良い事ですね。」
オルコットはアズパール王の監視をしながらジーナとスミスの練習を観戦している。
「オルコット、面白そうな事を言わないでくれるかな?」
「エルヴィス殿の方は終わりましたよ。
さ、気になさらずに仕事を続けてください。」
「・・・わかってはいるが・・・せめて口に出さないでくれるかな?」
「これは失礼しました。
努力しましょう。」
「はぁ・・・ん?んー・・・オルコット、これ会議で出た内容か?」
「うん?どれがですか?」
「経済局から新規村の設立案が出ているんだが。
これ、レッドドラゴンの棲み処の跡地の話とは別だよな?」
「あー、それはまだ企画案ですね。
次の会議で議題に上げるみたいですよ。
その前に予定候補地を陛下に上げておこうという事です。
不都合があるなら変更した候補地を題材にするのでしょう。」
「ふむ・・・そうか。
・・・あー、なるほどね・・・ふむ・・・」
アズパール王が書類を読み始めるのだった。
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再び、王都守備隊の訓練場。
「よし!止め!」
「「「ありがとうございました。」」」
号令と共にジーナと男性隊員2名が礼をする。
「ふぅ・・・」
先に終わって地べたに座って休んでいるスミスの所にジーナが戻ってくる。
「ジーナ、お疲れ様。」
「スミス様もお疲れ様です。
先に終わられたのは知っていましたが、どうでしたか?」
「なんとか勝てた程度だけど、今、マリと反省中だよ。」
「うむ、主は勝機になった瞬間に少し躊躇する感じが取れないのだ。
ジーナは思い切りが良いからそこの心配はないのだが・・・今回は勝てたが、次勝てるとは断言出来ないな。」
チビマリが言ってくる。
「そうなんだけどね。
こう・・・ここだっと思って力を入れる感じだよ。」
「それが余計だ。
及第点としては、ここだの『こ』の所で打ち込まなくてはいけない。
それが出来れば何とか仕合でも勝てると思うんだが・・・
あ、ジーナに主、アリスから送られてきた木刀はどんな感じだ?」
「「重い。」」
スミスとジーナが言う。
「そうだろう、そうだろう。
これに慣れないと剣を振り回すのも大変だからな。
それにしてもステノ技研は良い仕事をする。」
チビマリが座るスミスの横に置かれた黒い木刀を見ながら言う。
「最初、マリが言い出した時は出来ないと思ったけど、小太刀と同じ長さで同じ重さの木剣が出来るとは思わなかったよ。」
スミスが言う。
「木剣でなく、木刀。
練習に使えるだろうし、塗装されている方は仕合で使えるだろう。」
「そうですね・・・まさか、マリが言う仕合が真剣で行うと思っているとは思いませんでしたが。」
「そうですね。
木剣や木刀等、木製の剣で行う事となっていましたからね。」
スミスとジーナが呆れながら言う。
「いやいやいや、主もジーナも真剣と思っていただろう?
木刀が送られてきて、改めて大会の要綱を確認したら木刀だったというだけ。」
チビマリが言う。
「そうだね。
でも、これで真剣でも訓練でも同じように動けるようになるのは良い事なんだよね?」
「うむ、重さの違う武器というのは別物だからな。
と、ジーナ、そろそろ寄宿舎に戻った方が良いだろう。」
「わかりました。
スミス様、私はお先に寄宿舎に戻ります。」
「うん、問題ないよ。
僕達も」
「主はあと1回王都守備隊と打ち合う事。」
「はぁーい、ジーナ、僕は後で戻るから。
気を付けてね。」
「はい、わかりました。
スミス様もお気をつけてお戻りください。」
ジーナが言うのだった。
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