第2405話 285日目 会議後の軽い打ち合わせ。(とりあえず予定通りです。)
4者の打ち合わせが終わり解散となって、エルヴィス爺さんと武雄は第二研究所陣内の打ち合わせ室に戻って来ていた。
同席者はマイヤーとアンダーセン、初雪。
エルヴィス家の騎士団長と兵士長は持ち場に戻り、エルヴィス爺さんの護衛は兵士2名を連れて来ていたが、試験小隊員達と焚き火の所で歓談しながら待っている。
「エルヴィス伯爵様、所長、お疲れさまでした。
予定よりかなり早く終わられたようですね。」
マイヤーが言うとアンダーセンも軽く頭を下げる。
「うむ、マイヤー殿、労いありがとうの。
今日の打ち合わせ内容としては、このままで防御に徹する事を相互に確認したという所じゃろうか。
わしとタケオの考えの通りに野戦で防御に徹する気になってくれてありがたい事じゃ。」
「伯爵様、所長、あの人数予想を見て他の2伯爵方は何か言っておりましたか?」
アンダーセンが聞く。
「なんとも言えないような・・・青い顔をさせておったの。
タケオはタケオでそんな者達の顔色が変わっているのを気にせずに現状説明を続けるしの。」
「他の貴族方の顔色なんて気にしても現状が変わる訳ではないのですから、気にせずに説明するしかないと思い、実行をしたまでですよ。
それにしてもエルヴィスさん、テンプルさんが『王の選定をしているというなら本格侵攻をするのではないか?』の問いにすぐに答えていましたね。」
「うん?あぁ、そうじゃったの。
選定中という事は半年から1年で新しい国王が決まると考えた場合、この戦争で一番の成果をと考えるとまずは平定する事が一番じゃろう。
じゃが、我らも簡単には平定はされない為に当然抵抗をするじゃろう。
となると、平定を目的とした本格侵攻を実施した場合は長引く・・・少なくとも1年では終わらぬと考えられるの。
それに戦争が終わらないとなれば選定の候補にすら選ばれぬし、もしくは新しい国王にとっては勝手に戦争を始めた者と認識される可能性がある。
わしの考えとしては、王の選定中という情報は本格侵攻をさせる理由とはならないと言ったまでじゃ。
ロバートが引き下がってくれてありがたかったの。」
「そうですね。
これが王の選定中という情報ではなく、新しい国王が即位してから初めての戦争であったのなら違ってくるのでしょうね。」
武雄がエルヴィス爺さんの考えの後に言う。
「そうじゃの。
その時は違う事を言って押し留めないといけなかったの。
まぁ、今回はこれでとりあえず、納得してくれたのじゃから良しとしてくれるとありがたいの。」
「はい、そうですね。」
「「伯爵様、お疲れさまでした。」」
武雄達が頷く。
「うむ、わしも結構頑張ったと思っておる。
今後はどうなるのかの?」
「そうですね・・・ダニエラさんが残りの1500名を率いてやってくるのですが・・・戦争の開始日は宣戦布告文によりあと5日後です。
アズパール王国側もそうですが、魔王国側も戦力がほぼ全てが揃ったと考えるべきだと思います。」
「うむ、鷲と朝霧達の偵察結果から前回との相違は人数とオーガ以外はなさそうじゃの。
ちなみに初雪、タケオみたいな変な武器を持っている者は居たかの?」
エルヴィス爺さんが初雪に聞く。
「んー・・・思い返しても小銃を持った者は今の所、見ていません。
心配ならアサギリ達を潜入させます。
伯爵、タケオ、どうしますか?」
初雪が聞いてくる。
「ふむ・・・スライムが単体で陣内に居た所で誰も気にも留めないとは思うのじゃが、2体、3体と連れ立っているのは不自然に思うかもしれないの。」
「んー・・・初雪。皆が寝静まった深夜に、ここからここの魔王国敵陣内を朝霧1体を通させて、剣や杖といった、武具屋にある品物以外の物がないか確認させてみましょうか。
テント内までは入らなくて結構です。
あくまでも、テント以外に何か目新しい物が無いかの確認の為に行いましょう。」
武雄が地図を指しながら言う。
「わかりました。
なら、今日からやります。」
「はい、お願いします。」
武雄が初雪に言う。
「ふむ・・・それにしてもリッチ部隊とな・・・今回は通常よりも200m程関側に後退しての陣地構築は良い策であったかもしれぬの。」
「確か魔法師の射程が250mでしたか。
今回は相手と500m程度開けているのですよね。
余裕を持った布陣なのですよね?」
「うむ、余裕を持っての配置なのじゃがの。
マイヤー殿、アンダーセン殿、魔法師の射程が250mを超えると命中の精度が落ちるのじゃよな?」
「はい、距離があればあるほど命中はし辛くなります。
一応、名目的には所長の小銃改の射程である1200mと同じ距離の物に当てられます。
まぁ、現実的には1200m離れた物に当てる事は不可能だと思いますが。」
マイヤーが言う。
「うむ、リッチ部隊じゃと射程距離が違うかもしれぬからの。
距離が開けられるのなら開けた方が良いじゃろう。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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