第2400話 283日目 ビエラの提案。(事前情報からズレがあります。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
アリスとエリカが談笑しており、エイミー達は一旦部屋に戻っていた。
「アリス、エリカ、たらいま~。」
「ぎゅ。」
「きゅ。」
クゥとリーザを抱えてビエラが入ってきてソファに座る。
「おかえりなさい。」
「おかえりなさい。
ビエラ殿、この度、タケオさんの妻に正式になりました。
アリスさ・・・んが正室で私が側室です。」
「エリカ、おめでと!」
「ぎゅ!」
「きゅ!」
ビエラが言うとクゥとリーザが両手を挙げる。
「ありがとうございます。
ビエラ殿は試験小隊の訓練場に行っていたのですよね?」
「はい!ハンゾウ、と、打ち合わせ!
次、ジェシーだから!」
ビエラが答える。
「そうですね。
ハンゾウはここから南西の森ですけど、付近の街道を通りますからね。」
「そ!
11日ジェシー出発!あと・・・3日後!
ハンゾウと打ち合わせ!大きいの!行きにリーザと狩る。」
「うん?ビエラちゃん、南西に大物の魔物が居るの?」
「いない・・・んー・・・コノハ!」
「はいはい、通訳ね。
どうしたの?」
チビコノハがビエラの前に机に現れる。
「あー!あ、あ~?」
「え~?それってどうなの?」
チビコノハが微妙な顔をさせる。
「え?どうしたの?コノハ。」
アリスが聞いてくる。
「ビエラがね、ジェシーの所に行く時に上空からオークなり、オーガを見つけたらリーザと一緒にブレスを撃ち込もうとしているのよ。」
「あー!リーザ、アクア!私、フロスト!らいじょうぶ!」
ビエラが言ってくる。
「・・・水と氷のブレスだから大丈夫だろうだって。
だけど、誰か後始末出来る人間が監視しながらじゃなきゃ危ないわよ。」
「らいじょうぶ!」
「ぎゅ!」
ビエラとリーザがチビコノハに言う。
「ん~・・・・・・エリカさん、私はこの状況下では問題ないと思うんですけど。」
「確か、アリスさんの話で巡回と常駐している兵士が少ないというのがありましたよね。
村に近ければ襲われても間に合わない可能性もありますし・・・。
極力、周囲に被害を出さないようにと条件を付けるくらいしか手はないかと。」
「村に被害が出ない事が一番ですよね。
なら、ビエラちゃん、リーザちゃん、ブレスはしても良いですが、周囲に被害をなるべく出さないようにして実施してくださいね。
そして実施した場合は、必ず報告する事、人員をやりくりして確認に行かせますからね。」
「はーい。」
「ぎゅー。」
2人が頷く。
「アリス、一応、フレデリックに言っておいた方が良いよ。」
チビコノハが言う。
「そうですね。
後でこっちに来ると言っていましたから、その際に話しておきましょうか。
ビエラちゃん、リーザちゃん、もしかしたらそこで話が変わるかもしれませんが、その際はしたがってくださいね。」
「はーい。」
「ぎゅー。」
アリスの言葉にビエラとリーザが頷くのだった。
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ゴドウィン伯爵領の関、第二研究所陣地内打ち合わせ室内。
武雄がボーっと地図を見ながらお茶をのみ、マイヤーは報告書を作成していた。
「失礼します。」
アンダーセンが入ってくる。
「お疲れ様です。」
武雄がそう言い、マイヤーは体をアンダーセンの方に向ける。
「報告します。
本日の訓練を終了しました。
全員待機時間とし、食事当番はキッチンカーで作業を開始させます。
食事の時間は18時30分を予定しております。
所長、申し訳ありませんが、18時より湯浴みのお湯張りをお願いします。」
「はい、了解しました。
人員の怪我や精神的な不安は?」
「現在の所、ありません。」
「わかりました。
夕方の鷲の偵察結果が出ています。」
「はい。」
「魔王国側は朝と人員に変わりはないと判断しました。」
「はい、となると5000名ですか。」
アンダーセンが言ってくる。
「ファロン子爵軍とパーニ伯爵軍が集まったと考えるべきでしょう。
ですが・・・ダニエラさんからの情報と少し違うんだよなぁ・・・」
「違いますか?」
「ええ、ダニエラさんは関の内側に居る気でいたんですけど、櫓がありましたよね。
見えているという事は外側です。
王軍5000名が関の外側に展開するという事です。
ダニエラさんの情報では最初、5000名を見せてこちらを威圧してから関内にという流れだったのですけど・・・変わったんですかね。」
「・・・寝室や休憩室が関内なのではないですか?
5000名を移動させるのって結構大変ですし、兵士達のテントは関の外なのではないですか?」
「あー・・そういう考えもありますか。
アンダーセンさんの考えだと、向こうの関内でダニエラさんと直近の護衛達が寝起きし、過ごすと。
で、戦場を見る為に櫓の上で観戦し、連れてくる5000名は関の外で体験と観戦をさせると。」
「正解はわかりませんが、あり得なくはないと思います。」
「観察を継続して確かめないといけないですね。」
武雄が頷くのだった。
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