第2398話 研修内容の日程です。(皆に色々と依頼します。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
アリスとエリカ、フレデリック、エイミー、ドネリー、キティ、王都守備隊のラック、バート、フォレットが居る。
「こちらがキティ殿の日程になります。」
フレデリックが皆の前に紙を置いて説明を始めていた。
「総監部、財政局、経済局、整備局での研修なのですか。」
アリスが紙を見ながら言う。
「はい、スミス様とタケオ様との面談で財政局、経済局、整備局と各町局のどれかをという話になっているのは報告を受けています。
ですが、各町についてはこの街で少し経験を積んで頂いて適性があればとなるでしょう。
今回の研修では4部門を見て頂こうと思います。」
「財政局が1日多いのですが?」
キティが聞いてくる。
「財政局からの要望です。
一番キツい所のお手伝いをお願いしたいと。」
「財政局ならば収穫高の確認と納税確認ですね。」
エイミーが言う。
「はい、エイミー殿下はご存じで?」
「第2皇子一家では、この時期に財政局に近寄ったら親達に本気で怒られます。
『皆の邪魔をするな』と。
キティに計算をさせるのですか?」
「流石にそれは・・・研修内容としては上がって来た書類の仕分けと確認後の書類の保管作業となっております。
まぁ、担当から依頼された書類を保管庫から出し、終わったら戻すという雑用ではありますが、体力的にキツイ内容になります。
なぜ、これをさせるかというならば・・・キティ殿の着任後の役職にあります。」
フレデリックが言う。
「役職ですか?」
キティが聞き返す。
「はい、王都の文官からの異動であれば課長での採用となりますが、王立学院卒ですので一般の・・・現地採用の文官と一緒の地位からという風には致しません。
係長という役職に就いて貰います。
1つの業務担当の長として部下数名を率いて貰います。」
「は?」
「えーっと・・・キティにいきなり部下を付けるのですか?」
固まるキティの代わりにエイミーが質問する。
「はい、王立学院卒で一番下から始めたのではもったいないです。王都で学んだことをいかんなく発揮してほしいと思っています。
係長ですが、好き勝手出来るという訳ではありません。上司の課長が仕事の経過把握と指示を出しますので、指示された中で成果を出して頂くという事になります。
話を戻しますと、この時期の資料の出し入れ作業は下の者が手伝う事になっています。
係長はそこには参加せず、手伝いに行った者の抜けた業務を引き継ぎ、戻って来るまで円滑に業務を熟す事にあります。
なので、今のうちに経験しておいて貰おうという事です。
頑張ってください。」
「・・・」
キティが書類を見て固まっている。
「・・・えーっと・・・配属後は、どんな事をするのでしょうか?」
エイミーがキティを一旦見てから聞く。
「どのような業務を担当させるかは配属される局にて変わりますし、その人事権限は局長達が持っています。
ですが・・・今回の研修の中に含まれている・・・とだけ言っておきましょう。」
「・・・」
キティが覚悟をした顔で頷く。
「キティ、頑張ってね。」
エイミーが気遣う。
「そして、エイミー殿下の研修なのですが・・・こちらを用意しています。」
フレデリックが新しい紙を皆の前に置く。
「・・・ふむ・・・」
エイミーが内容を確認して頷く。
「フレデリック、本当にエイミー殿下にこれをして頂くのですか?」
アリスが聞く。
「はい、経済局で行う会議への参加です。
内容は試験中の肥料の1回目評価のまとめと南町での新規村作りの状況把握及び新規提案としました。」
フレデリックが言う。
「はぁ・・・1つ質問が・・・」
エイミーがフレデリックに向けて言う。
「はい、何でございましょうか。」
「私の村の事は知っていたのですか?」
「知っていたというよりもスミス様からの提案です。」
「スミスの?」
「はい、実はエイミー殿下が王都を出立した後にジーナにエイミー殿下の研修内容を送っております。
その際にスミス様から以前エイミー殿下から、初めての政策が新規の農村作りだったとお聞きしたと。
それなら、他方での村作りを南町に作る村にも組み込めないだろうかとご提案頂きました。
そこで当初予定していた物を止めて、作り直したという次第です。」
「そうですか・・・わかりました。
・・・ちなみに私達が出立してから王都に研修内容を送ったのはなぜですか?」
「「たまたまです。」」
アリスとフレデリックが言う。
「・・・」
エリカは何も言わないが「これ陛下が見てるな」と思っていたりする。
「わかりました。
この研修をさせていただきます。」
エイミーが言う。
「よろしくお願いします。
それと王都守備隊の方々なのですが。」
「「「え!?」」」
ラック達が自分達に話が来ると思わず驚く。
「?・・・王都守備隊の総長殿より『行く者達にも言っておりますので、こき使ってください』とご丁寧に手紙を頂きましたが。」
「「「えー・・・」」」
「この地に残っている騎士団および兵士や巡回や町に居る兵士達に講習を行って頂けないでしょうか。
町に居る兵士は週に1度報告をする為に戻って来るのでその時に出来ればと思います。
1時間か2時間くらいで結構ですので講義形式の研修をさせたいのです。」
「講習ですか。」
「はい、簡単な物で結構です。陛下の警護を旨とする王都守備隊での警護方針や訓練方法、報告書の書き方など、この地の者に取って王都で行われている事は良い刺激になると思うのです。
戦地に行った者達は戦地での経験をし、残った者達は違う経験をしておいた方が良いと考えての依頼です。」
「わかりました。
講習をさせて頂きます。」
「ありがとうございます。
軍務局の者が担当しますので、明日に連れてまいります。」
フレデリックが言うのだった。
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