第2390話 エルヴィス伯爵、ゴドウィン伯爵邸に到着。(人材が足りないね。)
昼過ぎのゴドウィン伯爵邸の玄関。
エルヴィス爺さんがコンテナ搭載馬車を降りて、身体を伸ばしながらゴドウィン伯爵邸を見上げる。
「着いたの・・・いつぶりだったかのぉ?」
「「「いらっしゃいませ、エルヴィス伯爵様。」」」
玄関で待機していた執事とメイド達が挨拶をする。
「エルヴィス伯爵様、ようこそいらっしゃいました。
お久しぶりでございます。
体調もお変わりないようでなによりであります。」
その内の1名が馬車に近付きエルヴィス爺さんに頭を下げる。
「うむ、久しいの。
ロバートも途中で会ったがの、少し時間を遅らせてこっちに来ると言っておったよ。」
「畏まりました。
準備を致します。
主と奥様がお待ちになっております。」
「うむ、2人と会うのも久しぶりじゃの。
皆から見てジェシーの体調はどうかの?」
「はい、毎日、健やかに過ごされていると認識しております。
では、こちらに。
まずはお部屋にご案内させて頂きます。」
「うむ、厄介になろうかの。
では、明日は休みじゃからの。」
エルヴィス爺さんが一緒に敷地内に入って来た騎士団員達に言う。
「はっ!了解しました。
我々は予約を取っている宿に向かいます。
明後日の朝、お迎えに参ります。」
「うむ、頼むの。」
エルヴィス爺さんがそう言うと騎士団員達は最敬礼をし、馬車と共に敷地を出て街に向かっていった。
「ふむ・・・すまぬが、よろしくの。」
エルヴィス爺さんが振り返り、執事達に言うのだった。
・・
・
ゴドウィン伯爵邸の客間にて。
湯浴みを終えたエルヴィス爺さんとゴドウィン伯爵とジェシーが雑談をしていた。
「ははは、タケオは相変わらず、人集めをしておるの。
変な所で縁を結ぶ物じゃ。」
エルヴィス爺さんが笑いながら言う。
「お爺さま、タケオさんの行動力は知っていますけど。
目の前でされると慌てますよ。
なんであれを許可されているんですか?」
ジェシーが言ってくる。
「いやぁ~、許可も何も・・・出張すると大概誰かしら連れてくるからのぉ。
皆優秀じゃよ?」
「優秀なのは見てればわかりますよ。
むしろタケオさんの部下で優秀じゃない者がいるのですか?」
「・・・んー・・・タケオは何かしたい目的があって、それをやれる人材を連れて来るからの。
皆が来て早々に仕事に取り掛かれる者達ばかりじゃよ。
誰も彼もと雇っている訳ではないからの。
じゃから優秀な者を集めていると見れるのだろうの。
わしら領主はそういった目的に沿った者達のみを雇う訳でなく、優秀になる可能性のある者も雇うからのぉ。
タケオの人集めとはちと趣が違うの。」
「まぁ・・・そうですけど。
はぁ・・・アナタ、今年の新人はどう?」
ジェシーがゴドウィン伯爵に聞く。
「そんな数か月で優秀と言える者が現れるわけないだろう。
それに能力の優劣に関わらず、使うのが上司の務めだ。
むしろ新人の能力よりも課長や部長の能力向上が目下の課題だ。
親父殿はどうです?」
「わしの所も同じようなものじゃよ。
じゃが、タケオの政策提言のお陰で各課長が部下を上手く使わないと処理できないようになっておる。
課長以下の人員がメキメキと能力を上げておるよ。」
エルヴィス爺さんが呆れながら言う。
「そうですかぁ・・・お爺さまの所も人材不足ですか。」
「わしの所は元々、余剰人員は少ないからの。
皆が何かしら担当を持っておる。
そこにタケオの政策提言じゃからのぉ。
ま、許可したのはわしじゃがの。」
「お爺さま、良く決断しましたよね。」
ジェシーが呆れながら言う。
「ふむ・・・まさか、ここまで出て来るとは思いもしなかったのは確かじゃ。
もっとのんびりと長期計画で何か提案されると良いなぁという軽い気持ちだったのじゃがのぉ。
まったく・・・タケオが次々と面白そうな提案をするのがいけないじゃろう。
フレデリックを通じて提案実施の可否を各局長に検討して貰ったのじゃが、皆、面白そうと食いついてしまい、現在の大忙しの状況じゃよ。
ま、わしの所では人員を補充してから開始というのは中々に厳しいからの。
まずは居る人材で対応して、次の年の予算に余裕が見込まれるのならば新人を入れるという形じゃの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「エルヴィス家の文官も大変ね。」
「はっ・・わしらはまだこの程度じゃが、タケオの所の協力工房はもっと大変じゃからの。
あそこに比べれば・・・文官達も『キタミザト家の協力工房に比べれば』と奮起してくれておる。
新人を入れるのも大事じゃが、今いる人員の給与を上げてやらないととも思うと予算がのぉ。
わしらの所はそんな所じゃよ。
フレッドは何かあるのかの?」
エルヴィス爺さんがゴドウィン伯爵に聞く。
「そうですねぇ。」
ゴドウィン伯爵が考える。
エルヴィス爺さん達はその後も歓談を楽しむのだった。
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