第2384話 276日目 マカロニサラダが隊内で流行中です。(インスタントスープかぁ。)
ゴドウィン伯爵邸がある街を出発した武雄達一行は、到着予定の村の入り口で野営をし夕食の準備をしていた。
一応、村長に許可を貰っており、問題はないのだが・・・
「・・・あれ?」
武雄は焚き火の上に大鍋4つを横に並べて、コトコト鍋を煮込んでいる前でノートを広げて首を傾げる。
「所長、どうしましたか?」
マイヤーが聞いてくる。
「いえ、パンも肉も野菜もゴドウィン伯爵邸で補給したので問題はないのですけど・・・
マカロニを少し消費し過ぎたかもしれません。」
「パスタ全体として足らないですか?」
「いえ、パスタはこの人数なら2か月分は持って来ていますよ。
サラダ用に持ってきたのを道中で多用してしまったようです。
残りが・・・今までの消費量だと15回分ですね。」
「まぁ、研究所を出発してから4日連続で作っていただきましたしね。
料理回数では10回ですかね。
マカロニサラダ美味しかったです。」
マイヤーが頷く。
「そんなに好評になるとは思いませんでした。
マカロニを茹でて、ゆで卵を潰してマヨネーズと和えた物と野菜の輪切りを入れただけなのに・・・」
武雄が言う。
「そもそもポテトサラダもマカロニサラダもマヨネーズを多用している時点で、美味しいですよ。
今日は何ですか?」
「今日は塩が濃いめの卵スープを作ったので、パスタにかけてスープパスタですね。
右端のがパスタを茹でています。残りはスープですよ。
パンは3個で、サラダはコールスローを作ってみました。
野菜を細切りにしてマヨネーズで和えた物です。
さっき作りながら少し食べた感じではシャキシャキ感が出ていましたし、味も狙い通りです。
まぁ食べてみてください。」
「わかりました。
コールスローがどんな物かはあとで楽しみながら食べさせて頂きます。」
マイヤーが言う。
「マイヤーさん、休暇を1日取っての出発ですが、問題はありましたか?」
「ありません。
各自の健康状態も問題なく、各自の武具の損傷もありません。
各馬の状態もミア殿に頼んで聞き込みをしましたが、問題はありませんでした。
馬車等にも異常個所は見受けられませんでした。
予定の行程通りに進んでいます。」
マイヤーが言う。
「わかりました。
であるなら、到着は8月4日で変わらずですね。
町や街で宿が取れるのなら宿で、無理なら野営をしながら進みましょう。
物資が足らない時は都度補充をします、次の町ではマカロニの調達とやはり野菜系は多いに越した事が無いとわかりましたので、キャベツとタマネギ、ニンジンとあとは大量に売り出している野菜を買おうと思います。」
「了解しました。
戦場に近くなっているので物価の高騰があるとは思いますのでお気を付けください。」
マイヤーが言う。
「ええ。
むしろどれだけ高くなっているかは興味がありますね。」
「所長、何かするのですか?」
「いえ、今エルヴィス伯爵領の西町で野菜の増産体制が組まれているでしょう?」
「ウスターソース用でしたね。」
「ええ、今は作れば作るだけウスターソースに使える、要は売れるのですけど、いつかは頭打ちになります。
村や町の人口を増やすには野菜を加工した何かが必要になります。」
「・・・まぁ、そうですね。
ですが、数年とかではないですよね?」
「早くても十数年後でしょう、世代が変わるでしょうけどね。
ですが、今から模索しなければならない。
今から着手しておけば、その時に遅れは取りません。
今から着手すれば研究に時間がかけられるというものです。」
「所長が良く口にする言葉ですね。
で、所長は野菜で何を?」
「フリーズドライ製法の確立・・・真空以外でね。」
「えーっと・・・何を言っているかわかりませんので、概要をお教えください。」
マイヤーが微妙な顔をさせながら言う。
「んー・・・野菜を乾燥させておいて、お湯で元に戻す技法・・・かな?」
武雄が考えながら言う。
「ほぉ・・・乾燥させて戻す・・・今、肉とか魚の干物でしていますね。」
「うん、あれの野菜版をしたいのです。
私達や軍、金銭に余裕がある者は魔法の大袋で生野菜や生肉なんかを持って行けます。
ですが、大袋を買えない者達は干し肉が主になっていて野菜を持って行けません。」
「そうですね。
ですが、街道沿いには馬車で1日程度の所に町か村がほとんどの所であります。
まぁ、エルヴィス伯爵領と王都間のような所もありますけど。
それでも2日あれば野菜が入手できる状況です。
あ、だから急がないと言う事なのですね。」
「ええ、割と手に入る状況下で現状では著しく不足するような事にはなっていないので研究として出来ると思っています。
それに戦場や移動時ばかりではなく、一般の生活でも主婦の方々の助けになるでしょう。」
「ふむ・・・所長のその言い方ですと、野菜を取れたままの状態で乾燥をさせると言う事ではないようですね。」
「そうです。
カットした状態で乾燥させたいと思っています。
そうすればスープの最初の段階で鍋に入れておけば、食べる頃には元のシャキシャキ感がある程度戻るでしょうからね。
主婦方の家事の時間を短くするのに役立つでしょう。」
「なるほど、それに一人暮らしの者にも使えそうですね。
肉ばかりの食生活になりがちなので、ふと野菜が食べたいと思っても野菜を丸々買ってくるというのは出来ないものです。
なので、スープを買って来れば、あとは野菜を足すという手軽な物があると知られれば、一人暮らしの者にとっても買いやすいかもしれませんね。」
マイヤーが言う。
「そっかぁ、粉末スープの素みたいなものがあれば売れるのか。」
武雄がボソッと言う。
「ん?所長、何か考え付きましたか?」
「いーえ、意外と乾燥野菜が売れそうだなぁと思ったので。」
「多くは売れないでしょうが、それなりには売れると私も思います。
それこそ王都守備隊の人員は出張が多いので欲しがるかもしれません。」
「それは良い情報です。」
武雄が頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
今日の15:00ごろに人物紹介を投稿します。
今後の展開で出て来る者も少々入れておりますからその辺はスルーをお願いします。




