第2368話 その頃の王都守備隊では。(どこも奥様が強いのです。)
王都守備隊 第八兵舎 小会議室。
分隊長達が集まって雑談をしていた。
「はぁ・・・第二情報分隊長殿がまたエルヴィス家行きですか。」
「ははは、良いだろぉ。」
「たまにはこっちにも回してくださいよ。
いつも陛下の警護ばかりなんですから、たまにはエイミー殿下の護衛がしたいです。
それもエルヴィス家なんて旅先も最高じゃないですか。」
「第二近衛分隊長殿、それは理由にはなりませんよ。
エイミー殿下の護衛は皆やりたいんだし。
今回は王家の護衛ではありますけど、数名という条件ですからね。
第二情報分隊長殿は前回も行っているから道もわかっていますからね。」
「それはそうなんだが、私らも行きたいよなぁ。」
「ま、エイミー殿下の護衛もあと何回出来るか・・・でしょうね。
今回は婚前の下見という事なんでしょうから。」
「来年からはアン殿下かぁ。
この間来られた時、利発そうな方でしたが、どうなんだろうな。」
「キタミザト殿にからかわれて可愛らしい顔をさせていたのは記憶に新しいが・・・
見た感じ、無理をされるような方ではなさそうだな。」
「パット殿下は将来の事もあるからと第1騎士団が受け持っていたけど、アン殿下はどうなんだろうな?
こっちなのか?」
「さて・・・どうなんだろうな。
エイミー殿下の時は陛下からうちの担当と指示があったがな。」
「前回の事があるから第2騎士団は確実にないな。」
「となると、第1騎士団か、うちか・・・今度生まれる殿下はパット殿下と同じ第1騎士団か?」
「ご兄弟で第1騎士団か?それは良いのだろうか?
弟君は第3騎士団とかになるのでは?」
「そっちの方が問題だろう。
第3騎士団はクリフ殿下領からくるが、王都では新設部隊でしかない。
軋轢を考えて、他の騎士団より優遇されていると思われる事は避けるだろう。」
「そうは言っても王都守備隊は陛下の警護部隊だ。
世継ぎに繋がる者の担当はしてはならないと思うな。」
「となると、アン殿下は我々で、弟君は第1騎士団でが無難と言えば無難か。」
「ま、陛下とクリフ殿下で話し合って貰って決まったら従えば良いだけか。」
分隊長達がワイワイ話している。
「引継ぎ、終わりました~。
お疲れでーす。」
兵士が入ってくる。
「お、第一近衛分隊長殿、お疲れ様です。」
「「「お疲れ様です。」」」
「今日は第一情報分隊長が夜の当番です、先ほど引継ぎしてきました。
主だった引継ぎ事項はなし、えーっと・・・特段、問題もありませんでした。
以上、分隊長各位、今日もお疲れさまでした。
あ、あと、今日、御前仕合の賭け率が発表されて、王城の王家一同方の代理購入をしてきました。
気になる方は買いに行ってください。」
第一近衛分隊長が言う。
「あ、もうそんな時期かぁ。」
「今年はジーナ殿一択だろうさ。」
「賭け率は低いだろうから、一応賭けてみて・・・飲み代にくらいにはなるかな。」
分隊長達が軽口を叩いている。
「・・・ちなみにジーナ殿はこの時点で2.5倍です。」
「「「「はぁ!?」」」」
第一近衛分隊の言葉に他の分隊長達が驚く。
「『はぁ?』もなにも・・・ほらっ、書かれているでしょう?」
第一近衛分隊が机にエイミーも持っていた賭け率の紙を置く。
「え?・・・あ、本当だ。
まてまてまて、なんで!ジーナ殿が2.5倍も付くんだよ!?
頑張っても1.3倍が良い所だろう!」
「あり得ない、絶対あり得ない。」
「え?なに?え?賭けの所の奴ら、頭狂ったの?」
「狂ったのなら即拘束しないとな。
被害が出る前に。」
「・・・何度見ても2.5倍だ。」
分隊長達が紙を食い入るように見ながら言う。
「・・・これ買いに行ったのですけどね・・・
1人金貨10枚ずつ賭けましたからね。
金貨80枚を受付に置いた時の受付の顔がねぇ・・・」
第一近衛分隊長が言う。
「そりゃ、1番人気ではない所に金貨80枚なんて賭けるのなら・・・あれ?金貨80枚?金貨10枚ずつなんだよな?
多くないか?」
「陛下と第3皇子一家の4名、エイミー殿下とドネリー、キタミザト殿。
8名分です。」
「なんでキタミザト殿の分があるんだよ。」
「エイミー殿下が預かっていました。
ちなみにキタミザト殿は『ジーナの本気を知ってれば、金貨1000枚でも良いですけど、さすがにそこまですると相場が崩れそう』という理由で金貨10枚にしたとの事で、王家一同も同じ金額にしたようですよ。」
「まぁ・・・ジーナ殿の訓練場での姿を知っているのなら容易には負けないとは思うが・・・キタミザト殿、全幅の信頼だな。」
「あ、そうだ、ジーナ殿、魔眼使えるんでしたよね。
キタミザト殿の発言はそういうのも加味してですね。」
「あ~・・・すっかり忘れてた。
はぁ・・・もうやる前にジーナ殿の優勝確定だな。」
「2.5倍って・・・これ大丈夫なのか?
少なくとも王都守備隊の主だった面々はジーナ殿に賭けるぞ。」
「今年大損で来年から賭け率の方法が変わるのかもな。
だが・・・今年は買い時だな。」
「ほぼジーナ殿が勝つのだろうが・・・万が一が怖いな・・・」
「おい、いくら賭ける?」
「あー・・・家族会議しないと決められないな・・・」
「うちもだ・・・今年は買いだと説得するしかないか・・・」
「小遣いいくら前借り出来るかなぁ・・・」
分隊長達が暗い顔をさせながら呟くのだった。
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