第2362話 ゴドウィン伯爵邸で打ち合わせ。1(雑談と診断をしましょう。)
ゴドウィン伯爵邸の客間にて。
湯浴みを終えた武雄達とゴドウィン伯爵とジェシーが集まり雑談をしていた。
武雄とゴドウィン伯爵、パナとジェシーとで今は話をしている。
「そうか。
こっちからの書類が届いた時に王城に居たのか。」
「ええ、大広間で命令書を貰ったのですけど、その際に貴族会議の方々と挨拶をしました・・・式典より疲れましたよ。」
「はは、それは大変だったな。
俺だったら殴るかもしれない。」
「気持ちはわかりますが、貴族相手にそんなことしたら大変ですよ。
ですが、ぐっと堪えて、挨拶後に別室で鬱憤晴らしをすれば良い程度で済みました。
でも・・・面倒ですね。」
「まったくだ。
領主同士の方は実務の話を主にするからあまり腹を探ったり、探られたりはないからな。
貴族会議の貴族にならなくて良かった。」
「そうですね。
それとボールド殿が王立学院の学院長に内定していますよ。」
「ああ、ボールドからの手紙に書いてあった。
タケオに押し切られたと書いてあったぞ?」
「えー・・そんな事していませんよ。
貴族会議の同期全員を王立学院関係に押し込んだだけです。」
「はは、それは押し切られたと書きたくもなるな。
皆がやるならボールド1人が断る訳にもいかんだろうし、他の同期達もやらないとは言えないだろう。
上手く事を運んだな。」
「ええ、各地方の派閥に所属していながらも同期という特別な繋がりがある新貴族が定期的に集まる場を作れました。
ある意味、私の同期は1つの派閥です。
意図的に他の地方派閥から情報がもたらされて、他の派閥に流す事に使われるかもしれませんが、各々の知りうる内容で話し合いをするでしょう。
私やアルダーソン殿がたまに出張で王都に行った際にその辺の話を出来て、割と客観的な感想も聞く事が出来るという特異な派閥になりますね。」
「ふむ・・・なるほどな。
今までは本腰を入れて対応していなかったが、今後は俺ら魔王国側の3貴族もその辺の強化が必要になるんだろうな。」
ゴドウィン伯爵が言う。
「まぁ・・・王が変わるのですからどう動いても良いように準備をする必要があるのは認めます。
ですが、私はむしろそういった派閥と無関係なんですよね。
どちらかというと王家と王都の文官と仲が良いのでね。」
「逆に俺らからしたらそっちの情報の方が入ってこないからな。
俺達はタケオが居てくれて助かるかもしれないな。」
「さて?私は王立研究所を率いるんです。
地方領主とは情報の中身が違います、言える事と言えない事が発生するでしょう。」
「それはそうだ。
言える事を言ってくれれば良い。
それだけでも十分だろう。」
ゴドウィン伯爵が言う。
「タケオ、ジェシーの診察を終えました。」
パナが武雄の隣にやって来て、チビ化して武雄の肩に座る。
「タケオさん、パナ殿、ありがとうございます。」
ジェシーがゴドウィン伯爵の隣に座って、礼を言う。
「先ほどの挨拶でも言いましたが、お腹大きくなりましたね。」
「ほんと・・・重たいのよ。
身籠って、ここまで大きくなって実感するわ。
色んな意味で重たいわ。」
ジェシーがしみじみと言う。
「で、パナ、ジェシーさんの調子はどうですか?」
「順調ですね。
安定期に入ってからの食事もバランス良く取っているようですし、運動も各庁舎に行っているようでしっかりとしています。」
「安定期に入ってからは美味しいのよ~。
それに総監局とか財政局、騎士団の訓練場とか毎日違う所に行ってるのよ。」
チビパナとジェシーが言う。
「庁舎にも行っているのですね。」
「顔見せよ。
『フレッドをよろしく~』ってね。
毎日屋敷内をウロウロするのも飽きるし、庁舎までは良い距離があるのよ。
あ、勝手に行っているわけじゃないわよ、行くにしても事前に何時に行くか通達しておいて、警護もして貰って・・・ま、迷惑なんだろうけど、行った方が緊張感を持たせられるからね。
施政者としては正しい行動をしていると思っているわ。」
「来られる方は緊張するでしょうね。」
「するでしょうね。
逆の立場なら『来るな』と思うでしょうけど。
それに妊娠する前から機会を見て訪問はしていたからね。
そこまでどうこう言われる事はないと思っているわ。」
ジェシーが言う。
「前は週に2回程度だったが、今では週に4日だけどな。」
ゴドウィン伯爵が苦笑しながら言う。
「増やしたんですね。」
「良い距離なのよ。
あ、そうだ。
うちで雇用した、ラウレッタとマヌエルはしっかりと研修を受けているわよ。
覚えも早くて器量も良いわ。
良い人材を雇用出来たわ。
ありがとう、タケオさん。」
ジェシーが言うとゴドウィン伯爵も頷く。
「はは、しっかりと働いてくれてたら何よりです。
何個壺を壊しましたか?」
「・・・私が知る限り3つかな?
フレッドは?」
「俺も3つだな。
タケオの所の4人は違うのか?」
「すでに9個です。」
「「んー・・・」」
「研究所から帰宅した私は子供達の前でメイド長から請求書を受け取って、ため息をつくという役目があるのですが、子供達の落ち込んだ顔が・・・もう可哀想でね。」
「失敗は失敗だからなぁ。
子供達は反省はしているんだろう?」
「していますよ、改善方法も考えているようですが・・・今一つ成果に繋がっていない感じですね。
最近では子供達が壺に近寄らないようです。」
「でしょうね。」
「だろうな。」
ジェシーとゴドウィン伯爵が頷く。
「そこでエルヴィス家のメイドさん達が模様替えと称して壺を子供達が作業する付近に置いて注意力向上の訓練をさせているらしいです。」
「やりたいことはわかるわ。
まぁ、子供達は訓練で成長してくれると良いわね。」
ジェシーが言うのだった。
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