第2357話 レバントの所は暇なのか?(ベルテ一家は悩み中。)
魔王国王都のレバントの店。
「すぅ~・・・すぅ~・・・ぐがっ!」
カウンターでうたた寝していたレバントがビクッとして起き上がる。
「・・・んぅん~・・・寝るか。」
レバントが左右を確認して再び寝ようとする。
「おば様!戻りましたぁー♪」
ヴァレーリとアンナローロ、タローマティと人間形態のグローリアが玄関から入ってくる。
「んー?・・・おかえり、ダニエラちゃん。
ふぁぅ・・早かったわね。」
「ドラゴンに乗ってなのであっという間ですよ。」
欠伸をしながら言うレバントにヴァレーリが返事をする。
「んんー・・・うん?・・・ん。
まぁ、良いわ。
シモーナさんは生きてた?」
「なんか輸出入関係で唸っていましたよ?
紅甘は大事に育てるそうです。」
「忙しいのかな?・・・どれかなぁ?
ま、いいか、やり取りはしているし、何かあれば言ってくるでしょう。
それより紅甘かぁ・・・キタミザト様はどうだったの?」
「・・・普通に受け取っていましたよ。
今頃食べているかもですね。」
「そっかぁ・・・ん~・・・購入は出来たけど、栽培方法が教えられていないんだよねぇ。」
レバントが考えながら言う。
「あのジャガイモはそれほど難しいので?」
「それもわからないのよ。
魔物の被害が多いというのは教えられたけど・・・頑なに栽培方法は教えないのよ。
それに結局の所、ここら辺で売るような・・・商売になるような量は手に入らないみたいだから私に全数渡って来たわ。
まぁ・・・また今度酒と引き換えに交換してくれるとは言ってくれたみたいだけどねぇ。
繋ぎのお酒と紅甘の交換を続けて、そのうち栽培方法を聞き出せるようにするわ。
あとウスターソースの返しでシモーナさんとキタミザト様にお送りするかなぁ。」
「ウォルトウィスキー頼みですか・・・商売上しょうがないのかもしれないですよね。
キタミザト殿には、おば様が手持ちを放出した旨を伝えたら補填してくれると言っていました。
請求を上げてください。」
「うん、わかったわ。
じゃ、これ今回の報酬ね。」
レバントがカウンターの下からウォルトウィスキーを数本取り出す。
「ありがとうございます!
ご贔屓にどうも。」
「良いのよぉ、ドラゴンなんて使えないからね。
鮮度が良い内にシモーナさんとキタミザト様にお送り出来て良かったわ。
ダニエラちゃんが来てくれて助かったわよ。
このぐらいの出費でお届け出来るのなら安い物よ。」
「おば様、ありがとうございます♪」
ヴァレーリが満面の笑みをレバントに向ける。
「あとはシモーナさんが何を持ってくるのかぁ・・・ん~・・・ダニエラちゃんに頼まなかったのよね?」
「はい、まとめて送ると言っていました。」
「ふむ・・・まぁ、覚悟しておこうかな。
あ、そうだ、ダニエラちゃん、王城内でウスターソース出しているでしょう?」
「あれ?なんでそれを知っているのですか?」
「うちにくるお客さんで軍の方が多くなっているのよ。
王城内の味を食べさせられると言って家族連れや部隊の慰労会で使ってくれる頻度が高くなってね。
ここ最近急激に変わったらしいというのとウスターソースというのが王城内で出回っている、それと私の飲食店の方の店で出していると説明されたと聞いたわよ。
ダニエラちゃん言ったでしょう?」
「言ったようなぁ、言ってないようなぁ。」
ダニエラが首を傾げながら言う。
「まぁ、お客さんが増えたのは良いんだけどね。
このままではうちの店が王軍御用達になりそうよ。
嬉しい悲鳴ではあるのだけど・・・もっと特別感を出したかったわ。」
「はは、それはすみませんでした。」
「まぁ、計画を練っているうちに来ちゃったからしょうがないんだけどね。
ダニエラちゃんと相談するべきだったわ。」
「次回何かあれば相談しましょう。」
「そうね、そうしましょう。
キタミザト様の事だからまた売れそうなのを開発しそうだしね。」
「それは確かに。
では、おば様、また来ます。」
「はい、気を付けてね。」
レバントがヴァレーリ一行を見送るのだった。
「さてと・・・シモーナさんとキタミザト様宛に請求書を作るか。
あと魔王国からの売り込み商品か・・・カスト伯爵領から干物が届いているのと、新作の売り込み。
ベッリ男爵からコショウ以外でもという事で穀物の売り込みと・・・あと、何か来ていたような・・・」
レバントが店内で商品を探し始めるのだった。
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ベルテ一家の厨房。
「茹でるか・・・」
「揚げるか・・・」
チビウカとチビダキニが机の上の紅甘を見て考えながら呟いている。
「これは美味しそうという色なのかしら?」
「ん~・・・紅甘・・・聞いた事がないなぁ。」
ボーナとドナートも紅甘を見ながら言う。
「ウカとダキニは美味しいと言っていたよね。」
「言ってたよー。
甘いんだって。」
エンマとニルデが言う。
「こっちに来てから知らない物ばっかだね。
全てが美味しいというのは凄い事だけど。」
「だねー、美味しいのは良い事だよね?」
「良い事だよ。
美味しいと幸せな気持ちになれるからね。」
フローラとジルダが言う。
基本的に美味しい食べ方が出来れば良いので、ウカとダキニがどういう結論になるのかベルテ一家は見守るのだった。
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