第2356話 報告中です。(安全な観戦ってなに?)
エルヴィス伯爵邸の客間。
武雄は戻って、外出中のヴァレーリ達の報告を済ませていた。
ビエラ達も客間に居て、「大変だぁ」と聞いていた。
「・・・タケオ・・・それは大変じゃの。」
エルヴィス爺さんが疲れた顔をさせながら言ってくる。
「はぁ・・・ダニエラさんは諦めていなかったという事ですね。」
武雄が「やっぱりねー」と呆れながら言う。
「タケオ様、陛下宛に同様の依頼を出すぐらいです。
ヴァレーリ様も強い意志を持って、タケオ様を呼ぼうと思ったのでしょう。
ですが、こちらとしてはあまり行く意味がありませんよね?」
「意義としては魔王国の中央軍の全兵力を見れる機会です。
頼んでも見られない物を見せてくれるというのですから、喜ぶべきなのでしょうけど・・・
見る前から圧倒的に我が国より戦力があるのは知っていますからね。
それを見てもあまり参考にはならないのかもしれませんね。」
「そうですよね・・・あまり大人数にならないようにとの事ですが、人選はこれからですか?」
「ええ、試験小隊と話し合ってですね。
ですが、マイヤーさんは戻って陛下宛の慣例の戦争の報告書を作成しないといけないでしょうし、アンダーセンさんも報告書と部隊訓練や研究室の補助や基準作りをしないといけないでしょうから、この2人は戻さないと。
ブルックさんとアーキンさんは子供達、新人の教育をするだろうし・・ベテランから2名ですかね。」
武雄が考えながら言う。
「まぁ、タケオの所の部下は王都守備隊の各隊から採用しておるからの。
概ね正確な物の判断が出来る人材じゃの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「はい、なので誰を連れて行こうか・・・向こうの軍幹部とも飲むかもしれないので、話が合いそうな者を連れていきます。」
「うむ、気を付けての。」
「タケオ!私、も、行く!」
ビエラが手を挙げる。
「ビエラも行ってくれるんですか?」
「はい!行く!万が一はタケオ、守る!」
「ビエラちゃんが行ってくれるのは安心ですね。」
アリスが頷く。
「ビエラ、ありがとうございます。」
「タケオ、ハツユキも連れて行ってください。
魔王国でスライムの調査をさせます。」
夕霧が言ってくる。
「あまり目立っての行動は出来ませんからね。」
「ん、大丈夫。
あくまでハツユキが魔王国の各地でスライムを撒いてくるだけ。」
「・・・エルダームーンスライムを探しますか?」
「ん、それもする。
ですが、あくまで切っ掛けの話を持って行くだけ。
ハツユキに交渉をさせるとかはない。
こっちに来る気なら越境してくるように促すだけ。
来る来ないは向こうのスライムが考えれば良い。」
「広告を打つような物ですか・・・
私達には魔王国の者が付くでしょうから、ハツユキは表立って行動は起こせないと思いますが・・・
ん?・・・いや、ちょっと待って、アズパール王国に来る事を促すだけなら私が朝霧を連れて行って定期的に分裂させれば良いのでは?」
「ん、それも可。
だけど、現地でハツユキが生みだしてばら撒いた方がちゃんと伝わります。
それに不定期ではありますが、ばら撒けば1体くらいはエルヴィス伯爵邸に戻って来て、現状の報告も出来ると思います。」
「なるほど・・・確かに有効ですね。
ちなみに初雪はメイドとして行った方が良いですか?」
「ん、でも、私も初雪もメイドとしては・・・あまり出来ない。
なので、ビエラ相手のメイド見習い程度で。」
「今までと変わりませんね。
ビエラが気に入っているから付けているとしますか。」
「はい!ハツユキも、守る!大丈夫!」
ビエラが言う。
「ん、ハツユキは万が一の際はスライムになって退避する事になる。」
「そこはそうですね。
剣で襲われても斬られる前にスライムになって逃げた方が良いです。
私達は自分達の守りぐらいは出来る面子です。
それにハツユキを含めて夕霧達スライムは危ないと思ったり、危険が迫った場合はスライムになって退避して貰うのが最優先です。
そして最悪の場合は逃げて、エルヴィス伯爵邸に戻って貰います。」
「ん、わかりました。
全エルダームーンスライムには伝えておく。」
夕霧が言う。
「ええ、それと今回は試験小隊全員に朝霧を持たせます。
初雪が戻ったら、以降は朝霧での報告が出来るのならします。」
「ん、そこは期待しないで待っている。」
夕霧が言う。
「タケオ様、実際はそうなる事があると思いますか?」
「現状で?あり得ません。
戦力差があり過ぎるのです。
ただ、魔王国王軍内の離反とかがあればあり得ますが、この間の視察や今回の話も加味するのなら・・・ダニエラさんは部下の掌握が出来ています。
さらに、アンナローロさんと精鋭が付くと・・・アンナローロさんは第1軍の指揮官補佐という役職で第1軍内で序列2位。
事務的な事をしていると言っていましたが・・・第1軍の運営を任される程の強権と魔王国内での発言権を持っている方が付く、それの護衛ですよ?
私に危害が加わる心配はありません。」
武雄が言う。
「ほぉ、あの女性はそれほどなのか・・・見た目が若かったからそこまでとは思わなかったの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「あー・・・言い忘れていましたか。
今回来たアンナローロさんはダニエラさんと同じ種族であるヴァンパイアです。
それも真祖、魔王国に10名程度しか居ない内の1人です。」
「「・・・」」
2人が難しい顔をさせる。
「魔王国相手に見た目は当てになりません。
ある意味、実力主義が体現しているのでしょうね。」
武雄が言うのだった。
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